神の力 レッスン2
007
「キャー!!」
銀行内が悲鳴に包まれた。
悲鳴のほうを振り返るとそこに拳銃を所持した男達がいた。
強盗だ!!。
「この中の電気を全てオフにしろ!!監視カメラもだ!!」
と3人の強盗の内の一人が叫んだ。
「撃って破壊したほうが早いんでないすかね」
強盗の中でも小柄な男が言う。
「それもそうだな」
パン!!!!パン!!!!
パリーン!!と銀行内の2台の監視カメラが破壊された。
「キャー!!」
「うるせぇぞ殺されてぇのか!!全員床に伏せろ!!」
と女性スタッフに銃を突きつけるリーダー格(?)の強盗。
強盗の脅迫通りに銀行内の照明は全て落とされた。
「桐原くん。私怖い」
と真白さんが僕の右腕に抱き付いてきた。
(やわらかくていい匂い~。)
いや、そんな場合じゃなくて。
リアル強盗です。テレビでよく見る光景が目の前で起きてます。
「ま、真白さん、冷静に。ここは静かにしないと駄目ですよ」
「うん」
こういう時は無抵抗が一番だ。殺されてしまう。僕達も床に伏せた。
「銀行内のありったけの金をこの袋に詰めろ!!」
ドン!!と黒い袋がサービスカウンターに置かれる。
店内の奥から店長と思わしき男が札束の束を持って来た。
「今すぐ御用意致しますのでしばしお時間を下さい」
「早くしろ!!警察が動いてしまうじゃねぇか!!」
「ひぃぃ、早急に致します」
とまた店の奥に戻る店長。
強盗3人が店内にいる客にも銃を突きつけ、こう言った。
「警察に連絡してみろよ、そいつからぶっ殺すからな!!」
リーダー格の男はかなりキレ気味だ。
店内のどよめきは静かになった。なるしかなかった。
「おいおい、ここで立ち上がってこそがヒーローってもんだろ?」
と男が言ってきた。
「いやあんたも伏せろよ、携帯なんかいじってないでさ」
この空気の中、男は平然と携帯を操作しながら立っている。
「なんの為のゴッドアームさ、今使う時でしょ?」
「いやこの腕、1万円札量産機だろ?」
「だから~今のキミは神にも悪魔にも成れるんだぜ、ちょっと戦ってみろよ。うまくいくと思うぞ。さぁヒーローチャンス!!」
「無茶言うな!!!」
強盗よりもこの男をぶっ飛ばしたいよ!!
「おいそこのやつ!!」
と強盗が声をかけてきた。
「ホラ、しゃべっているから&伏せてないから・・・」
「オレンジ色のパーカーのガキ!!お前だよ!!」
オレンジ色・・・・・・・・・・・
って僕ですか!!?
「立て!!」
「はぃぃぃ」
もう強盗の言う通りにしか動けない。動くしかない。僕は立った。
「ずっとボソボソしゃべってやがって」
「すいません、すいません」
なんで僕なんだよ、チクチョー。
「見せしめだ、死ね!!」
パン!!!
「え?」
強盗の放った弾丸が僕の額めがけて飛んできた。
過去の思い出がフラッシュバックに蘇る。
これが走馬灯ってやつなんですね・・・
ろくな思い出、ないや。
僕の意識はそこで消えた。17年の短い人生の終了だ。
008
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
あれ?。
僕死んだ?。ここ天国?
「いや、死んでないよ周りを見てごらん」
と男が僕に声をかけてきた。
ちょうど僕を見下ろす感じで。
「あれ?僕、額を銃で撃たれたんじゃ・・・」
周りを見渡して見て僕は仰天した。
時間が止まってる?
強盗の連中も真白さんも女性スタッフも他のお客さんも
みんなみんな止まっていた。
「ちょっと冷静になれるように時間を止めたのさ」
と男は腕時計を指でコツコツと叩く。
「でも僕完全に撃たれましたよね?」
「うん」
端的にうなずかれた。
「ほらあそこの角見てごらん?」
と男がATMの方を指を指す。
「あ!!」
とまた僕はさらに仰天した。
銃弾だ。
ATMコーナーの下のほうに銃弾が落ちているのを確認した。
僕は立ちあがりソレを近くで確認してみた。
歪な形で変形している銃弾。
手に取って確認して見たかったけど、持ち上がらなかった。そもそも触れなかった。
「時が止まっているからね、物体とかには干渉できないんだよ」
「へ~」
と僕は頷いた。
だから自分の部屋のドアが開かなかったことも分かった。時が止まっていたんだ。
「肉体が硬質化しているのさ、わかりやすく言えば超人化かな?」
といつの間にか僕の後ろに来ていた男が言う。
「まぁつまり」
「つまり?」
「今のキミは銃弾位じゃ死なないのさスーパーマンってとこ」
「はぁ・・・」
「じゃあ時を動かすよ?やるべきことは分かったね?」
「え、えーと」
「ヒーローになるんだよ、物分りが悪いな~キミは」
と男は腕時計のスイッチを2回押した。