表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
41/43

堂島環

078


堂島環が何故、校舎の中にいるのか。

ただ逃げ遅れただけなのか。

それとも自慢のニュース魂の結果か。

まぁ間違いなく後者であろう聞くまでもない。


「槍男の写真を撮ろうとしてたら、あなたが戦っていたじゃない。

しかも教室をぶっ壊したりして。腹も貫通されてたでしょ。

普通死んでいるよね。そうでしょ?あなた何者なの?説明してよ」


メタトロンとの死闘を全部見られていたらしい。

僕が2-Aの教室に入った時から堂島さんは僕達の写真を撮っていたのか。

彼女の首にはカメラがぶら下がっている。

「堂島さんこれは・・・・・・」

「近寄らないで!!まだあなたが安全な物かどうかわからないでしょ」

激しく拒絶された。

そうであろう。僕の学ランはところどころ破け、

腹に穴が開いて、それが塞がるのも見られた。

完全に化け物扱いだ。

当然だろう。


「俺が説明しようか。優斗くん?」

「そもそもあなたは誰なの?落合って言ってたわね」

黒スーツの長身の男ルシフェロさんにも怯まない堂島さん。

「俺は堕天使ルシフェル。この世界に堕ちて来た天使です」

「天使?」

堂島さんはポケットからメモを取りだし書き始める。

「簡単に説明すると、俺と優斗くんはこの世を守る為の正義の味方さ」

だいぶ端折りすぎだろ。

「ふ~ん。それでそれで?」

完全に堂島キャスタースタイルだ。

「槍男も天使です。悪い天使です。それらを優斗くんは撃退しているんです」

ルシフェロさんの口調もいつも以上に柔らかい。

「今までずっと私に隠して戦っていたってわけ?」

「その通りです。他の人間に見られると不味いですからね」

「何が不味いの?」

「あまりに戦闘がグロテスクなのと、他の人間に被害が及ぶかもしれないですからね。細心の注意を払っていたんですが」

「私に見られたわけね」

「はい」


ルシフェロさんの話を全てメモにまとめる堂島さん。

「なるほどなるほど。そんな面白いこと私に隠していたの桐原くん」


僕に火種が飛んで来た。

「まぁそうなりますね」

「これは一大ニュースだわ。原稿に起こさないと」

「堂島さん!!」

「何?」

「これは僕達だけの秘密にして貰えないでしょうか?」

「は?」

「この闘いは人間全員を巻き込むスケールの闘いなんです。僕の正体もばらされたら僕も学校に居られなくなります」

「まぁそうなるわね」

「だからこの通り。隠して下さいお願いします」

僕は必死の土下座をした。

「え~どうしよっかな~?」


「聞き分けのない小娘が」

偉い低音の声がルシフェロさんから放たれた。

「黙っていれば人間ふぜいが、調子に乗ってほざきおって、

お前の存在くらいこの世から消し去ることも可能なのだぞ」

「ひっ!!」

すさまじいプレッシャーを放つルシフェロさん。

堂島さんも怯んだが僕も怯んでしまった。

「け、警察を呼ぶわよ」

「ここは圏外だ。無駄な足掻きだ」

どんどん堂島さんに詰め寄るルシフェロさん。

「・・・・・・ち、近づかないで」

「お前の存在をこの世界から消してやろう」

ルシフェロさんの手が堂島さんに伸びる。

「止めてください!!」

ルシフェロさんと堂島さんの間に僕が割り込んだ。

「何故邪魔をする?」

「僕と堂島さんは今は違うかもしれないけど、友人です。

その友人を消すのであれば僕から消して下さい!!」

「桐原くん?」

「どうぞやって下さい」

僕は両手を広げる。

「じゃあ死ね!!」

ルシフェロさんの手が僕の心臓に向かって伸びてきた。


「待って!!」

堂島さんが叫んだ。

「桐原くんとあなたのことはニュースにしない約束するわ。

誰にも喋らない。だから桐原くんを消さないで」

「どこにそんな証拠がある?」

ルシフェロさんが堂島さんを睨みつける。


ガシャーン!!

「え?」

堂島さんの首から下げてるカメラを地面に叩きつけた。

そしてカメラの中のSDカードも抜いた。

「これも折るわ、それでいいんでしょ?」

「堂島さん」

と僕は堂島さんの手を握った。

「それは堂島さんの魂ですよね。それまで折ったら駄目ですよ」

僕は壊れたカメラを拾い、元通りに復元させた。

「何で、何でそこまで」

「友人だから」

「桐原くん」


パチパチパチパチパチ


手を叩いていたのはルシフェロさんだった。

「堂島さんだったよね。優斗くんの覚悟はわかってくれたかな?

まぁ俺のせいなんだけど彼はすごい苦労しているのさ。

彼は地上界を守る為に苦労しているのさ。わかってくれたね。約束」

ルシフェロさんの口調が元に戻っている。

先ほどの威圧行為は演技だったのであろう。

「ええ。痛いほどわかったわ」

堂島さんは言う。

「彼女は知っているの?」

「真白のこと?」

「ええ」

「知っているよ」

「少し妬けちゃうな~羨ましい」


ウーウーウーウー

パトカーのサイレンが近づいてきた。

ずいぶんと遅い登場です。

「そうだ。優斗くん。教室の壁だけは治しておかないとね」

「そうですね。急ぎましょう」

僕とルシフェロさんは急いで下の階へと走る。


「・・・・・・本当に羨ましい」

堂島環はポツリと呟いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ