訪問者
061
しいんじゃないの!!」
と時が動き始めた地上界「全世界止まっていたのか?」で、
真白のビンタは空を切った。
「あれ?」
と真白は困惑気味だった。
「桐原くん。さらに格好良くなってない?」
「真白が止まっている間に僕は修羅場を超えて来たからってあぶね!!」
真白のビンタは空を切った。僕が躱したからだ。
「もしかしてじゃないけど、桐原くん。魔界に行ったの?」
「魔界の王に会って来ました」
僕は左腕のデビルギプスを外し、赤黒く発光した腕を見せた。
「デビル格好いいじゃない♡」
と真白の反応は意外だった。デビル格好いいって何だよ?
その後僕達は魔界の王との経緯と魔界での冒険譚を話した。
「ふーん。そんなことがあったわけね。私も行きたかったな~」
「真白のお嬢様。普通の人間が魔界の空気に触れると即死ですよ」
「アンタは黙っていて駄天使、夢もロマンもないじゃない!!」
「・・・・・・すみません」
ルシフェロさんは本当に真白に顔が上がらないんだな~と思った。
ピロリピロリ僕の携帯が鳴った。
堂島さんからだ。
一応出ていい?と真白に確認をとってから電話に出る。
「こんばんは桐原くん。速報よ」
「こんばんは堂島さん。速報って何ですか?」
「明日から学校が開校されるわ」
「へぇ~事件は未解決のままにね~」
「何?またなにか情報を知っているの?」
「いやなにも。じゃあまたね」
と電話を切った。
真白にメンチを切られていた。
「明日から学校か~。桐原くんとのイチャ♡ラブ生活も今日で終わりか~」
「いや充実していた日々だったよ。楽しかったよ」
「本当?」
「本当だよ」
「でも明日の朝までは私の部屋にいてもらいますからね~」
「・・・・・・はい」
正直自分の家が少し恋しかった。
まぁ恋人の部屋で休息を取るのもいいだろう。
ルシフェロさんとは天子公園で別れた。
まぁ真白との約束が終われば、家でゆっくり話もできると思ったからだ。
ベルフェゴール様からの手紙もルシフェロさんに預かってもらった。
真白と腕を組んで真白の部屋に戻る。
魔界は疲れた。
真白とシャワーを浴びる。
入念にお互いの身体を洗いながら。
僕の両腕は刺青まみれで両腕とも発光している。
鏡に映った僕の肉体は、前にも増してムキムキになっていた。
神の右腕と悪魔の左腕。
僕はとんでもないものを手に入れてしまった。
シャワーから上がり身体を拭き、
僕は二つのギプスをはめて、
真白に言って体重計に乗らせてもらった。
95kgだった。これは重い。今の僕に重さは関係ないけど。
「うわ!!重っ!!」
と体重計を覗いてきた真白に言われた。
軽いショックを僕は受けた。
歯を磨いて顔を洗って僕達はそのままベットで寝た。
もちろんエッチなことはしてないよ。
・・・・・・嘘だ。
062
「桐原くーん朝だよー♡」
彼女の声で起こされる目覚めのいい朝だ。
やっぱり人間界の朝は清々しいです。
二人でシャワーを浴びて、二人で朝食を食べる。
こんな日常が今は本当に幸せです。
今日から学校が開始されるので僕達はクリーニングしておいた、
制服に着替える。
この制服に着替えるのも久方ぶりだ。
もちろん昨晩外していたWギプスも装備して、
僕達は家を出て学校へ向かった。
「桐原くん。夏休みも私とともに過ごしてもらいますからね」
「マジですか?」
「マジよ!!!」
僕達は夏休みの約束も交わすこととなった。
一緒にプールとか海にいけたらいいなぁ。
学校に着き上履きに履き替える。
真白とは腕を組んで登校していた。
パシャ!!
とカメラのフラッシュがたかれる。
「堂島さん!!」
「最近スクープが無くてね~でもこの写真はいいニュースになるわ。
『学校の英雄が学校のアイドルを落とす』ってね」
「堂島さんそのニュースならこの写真にしてくれる?」
と真白が僕の頬にキスをした。
パシャ!!
「いい絵が撮れたわ。ありがとうお似合いカップルさん」
と堂島さんは新聞部の方へ走っていった。
「これで二人は学校公認でカップルだね♡」
「いや前からカップルだったのは周囲にばれていたと思うぞ」
教室。2-B組。
「おっす☆桐原くん。真白ちゃん」
「おはよう水島」「おはよう水島くん」
久しぶりの水島に会えた。
水島は学校が休みの間バイト三昧だったらしい。
「がっぽり稼がせてもらいましたからね~にひひ☆」
朝から晩までずっと働いていたらしい。
さすが元執行者。体力・気力半端ねぇなー。
「おーっすみんな席につけー、久しぶりだなーみんなー」
担任の小林先生が入ってきた。
これからまた平凡な学校生活が始まる。平凡が一番。
そんな平凡な学園生活が終わるのは、
これから1週間がたったある放課後のことだった。
僕が初めてルシフェロさんと会った日のように、
男が校門で腕を組んで立っていた。
男は白い胴着を着た2mは越えているであろう巨漢で、
服の上からでもわかる筋肉質の身体をしていた。
腕も足も大木のように太い。たとえるなら金剛力士像だ。
学校から帰る生徒も明らかにビビって避けている。
僕は真白と共に男の前に立つ。
「桐原優斗だな」
「そうだあなたは?」
「我はアザゼル。要件は言わんでもわかるだろう」
「ああ」
僕はルシフェロさんに携帯で連絡した。超高速で。




