しろいともだち
数年前に書いた短編を少しだけ書きかえたものです。
その昔。田舎の、ある小さな村に、一人の少女が暮らしていました。水の都の長をしていた父親は、少女がまだ幼かった頃に亡くなり、今少女は母親と二人暮らしです。そんな彼女はある日、母親から、水の都へ行ってそこにいる伯母さんに花を届けるように頼まれました。父親の姉である伯母さんは現在水の都の長をしているのですが、最近ぱったり連絡がないのです。少女はたくさんの花が入った籠を持って、水の都へ出かけることにしました。
村から水の都までは、山を一つ越えなくてはなりません。少女が山道を歩いていると、突然白い蛇に襲われました。しかし、少女が籠の中から一輪の花を取り出して渡すと、白い蛇は喜んでそれを受け取りました。そして仲良くなることができました。少し遊び、別れました。
少女は無事山を越え、水の都へ着きました。しかし街には誰もいません。それだけではなく、街には色が全くありませんでした。街の中央にある噴水もすっかり色を失い、灰色になってしまっています。街で長をしている伯母はというと、水の都を手に入れたい『魔女』に捕らえられてしまっていました。
それを知った少女は、伯母を、そして元の都を取り戻すべく、『魔女』と戦うことを決意します。彼女は『魔女』の強力な闇魔法を受けながらも必死に挑んでいきますが、全く歯が立たず、ついに負けそうになってしまいました。
「もう無理だ」と少女が諦めかけたその時、先程山道で出会ったあの白い蛇が現れました。実はその蛇は神の使いで、少女を助けにやって来たのでした。白い蛇は巨大化し、神々しい金色の光を発しています。少女と白い蛇はお互いに協力し、ついに『魔女』を倒しました。
そして少女は、『魔女』から解放された伯母に、無事花を届けることができました。伯母は予想外の贈り物に驚き、とても喜びました。人々は解放され、都は元通りになりました。灰色になってしまっていた噴水もすっかり元通りになり、綺麗な水色に戻っていました。
この『勇敢な少女と白蛇』のお話は、いつしか伝説となり、水の都では今も語り継がれています。
読んでいただきありがとうございました。