真白さんの告白と
015
僕はこの学園のスター?になってしまったので、
昼休みには、色々な部活の勧誘が待っていた。
「桐原くんキミの才能を生かさないかい?」
「我が部活を全国に導いてくれないかい?」
他にも色々な勧誘があったが全てテキトーな理由で流した。
僕は学業も普通の成績なのに運動に力を入れれるわけがなかろうが。
僕はめんどくさかったので、いつもの僕の聖域に逃げた。
屋上である。
僕は基本、弁当は一人で食べる。教室や学食室なんてもってのほかだ。
騒がしいのが苦手なんだ。
この陽光の下、食う弁当が一番旨い。
ちなみに弁当は葵のお手製だ。あいつは料理はできる。よくできた妹である。
「いつもここにいたんだね桐原くん」
真白さんだ。
「一年の時からね、ここは以外と誰も来ないんだよ」
「ふーん。お弁当一緒にここで食べていい?」
断る理由がなかった。
「桐原くんさ、なんか変わったよね」
僕は少しドキッとした。
「一年生から同じクラスだけど、すごい力を持っていたなんてね」
「だからまぐれだって」
「謙遜しないでよ。本当に恰好良かったんだから」
真白さんは本当に裏表がない子だなと思った。
「でさ、大事な話があるんだけど・・・」
「なんでしょう?」
「あのね」
真白さんが大事なことを言おうとした瞬間、あの嵐がまた現れた。
「桐原くん。電話もメールもしないなんてどういうつもりよ」
堂島環。悪いタイミングでの登場だ。
「今から私に電話しなさい早く」
僕は嵐のような怒号に折れて、財布にしまっていた堂島さんの電話番号にコールした。
「繋がったわね、何か聞きたいこととかあったら私から電話するから、電源入れといてよ」
「メールも空メールでいいから後でしなさい」
と彼女は念を押して戻っていった。
「桐原くん堂島さんと電話友達なんだ」
「無理やりだけどね」
「ふーん」
少し空気が悪くなったのを感じる。
「私とも電話番号交換しない?」
急な申し出であったが、
「もちろん喜んで」
僕は人生で2度目の女の子との電話番号交換をした。
これで僕の携帯の女の子の電話番号は、葵を含めて3件になった。
(妹含めていいのかな?。)
キーンコーンカーンコーン
昼休みの終わりを告げるベルが鳴る。
「あーあ昼休みも終わっちゃったね」
「学生の時間なんてあっという間だよ」
真白さんとの時間を満喫できたからよしとしようか。
昼休みも終わり真白さんと教室に戻る。
5時限目、6時限目も終わり下校の時間だ
「桐原くん、一緒に来てくれる?」
真白さんからの再度のお誘いが来た。
「もちろん」
と僕はすぐに返事を返した。
僕達は学校の近くにある天子公園に向かった。
この公園は昔からベンチ以外に全くの遊具がないのが最大の特徴で
殆ど空地に等しいということで子供達があまり寄り付かない場所だった。
今日も僕達以外誰もいなかった。
僕達はそのベンチに座った。
「丁度この時間くらいだったよね」
「え?」
「昨日の強盗を撃退してくれた時間」
「そうだったね」
昨日のことを思い出す。
ルシフェロさんと出会い、神の力を与えられ、強盗団を撃退して、真白さんと・・・
「って聞いてる?桐原くん」
「ゴメンゴメン昨日のことを思い出してたんだ」
「大事な話聞いてくれる?」
「うんいいよ」
ゴッドピービングで試した真白さんの僕の好感度は、満点だったので答えは殆どわかっていたけれど。
「キスからしちゃって順序が逆になっちゃったんだけどさ」
「うん」
わかっていても緊張はするものだ。
「私とさ」
「うん」
深呼吸をする真白さん、そして。
「私と結婚を前提に付き合って下さい!!!」
「!?」
予想を遥かに上回った告白だった。
「け・・・結婚?」
「うん・・・駄目かな?」
結婚というワードに少したじろいでしまった。
「結婚って結構重くないですか?」
「重いよね?でも真白家の家訓なんだ。好きになったら結婚前提って」
「家訓ですか・・・」
僕はまさかの人生の選択を迫られることになった。
016
結婚 とは、夫婦になること。社会的に承認された夫と妻の結合をいう。
将来の夢の希望もない僕だから、
その返答には困ってしまっていたのが真実だ。
顔を真っ赤に赤面して僕を見ている真白さん。
僕はどう答えればいいのだろう。
「告白の答え、近日中でいいよ?」
と真白さんから声をかけてきてくれた。
「真白さん。ちゃんと答えだすからね」
「うん!じゃあまたね」
と真白さんは行ってしまった。
僕は答えが出せない自分が情けないな~と思ってしまったが、
結婚とはアンリアルすぎた。
僕は一人、天子公園で考えていた。真白さんとの将来を。結婚生活を。
「ヒッヒヒ。ゴッドアームの略奪者見ーつけた」
その声は公園の入り口のほうからした。
「こんなガキがゴッドアームをね~笑っちゃうよ。ヒッヒヒヒ」
声の主は、白髪で全身真っ白な軍服(?)のような恰好をしていた。
男は長身(190cmはあるか?)で顔は狂気に歪んでいた。
突然の来訪者に僕は戸惑っていたが、やっと男の正体がわかった。
執行者だ。
僕を殺しに来たのだ。
僕はとっさに身構えた。
携帯をだ。ある番号にコールする。
「ルシフェロさん。執行者です!!」
「わかった、すぐ行く」
もしもの時のルシフェロさんだ。
「ルシフェロ?・・・あぁルシフェルか。あの裏切りものかヒッヒヒ」
と男は笑う。
「桐原優斗くんだっけか。つかのまの天国の時間はどうだったよヒッヒヒ」
「僕の人生を変える素晴らしいアイテムですねこれは」
ルシフェロさんが来るまでの時間稼ぎだ。
僕は男と言葉を交わす。
「まぁすぐに見つかってよかったぜ。いいね~ニュースってのは。簡単に居場所を特定できたからな~ヒッヒヒ」
「僕を殺しに来たんですか?」
もう答えは知っているが男に聞いた。時間稼ぎだ。
「殺す?ヒッヒヒ。当たり前じゃないか?殺さねぇとゴッドアーム離れねぇしよ~。そしてヒッヒヒ。久しぶりに下界に来たんだ。遊びてぇじゃん。ヒッヒヒ」
「天使が人間を殺していいんですか?」
「本来ならばタブーだ。だがタブーを犯したのはお前が先だろ?ヒッヒヒ」
「タブーを犯したのは俺だけどね」
「あん?」
空からルシフェロさんが降りて来た。遅いよルシフェロさん。心強い味方がやってきた。
「ルシフェル。会いたかったぜ~この裏切りもの!!ヒッヒヒ」
「俺は会いたくはなかったけどね。レミエル」
レミエルというのがこの男の名前らしい。
「役者もそろったし。早速バトろうぜ!!」
レミエルが構えをとった。いきなり闘うのか。
「まて。レミエル取引をしようか」
「あぁん?」
「今日戦ってもらうのは決定として。少し後にしよう。お互いの為にね」
「俺様になんの得があるんだ?」
「今日の00時00分この公園で決闘を行う」
「1対1の決闘だろうな?」
「もちろん。今の俺は戦えないしね」
「このガキと俺がー!?あぁん?ヒッヒヒ」
「優斗くんとお前の決闘だ。俺は立ち合い人として参加するけどサポートはしない。全て優斗くんがやるよ、逃げることは絶対しない」
「で?」
「優斗くんが負けたら、彼を殺せ」
「ちょっ!!」
僕は声をはさんだ。
「そして神具は全て返すし、俺も天界に戻る。拘束されよう」
「ヒッヒヒ悪くねぇ条件だな。俺にとってなんのデメリットもねぇ」
「だろ?」
「わかった。まぁ少しかそいつに助言でもしてやれや。たった8時間程度で何が変わるっていうのか。ヒッヒヒどうせ無駄死に終わるだろうけどなぁ」
とレミエルは公園を出ていこうとした。
「レミエル。どこに行くんだい?」
「あん?」
足を止めるレミエル
「天界への報告と下界の見回りだ。8時間も待ってられるかよ。じゃあなルシフェル、それとガキ、少しはあがいてみせろよ。ヒッヒヒ逃げるなよ」
とレミエルは公園を出ていった。
ずっと黙っていた僕だけど流石に叫ばせていただきたい。
「勝手に何を決めてるんですか、あんた達は!!!!」