魔界の王ベルフェゴール様
057
ルシフェロさんが城門の前に立ちこう叫んだ。
「堕天使ルシフェルでーす!!!!!!!!!!」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
と明らかに重そうな城門が開かれる。
中から放たれる空気は非常に重く息苦しかった。
「ベルフェゴール様の魔力さ、俺達を歓迎しているんだよ」
ウィンシュヴァブ・・・・・・噛むから「ウザ城」でいいよね?
の中はただっ広く、色々な色の窓や扉が乱雑にあった。
僕はルシフェロさんの後をゆっくりとついて行った。
様々な廊下を渡り、言葉で表現できない魔物達にガンつけられながら、
魔界の王が住む玉座の間へと僕達は向かう。
「ルシフェロさん。ワープは使わないんですか?」
非常に小さな声で聞いた。
「魔界の王の城だよ。そんなことをしたら失礼じゃないか」
じゃあ、あんたの「ルシフェルでーす」も相当失礼になるんじゃないかと
僕は思ったが黙っておくことにした。
螺旋式の階段を僕達は上る。
ずいぶんと長い階段だ。真白の実家のエレベーター以上はあるんではないか。
長い長い階段を昇った。
今まで見て来た扉の中でも一際大きな扉の前についた。
「堕天使ルシフェルです。謁見に参りました」
とルシフェロさんがいやに丁寧な口調で話した。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
とまた扉が開かれる。
「うおっ!!」
と僕は驚いた。
扉を開けてくれたのは本で見た、一つ目の巨人サイクロプス だったからだ。
しかも二人!!!
王の玉座までは赤い絨毯が長く引かれておりその横には
甲冑を来た魔物達が、千人以上はいるだろうか、整列していた。
僕達はその絨毯の真ん中をまっすぐと歩く。
正直びびっていた。
千人を超える魔物達が常に僕達を睨んでいるからだ。
長い絨毯の終点につき玉座の前についた。
「毎日失礼いたします。堕天使ルシフェルです。勝手ながら人間、
ゴッドアームの継承者も連れて参りました」
誰も座っていない玉座の前にルシフェロさんは跪きそう言った。
王の玉座なのに誰も座っていないなんて・・・・・・
「二人ともよく参られた。そこに座れ!!」
威圧感が半端ない声が玉座の間に響き渡った。
ルシフェロさんが正座をしたので、僕も急いで正座をした。
「ワハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ」
玉座に霧がかかり声の主が姿を現した。
姿を現した声の主 魔王ベルフェゴールは
壮年の紳士の姿をしていた。赤いビロードのマントを肩から下げていて、
モノクルをつけた、白い髪の白い髭の紳士。
僕の想像とまったく違っていた。普通の
「普通のおじ様か」
と魔王ベルフェゴールは渋い声で言った。
「こ、こころをよめめるんでございますすか?」
と僕は完全にテンパッタ、いやテンパった。
「ワハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ」
またベルフェゴール様が笑いだした。今度からは様をつけよう。
「ゴッドアームの継承者がこんな子供だったとはな。驚いたぞ。
ルシフェル。よく来たな。毎日毎日よく諦めないな」
言葉のひとつひとつから重さを感じる。
「ベルフェゴール様。これは私の戯れでやらせて頂いております巡業でございます」
とルシフェロさんが頭を下げつつ言った。
「ふむ。ルシフェルよ。お前がゴッドアームの継承者を連れて来たということは
友は本当に力を半分失ったのだな。これで確信が持てたぞ」
ベルフェゴール様は神さまとは旧知の間柄らしい。
「しかし、ゴッドアームの継承者よ」
「は、はいなんでございましょうか?」
「人間の分際でよくここまで来れたな。その度胸ワシは関心したぞ」
「は、ははー!!」
と僕も頭を下げた。
「二人とも頭を上げよ!!」
言葉と同時に僕の頭が動いた。これもベルフェゴール様の魔力か。
いやただ僕がビビッているだけか。
「ワシが魔界の王と言えど、そんなにオドオドされながらだと話難いわ!!
してルシフェルよ。要件はまた同じか?」
「はっ毎度のことではありますが、その通りでございます」
「失せろ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
その一喝でルシフェロさんの姿は消えてなくなった。
殺されてしまったのか。
「ワハハハ。ワシは客人は殺さん。しかしゴッドアームの継承者よ、」
「は、はい」
「お前はゴッドアームで何を手に入れた?」
「か、彼女と友達と、し、将来の職場でございます」
「それだけか?」
「はい!!」
「・・・・・・ワハハハハハハハハハハハハハハハハハハ小僧!!お前には
欲望がないのか?神の力を手にして、そんなものか?」
とベルフェゴール様は玉座から腰を上げ、
僕の目の前まで跳躍してきた。
「気に入ったぞ小僧!お前名はなんと申す?」
「き、桐原優斗でございます」
「では優斗よ、左腕を出せ」
切断されるんではないだろうか?違いますか?
ベルフェゴール様は左腕を天高く振り上げた。
あぁこれ殺されるパターンだ・・・・・・
058
前回までのあらすじ。
僕殺されそうです。走馬灯を見ています。
終わり。
ベルフェゴール様が振り上げた腕を、僕に向かって振り下ろした。
さよなら皆さん。僕の物語もここで終了のようです。
僕は目をつぶった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・あれ?
死んでない?このパターン2回目?
僕は目をそおっと開けた。
僕の左腕が赤黒く発光していた。ドスが効いた刺青も浮かび上がっている。
「って何ですか?これ!?」
「ワシの腕だ!!」
玉座の間がどよめきに包まれる。千を超える魔物達が騒ぎ出した。
「黙れぃ!!!!!!!!!!!!!!!!!」
ベルフェゴール様の一声で城内は静かになった。
「優斗よ!!お前にはワシの力の半分をくれてやった自由に使え。
まさかデビルアームにも適応するとは、面白い人間だな。お前は」
ベルフェゴール様の両腕は確かに存在してて、僕の左腕は発光している。
神の腕、悪魔の腕とは、
あくまで力の結晶というものだったのか。
と勝手に判断してみる僕。
「その通りで当っているぞ。優斗よ」
とまた僕の心を読んだ。ベルフェゴール様。
「聞けぃ!!!魔界の強者共よ!!!」
ベルフェゴール様の声は魔界の隅から隅まで聞こえるくらいデカかった。
僕はおもわず耳を塞いだ。
「ワシの力は半分ぞ!!魔界の王となりたい者はいつでもワシのもとへ来い!
いつ何時でも相手をしようぞ!!だがその全てにワシは勝つ!!!」
魔界の王の威厳たっぷりの言葉であった。
「ワハハハハ。これで魔界も面白くなるわ。優斗よ。神との闘いまでに、
その腕は預ける。大事に使えよ。だが悪魔の腕は神の腕ほど甘くないぞ?」
「は、はい!!ありがとうございます」
「ワシもそれまで魔界の王であり続けようぞ」
「はい!!」
「兵よ!!優斗を我が城から送りだせぃ!!」
「はっ!!」
一番手前にいた甲冑の魔物2組が僕の横に来た。
「正面玄関門までお連れ致します」
「お、お願いします」
と2人の魔物に頭を下げた。
僕は王座の間を後にする。
「優斗よ!!!!」
ベルフェゴール様の声に僕は振り返る
「またいつでも遊びに来い!!!!」
「はい!!」
僕は笑顔で頭を下げた。
その時だ。
玉座の間の窓を割り、黒い一つの影が降りて来た。
その影は立ち上がりベルフェゴール様に向かって一直線に駆けた。
ベルフェゴール様の前でその影はマントを脱いだ。
「私は魔界最強の剣士、ベルバオム!!王の座お覚悟!!」
「来い!!!!」
僕は2組の魔物に連れられて玉座の間を出た。
二人のサイクロプスによって玉座の間の扉が閉じられる。
扉が閉まるその瞬間。
ボロボロの姿になった、ベルバオムが扉の隙間から飛んできた
「・・・・・・む、無念」
魔界の王は圧倒的な力をいまだ誇示しているようだ。
2組の魔物と共に僕はウザ城の中を城門に向かって歩いていた。
2組のうち一人が僕に話かけてきた。
「なぁあんたってマジすげぇよな神と悪魔の力どっちもGETしたんだろ」
「そうですね」
「うむ。俺もそう思う。お前は大物になるぞ。いやもうなっているか」
ともう一人も話出す。
2組の魔物と共に、僕はしゃべりながら門のところまで来た。
しゃべりながらだとあっという間の距離であった。
充分長かったけれども。
「お二人ともありがとうございました」
と僕は2組の魔物に頭を下げた。
「本当に謙虚な人間だよな~」
「うむ。俺もそう思う」
正面の城門が開かれ僕はウザ城の外へ出た。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
と城門が閉じられた。
・・・・・・うん。僕どうやって帰ればいいんだろう。




