雷神
077
ブシュブシュブシュブシュ。
7つの槍を手に入れた。メタトロンの猛攻はまさに雷神だった。
僕は両腕でガードを固めたが、
その猛攻で確実にダメージを負わされていた。
宙に浮く6本の槍の威力はさほどでもないが素早く、
本命のグングニルの威力は凄まじくなっていた。
6本の槍で注意を引き、
本命の槍グングニルで貫く、これがメタトロンの本当の戦闘スタイル。
僕は防御と避けに集中するしかなかった。
メタトロンの猛攻が一瞬止まったのは、
あの人が現れた時だった。
「優斗くん。遅くなってすまない」
「助太刀するぜヒーハー!!!」
異次元の扉を開け、ルシフェロさんが登場した。ラファエルと共に
「ルシフェロさん!」
「ルシフェル?」
「ヒャッハー!!!!!!!」
メタトロンが後ろを振り向く、
メタトロンの槍が全てラファエルに向かった。
ガキィン!!!
槍とトンファーがぶつかり合う
その一瞬の隙をついて僕はメタトロンの懐に潜り込み、渾身の一撃。
悪魔の腕での一撃を腹へかました。
「おりゃー!!!!!!!!!!!」
メタトロンはガードをすることなくモロに直撃した。
「げはー!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
メタトロンがフェンスまで吹き飛ぶ。
ガシャン!!!!!
そんな音を立ててメタトロンはフェンスにぶつかった。
僕の勝ちだ。
ルシフェロさんもラファエルを手に戻した。
・・・・・・まぁ現実はそう甘くはない。
メタトロンの雷で形成された6本の槍は消えてなかった。
メタトロンはふらつきながらも立ち上がる。
腹に特大の穴を開けながら。
「YOU。今のは本当に効いたお。負けるかと思ったお」
メタトロンが槍を構える。
まだこいつは意識を失わないのか。
執行者という使命がこいつを動かしてるのか。
目は完全に死んでいたが、
槍を構えるその姿は確実に死んでいる男の姿ではなかった。
「YOU。これが本当の決着だお!!!!」
メタトロンの全身から雷が放出される。
6本の雷の槍は一つの槍。神槍・グングニルに集約された。
周りの雷も吸収し、
メタトロンの槍は特大サイズの雷の槍と化した。
「雷神7槍流究極奥義・最大雷神槍グングニル」
・・・・・・ごくり。
僕は唾を飲み込む。
そして深く深呼吸をして両手を前に構えた。
「はぁー!!!!!!」
先に動いたのはメタトロンだった。
僕の目でもとらえられない速度で突っ込んできた。
まさに雷だ。
だが動きは直線。見切れる。
僕は両腕で槍を受け止めた。
激しい電流が全身を流れる。
だが僕の意識は途絶えなかった。
後ろへ後ろへ押し出されながらも僕は槍を放さない。
メタトロンも全力で槍を突いて来る。
「うぉー!!!」「貫けだおー!!」
全力の押し合い。削り合い。
激しい光が交差する。
雷と神・悪魔の光。
「うぉー!!!!!!!」
僕は後ろのフェンスギリギリで槍の勢いを完全に殺した。
雷の槍は僕の後ろで四方に飛散して、1本の槍が残った。
「・・・・・・YOU。本当に見事だお」
そう言ってメタトロンは前のめりに倒れこんだ。
全ての力を使いきったらしい。
その顔は満足そうに笑っていた。
「優斗くん。僕が来るまでもなかったね。キミは本当に強くなったよ」
「ルシフェロさんが注意を引いてくれなかったら、たぶん負けてましたよ」
「謙虚だなキミは」
倒れているメタトロンにルシフェロさんが近づき、
メタトロンを光と化して手の中へ吸収する。
黒雲も晴れて空は快晴になった。
メタトロン。お前は手段は選ばなかったけど立派な戦士だったよ。
がらにもなく僕はそう思った。
ギイイ。
そんな音を立てて屋上の扉が開かれた。
「全部見ていたわよ。桐原くん。説明してもらえる?」
堂島・・・・・・環!?




