神の力の秘密
011
「桐原優斗くん。想像以上の適応者だ」
俺はゴッドフォンをいじりながらそう呟いた。
パニックになろうと神の力を理解しすぐに順応させた。
あれは一種の才能だね。
でも想像力と欲が弱いかな?いつか来る 聖戦 で苦労しそうだね~。
ま、俺が堕ちた範囲で適応できるのは彼しかいなかったし、
そこは俺がカバーすればいいか?
俺は彼のベッドに横たわりそんなことを考えていた。
ドタドタと彼が戻って来る音がする。
少し俺の野望を話してあげようかな?。
「ルシフェロさん見てこの体!!やばくない!?」
「キミに露出狂の性があるなんてしらなかったよ」
「いやそうじゃなくてこの筋肉。鍛えてないのにやばくない!?」
彼は興奮気味だった。
「やばくないやばくないゴッドアームの恩恵だよ」
「やっぱりそうなんだ」
と彼は少し落胆していた。
「優斗くん少し話をしようか」
「はい」
やはり順応が早いなこの子は。
「簡単に俺の正体と目的を話そう」
「それはかなり気になっていたところです」
「俺は人間じゃない、堕天使 だ」
「堕天使?堕ちた天使って書くあれですか?」
「そう、その堕天使」
「なんでその堕ちて来たんですか?」
「禁忌を犯したからね」
「禁忌?」
「そのゴッドアームを神から盗んだのさ」
「えええええええ!?これは盗品なんですか?」
「ふふ,そう盗品」
盗品ってか戦利品なんだけどね本当は。
「まぁこの田舎町に堕ちて来たのは目的の一部なんだよ」
「その目的とは?」
「ゴッドアームは天使にも堕天使にも使用することはできない。使えるのはごくわずかの人間だけでね。そしてキミを見つけて使ってもらうことにしたんだ」
「僕が使えることがルシフェロさんにメリットがあるんでしょう?」
「戦ってほしいのさ」
「戦う?誰と?強盗とかですか?」
「執行者とね」
「執行者?」
「うん天界から堕ちて来た俺とゴッドアームを回収するための強い天使団のことだよ」
「なんか話がやばい方向に向かっていってません?」
「そうだね執行者達は本当に強いからね。ちなみに天界では俺も執行者だったんだよ」
「強いほうだったんですか?」
「いや執行者は全部で10人俺が抜けたから9人か、で俺は一番下の10番目の強さ」
「よ・・・、ルシフェロさんは戦わないんですか?」
「戦いたいんだけどね、堕天した時に俺は肉体を失った」
ドアがガチャっと開いた
「お兄ちゃんさっきから一人で誰と話してるの?」
彼の妹だろうか。
彼はとっさに携帯を手に
「友達と話していたんだよ」
と言った。
「お兄ちゃん友達いないじゃん」
彼の痛いところを突かれたようだった。
「ご飯できたからそろそろ降りてきてよ?」
と彼の妹は出ていった。
「今ので分かったろ?俺はこの世界の人間に見えないし触れることもできないのさ」
「キミ以外にね」
と俺は付け足した。
ゆえに学校や銀行で誰も気づかないわけだ。
こんな目立つ真っ黒な服で統一しているというのに。
語り手が急に僕に戻ってしまったけれど、それこそ適応してほしい。
ルシフェロさんいわく僕はとんだ盗品を掴まされて、
そしてその盗品を回収するために天界から執行者が来る、
んでその盗品は僕とシンクロしているから殺さなければ回収できない、
うん。
「ふざけんな!!!!!!!!!」
012
「今日のお兄ちゃんご飯よく食べるね~元気モリモリだね」
と葵は楽しそうに言う。
(元気というか噴気だけどね)
「今日も二人とも遅くなるの?」
と葵に聞く。
「2人とも忙しいからね~」
今日の夕飯は葵と二人。会話が続かないのでテレビを入れた。
ニュースの特番が始まった。
「夕方、龍入市で銀行強盗事件が発生しました、この事件なんと一瞬で解決してしまったのです。この事件を解決したのはなんとこの高校生!!」
僕の学生証の写真がアップで映しだされた。
「ぶっー!!!」
「お兄ちゃんだ!!」
僕は口から食べかけのコロッケを吹いてしまった。
「なんと拳銃で武装した強盗団を一蹴してしまったのです。残念ですが監視カメラが破壊されていたため動画はありませんが、目撃者に状況を聞いてみました」
「あれはまさに雷神だね、みんな一撃で倒しちゃうんだもの。すごいもの見たね~あれは」
「凄かったわ、若いのに勇敢で強かったわ」
「皆それぞれに彼の凄さを語ってくれました。現場は以上です。スタジオの最上さん。」
「え~高校生が、」
僕はテレビを消した。
「見てたのに~、てかお兄ちゃん、なんでそんな凄いこと教えてくれなかったの?」
「勇者は多くを語らず、だ」
「おー格言だね~」
と葵は再度テレビをつけ、特番のニュースを見始めた。
僕は食器を片付け洗い物を始めた。葵はまだ食べていたので自分のだけだ。
(ったく誰だよ、僕の写真をテレビ局に流したやつ、明日学校行きにくいじゃんか)
「葵。あまり学校で僕のことを話すなよ、話題にされるのが苦手なんだ僕は」
「ほいほーい」
葵のテキトーな返事に少しイラッと来たが、気にせず洗い物を終わらせる。
まぁ今までものらりくらりと生きて来たから注目されるのはいやなんだけど・・・
はぁ、今日は早めに寝ますか。
僕は歯を磨き、顔を洗い、寝る準備は完璧だ。
「葵。僕は疲れたから先に寝るよお休みー」
「お休み~お兄ちゃん」
階段を上がり、自分の部屋のドアを開ける。
「やぁ優斗くん。怒りは静まったかい?」
とルシフェロさんがまだ僕の家にいたことに落胆した。
「帰ってくださいよ」
「おいおい俺は天界を追われた身だよ。帰る場所なんてあるものか。冷たいね~キミは」
「とりあえずベットから退いて下さい。僕はもう寝ます」
とルシフェロさんにベットから降りて貰った。
「床でもいいなら寝てていいですよ」
「ありがとう。キミの優しさと受け取るよ」
この後僕たちは何の会話もなく、僕は眠りについた。疲れたのだ。
やれやれ、ヒーローになれて嬉しいのかな?と思ったけれども、
人間って言うのは難しい生き物だね。
ま、そこが面白いところなんだけどね。
さぁて彼の写真が世に出てしまったのは少しまずいな。
執行者の連中も彼の存在を知ってしまった可能性が考えられるな。
数日中にアイツが来るだろうな。
レミエル 面倒なやつだよ。
彼にレミエルを倒すことができるであろうか?。
俺のサポートとゴッドアームの力でなんとかなるかな。
まぁ今回の強盗団みたいにはいかないだろうけどね。
俺も寝ますか。
寝るか・・・。
俺は生まれて初めて寝るということを体験したのだ。