夢の中の現実
この話は最後に感動すると思います。
泣く準備を(笑)
こんな事ってあるんだね――
僕の名前は皆藤勇気。
高校三年生だ。
趣味は映画鑑賞、特技は将棋。
僕は完全にインドア派なんだ。
体も弱くて年中病気がち。
友達も多くはない。
クラスでも目立たない存在だと思う。
そんな僕でも好きな子がいる。
同じクラスの大東奈津さんだ。
凄く頭が良いのに運動神経も抜群。
大東さんは僕が病気で体育の時に具合が悪くなった時に優しく声を掛けてくれた。
その笑顔が忘れられなかった。
一目惚れっていうのかな――
卒業までに気持ちを伝えなきゃいけないって思う。
けど僕にはそんな勇気はない。
変わらないといけないのは分かってるけど――
「皆藤君! 今日は平気なの?」
びっくりした――
大東さんだ――
「う、うん。今日は気分良いよ」
まともに大東さんの顔は見れない。
僕は俯きながら言うと
「そっか!」
行っちゃった――
もう少し話したかったな――
「何て顔してんだよ! 勇気!」
もう! 今度は匠君!
「びっくりするじゃん! 大きな声出さないでよ!」
匠君は数少ない僕の友達の一人。
匠君は活発で僕とは性格が真逆だけど匠君は僕と仲良くしてくれる。
匠君は野球が凄く上手くてプロ野球選手を目指してる。
「お~。悪かったな! 今日は気分どうだ?」
「うん! 今日は良さそう!」
僕が笑顔でそう答えると匠君も笑って手を振って行った。
今日も体育か――
今日も僕は見学だ――
僕が体育で倒れた日から体育は見学するように医者からは言われてしまった。
嘘でしょ――
隣に大東さんが――
動悸が激しくなっちゃうよ――
「今日は私も見学なんだ! 雑用二人で頑張ろうね!」
大東さんは笑顔で僕に言った。
「う、ううん。僕がやるから大東さんは休んでて良いよ」
やっぱり大東さんの顔を見れずに俯いて言うと
「そういう訳にわいかないよ! っていうか皆藤君の方が重症なんだから休んでないと!」
大東さんを見ると笑っていた。
けど僕は直ぐに顔を逸らして俯いた。
「皆藤君って恥ずかしがり屋さんだね! 可愛い!」
そう言われると顔が赤くなるのを感じた。
「へ、変な事言わないでよ――」
僕が俯きながら言うと
「へへ、でも皆藤君らしいや!」
大東さんってたまに変な所あるな――
今日の体育は特に雑用する事がなくてそのまま終わった。
「お~い勇気! 飯買いに行くぞ!」
あ、匠君だ――。
早く行かなくちゃ。
匠君は僕とは違うクラスなんだ。
でも休み時間になったりお昼の時は必ず声を掛けてくれる。
「またその弁当かよ! お前その弁当好きだな~」
僕がいつも買っているお弁当は山盛りのカツ丼。
こんなに量は食べられないけど僕はこれが良いんだ。
だってこの弁当は大東さんが僕に気を遣ってくれて変わりにお弁当を買いに行ってくれた時に買ってくれたのがこの山盛りカツ丼なんだ。
だから食べ切れなくてもこの弁当が良いんだ。
「別に匠君には関係ないでしょ!」
僕がアッカンベーとすると
「この野郎! 言いやがったな! 大東に言いつけちゃうぞ! お前が大東の事好きって!」
「やめてよ! 意地悪!」
僕はそう言ってふてくされると
「冗談だよ! 本当にお前はからかいがいがあるな!」
匠君はそう言うとお弁当を食べ始めた。
ん? 何だ? 頭が――僕は意識が飛んだ。
ここは? ベッド――
保健室? でもこの器具は――病院か――
「勇気! 良かった! 目が覚めたのね!」
お母さん――
「何が起きたの? 僕確か学校で匠君とお弁当食べてたと思うけど――」
確かそうだったはず。
そこで頭痛に襲われて――
「そうよ。匠君が救急車呼んでくれたの。ごめんね――。何も出来なくて――」
何言ってるんだお母さんは――
しかしお母さん一気に老けちゃったな――
白髪も増えてるし――
待って……
「お母さん――僕どの位寝てたの?」
するとお母さんは急に泣き始めた。
何があったの?
どうして急に泣くの?
「お母さん?」
「勇気。あなたは3年間寝てたの。中学3年生の時から……」
どういう事?
だって僕は学校に――
「待ってよ――僕は高校に行ってて三年生で、匠君と仲が良くて、大東さんがいて……」
しかしお母さんはずっと黙っていた。
僕が言い終わると少し微笑んだ。
「ううん。勇気は高校には行っていないわ――。確かに勇気が寝ている間に匠君、大東さんって名前は口に出していたけどそんな人居ないの。あなたは高校には行っていないのよ……」
そんな馬鹿な――
僕の高校三年間は?
匠君――
大東さん――
そんな人居なかったの?
僕は……
「今日から大学生ね! 高卒検定直ぐに取れて良かったわね! 行ってらっしゃい!」
あの日から1年。
僕は今日から大学生。
高卒検定をとって大学に入学した。
僕は夢の中の事を忘れたわけではない。
でも忘れるしかない。
「行ってきます!」
大学って広いな――
大学に着いて入学式をする為に大きい講堂に入った。
すでに多くの新入生が居た。
僕も自分の椅子に座って始まるのを待った。
「これより埼玉中央南大学の入学式を始めます。では新入生代表2名の挨拶」
僕は新入生プログラムを見ていた。
色々な部活とかサークルあるんだな――
新入生代表の言葉が始まった。
その声に聞き覚えがありふと顔を上げた。
「私はこの大学で文武両道を目指し、しっかりと学びたいと思います」
その代表生徒は一礼した。
そんな――夢じゃなかったの?
その代表の女生徒は大東さんだった。
夢の時より大人びていたが確かに大東さんだ。
次の代表生徒が上がった。
こんな事って――
匠君――
僕は壇上にいる二人を見て、涙が溢れてきた。
夢だったけど夢じゃなかった。
本当に二人はいたんだ。
僕の友達ではないけど、これから仲良くしたい。
僕は二人の事を知っている。
壇上の二人が泣いている僕を見た。
気のせいか、二人は僕に微笑んだ――