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強襲

070


学校の授業というのは退屈である。

神の腕を手に入れてからは尚更だ。

何故かって?

僕が居眠りしていようと何をしていようとも

頭に入ってくる。色々な情報が。

テストというのも簡単に言えば情報の記憶だ。

今度の期末テストで本領を発揮して見せようか?

たぶん僕は学年5位以内にもテキトーでも入れるだろう。

1位は流石に目立つから嫌だけど・・・・・・


本日の授業も無事終わり、

僕は真白と一緒にゲームセンターに来ているところだ。

UFOキャッチャーに何か欲しいぬいぐるみが入ったらしく、

僕にせがんできたのだ。

真白も乙女チックなところもある。

「桐原くん。1発で取ってよね。取れなかったら罰ゲーム!」

「難易度高くないっすか?」

こういう無茶振りをしてくるところも可愛い彼女だ。

だけど罰ゲームのレベルが半端ないが、

「1発で取れなかったら。即、結婚ね。式を挙げましょう」

「・・・・・・真白僕達の年齢を考えようよ」

17歳と16歳。真白は結婚できるとして僕は無理だろ。


右腕で慎重にボタンを動かし、クレーンを操作する。

1のボタンが左移動で、2のボタンが奥移動。

そこだ!!

僕の的確な操作もあり、真白が欲しがっていた、メッキーも1発で取れた。

ピンポイントで紐に引っかかって取れた。

「やった。桐原くん。すごい。・・・・・・でも」

「でも?」

「私と早く結婚するのそんなに嫌?」

「・・・・・・いやそういうわけじゃないよ」

返答に困るよ。


不意に肩をポンと叩かれた。

僕は後ろを振り返る。

僕の後ろには紫色の髪の白い着物を来た男が立っていた。

「あの~なにか用ですか?」

「・・・・・・」

無言だった。

こんな紫色の目立つ髪の色と服を着て恥ずかしくないのか、

いやこれが人生初の喧嘩を売られたというやつか。

仲むつまじいカップルがそんなに憎いのか。腹が立ったのか。

「・・・・・・」

終始男は無言を決め込んでいた。

「用がないなら行きますけど」

と僕は真白を連れてゲームセンターを後にしようとした。

その時である。

男はポケットからスマートフォンを取り出し、

目にも止まらないスピードで「僕にはスローに見える」

文字を打ち出した。

そしてスマートフォンの画面を僕に向けた。

「やぁMEはメタトロン。第4番階級執行者。沈黙の執行者だお。

君を早く早く滅殺したくて早く来ちゃった♡いますぐバトろうか!(^^)!」

・・・・・・。

僕は状況を理解するのに時間を要した。

「僕を殺しに来た執行者なんですね?」

男はゆっくりと頷いた。

「ここで闘うんですか?」

とメタトロンと名乗る執行者に僕は聞いた。

メタトロンはスマートフォンを早打ちし、

「そうだお。準備はいいかな(#^.^#)」

と画面を向けて来た。

次の瞬間である。

メタトロンのスマートフォンは、

すんごい説明がしにくいんだけど、

1回、2回、3回、4回と変形を繰り返し、

あっという間に「長い槍」に変形した。

スマートフォンがどういった経緯で槍に変わるんだ、

というツッコミは置いておく。


メタトロンはいきなり槍を横に振り回して来た。

「真白伏せろ!!」

隣にいる真白に声をかける。

僕と真白は同時に床に伏せた。

メタトロンの槍は僕の真後ろのUFOキャッチャーのウィンドーを。

叩き割り、ガラスと一緒に中の景品を飛び散らかせた。

ウィーン。ウィーン。

UFOキャッチャーのエラー音が辺りに響き渡った。

それを聞きつけ、女性スタッフがやってきた。

「キャー!!!警察を呼んでー!!!」

当然の反応である。

店の中に槍をもった男がいるんだ。

僕でも叫んでいただろう。

メタトロンは槍を抜き、僕目がけて振り下ろしてきた。

僕はそれを左に躱した。

槍はゲームセンターの床に突き刺さった。

僕はメタトロンの顔面に蹴りを入れた。

ゴガッ!!

「・・・・・・」

メタトロンは仰け反る様子は無かった。

だがメタトロンは槍を引き抜こうとする。

が抜けないようだ。

メタトロンはしゃべらないがその表情から必死さが伝わってきた。

「真白、逃げるぞ」

と真白の手を引いてゲームセンターの裏口に走る。

「マツノダオ!!!マツノダオ!!!」

とメタトロンの槍から機械音声が鳴った。

僕達は無視してゲームセンターを出た。

「桐原くん。あれって」

「執行者だ。だけどアザゼルが来た翌日に来るなんて早すぎる」

僕はそんな疑問を持った。

バン!!

とゲームセンターの裏口が蹴り破られる。

「ニゲレルトオモッテイタノカ?」

メタトロンの槍がそうしゃべった。


071


「ゼンカイノアラスジダ、ザイニンヲオイツメタゾ、オカクゴー」

とメタトロンは槍を振り回して後ろ手で構えた。

こいつには決闘とかの概念は無いのか?

いきなりの強襲だ。

「真白下がっていて」

真白を遠くに離れさせた。

「シヌノDEATH」

メタトロンは長い槍を前に突き出してきた。

僕はギリギリで槍を躱し脇で挟んだ。

「ナニヲスル。ハナセ、ハナセー」

その状態で僕はメタトロンの顔面を何発も殴った。

メタトロンの鼻から出血が出た。

僕はそのまま殴り続けた。

「イイカゲンニハナシヤガレ、テメー」

メタトロンの槍が青く発光し、

バリバリバリバリバリ

僕の身体に電撃が走った。

僕はその場に膝から倒れこんだ。

「オワカレDEATH」

メタトロンは槍を高く振り上げた。

「桐原くん!!」

メタトロンの槍が僕に突き刺さろうとした、その時だ。

「動くな!!」

警察官達が拳銃を構えて裏口に並んでいた。

「刃物を持った暴漢ってのはお前だな、そのまま動くなよ」

「ウワー、ヒクワー、ニンゲンワラワラ」

メタトロンは少し躊躇したようだが、再び僕に槍を振り下ろそうとした。

パン!パン!

「イタイ、イタイ」

警察官の放った弾丸はメタトロンの右肩に当たった。

「ウンガイイナ、ザイニン」

と槍をスマートフォンに戻し、メタトロンは空を飛んで逃げた。

逃げたというより他の人間が集まりすぎた為の行動だろう。

「何なんだあいつは追え追えー」

と何人かの警官は後を追っていった。


倒れている僕の元に、真白と中年の警官がやってきた。

「大丈夫?桐原くん」

「ああ少し痺れただけだよ」

「キミが桐原くんか話は聞いていたよ、強盗事件を解決した学生だね。

私は藤原というものだ」

と藤原さんは自分の警察手帳を見せて来た。

「危ないところだったね。詳しい話は署で聞かせてもらえるかな?」

僕と真白は人生初のパトカーに乗り、人生初の警察署に向かうこととなった。

警察署の中ってこんなになっているんだと思いつつ、

取調室で藤原さんに話を聞かれた。

「急に槍を持った男が来たのかい?」

「はい。ゲームセンターで遊んでいたら急に」

「男の顔に見覚えはあるかい?」

「いえ。初対面です」

「そうか。すまなかったね。帰りも送らせるからね」

「ありがとうございます」

と取調室を後にした。

丁度、真白も取り調べが終わった後のようだった。

「桐原くん。大丈夫だった?」

真白が小さな声で聞いてきた。

「うん。全部知らないで通したよ」

「そう。私も」


午後6:30 警察署の入り口に、

帰りのパトカーが用意されていた。

僕達はそれに乗って家に戻る。

警察署は結構街のほうにあって、僕達の田舎町からは少し遠い。

帰り道も真白とは特に会話もなく、パトカーが田舎道に入る。

その時だった。

ズドン!!!

そんな音だったと思う。

パトカーの天井に何かが落ちた?音がした。

そのまま天井を突き破り真下に鋭いものが突き下ろされた。

キキィー!!!

激しいブレーキ音と共にパトカーはスリップを起こして

電柱に激突した。

激突する手前、僕は真白を抱き外へとドアを破って脱出した。

「ラウンド2ダオ」

そんな電子音声がパトカーの方からした。

パトカーの上にはメタトロンが槍を引き抜いて立っていた。

「コンドハ、ニガサナイゾ♡」

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