僕を魔界に連れてって
055
「よぉラファエル?まだ話せるか?」
とルシフェロさんがラファエルを見下ろしていた。
ラファエルは右腕と腹部のパーツがなくなりほぼ瀕死の状態に見えた。
「ペッ」
とラファエルは血をルシフェロさんに吐きかけた。
「おいおいそれはないだろ?俺をこんな状態に追い込んだ半分はキミのせいじゃないか?まぁそのせいでそんな瀕死の状態になったのだから、
ざまぁないですねと俺はキミに言うよ」
「ざまぁないか・・・・・・いやその通りだな俺はあんたを嵌めたんだからな」
「そうさそれが今のキミの末路さ、これから優斗くんは
さらに強力な執行者達と闘わなければいけないのだろし、
少し情報提供をしてよ」
「俺の頭の中を読めばいいだろうが」
「じゃあ勝手な質問コーナーだね」
「・・・・・・」
「神さまは神呪縛解放を許したのかい?」
「・・・・・・」
「YESかそうかついに解禁したんだね。よほど天界も荒れて来た証拠だ。
続いて第2の質問です。神さまは何でそこまで焦っているのかな?」
「・・・・・・」
「なるほどね。それは焦りますわな。神さまもそれはそれは忙しいわけだ。
いずれ俺達にも関係がある話だね」
「・・・・・・どっちにしろあのガキには地獄が待っている」
「そこは俺がサポートするさ。前以上にね。今度は信頼関係が崩れないように頑張るよ。ラファエル最後に言い残すことはないかな?」
「・・・・・・・ん」
「何だい?」
「ごめんな兄ちゃん」
「そうか、それが真実だったのか。・・・・・・さらばだ。よくできた弟よ」
とルシフェロさんはラファエルを吸収し始めた。
その背中は少し悲しそうに見えた。
「ラファエルも吸収したし俺の肉体もだいぶ回復したよ」
「ルシフェロさんラファエルとは兄弟だったんですね」
「うん。言ったら闘いづらいと思っていたから黙っていたよ。悪かったね」
「いいんです。それは僕に対する配慮だったんでしょう?」
「キミは少し優しすぎるからね」
「・・・・・・そうですか」
僕は闘いにおいては自分は相手より冷酷にならなければと常に思っていた。
そんな僕に優しさがあるなんて。
「ちょっと。駄天使!!さっき弟と話していた話をくわしく聞かせなさいよ」
少し感傷に浸っていたところに、ズバッと登場!!真白さんだ。
「桐原くんもボロボロだし、ゆっくりと話を聞かせてもらおうじゃないの」
「じゃあ話そうか」
「こんなところで立ち話する気?私達はベンチ。あなたは正座よ」
「マジですか?」
「マジよ!!!!!!!!!!!」
僕は恐ろしいので黙っておくことにした。
僕と真白はベンチに座り、
正面に正座している、ルシフェロさんというわけのわからん構図ができた。
僕の右腕の亀裂もだいぶ回復してきた。
服はルシフェロさんに戻してもらった。
「さぁ何から話そうか」
はい。と僕は挙手した。
「何だい?優斗くん」
「ラファエルが途中からめちゃ強くなったアレって何なんですか?」
「いい質問だね。執行者達は下界に降りる時には力をかなり制限されるんだよ。
下界の影響とかもあるしね。そこで神さまはリミッターを執行者達にかけているんだよ。」
「リミッターですか」
「そう。でもそのリミッターを解除していいという理由は一つもない。
つまり原則外しちゃ駄目なんだ。今度からは特例だね」
「駄目なのはアンんぐ」
真白がまた毒舌を吐こうとしたので、手で口を押さえた。
「神さまがキミのゴッドアームを回収したいという理由もそこにある」
「何の理由でしょうか?」
「下界。今いるこの世界は二人の王によって管理されているんだ」
「二人の王?」
「一人は天上界の神さま。もう一人は魔界を掌握している魔王ベルフェゴール。
この二人によってこの世界は平定しているんだ」
「なんかとんでもないスケールの話ですね」
「フフ。これは人間が知っちゃいけない話なんだけど、キミは特別だからね。」
「ハハハ笑えないですね」
完全に知っちゃいけない話だコレ。
「来年二人の王は対決する」
「!!?」
「今の状態で神さまとベルフェゴールが戦えばベルフェゴールが勝つだろうね。
神さまは半分の力しか使えないからね。それが、執行者達がゴッドアームを取り返したい本当の理由だったんだよ」
056
こんかいぼくがわかったこと 2ねんBくみ きりはらゆうと
かみさまがぼくをねらうりゆう まおうとのけんか にんげんかいのリセット
ルシフェロさんがだてんしたわけ リセットのぼうし おとうとのさくりゃく
って小学生の作文風にしたけど全然ヤバイ話感が消えないよ!!!
僕はとんでもないスケールの喧嘩?に巻き込まれてしまったようだ。
以前の僕ならぶち切れていたとこだが理由が理由だ。
僕がなんとかしなくてはいけないことだ。
このゴッドアームに選ばれたのだから。
「魔王が勝った場合はこの地上はどうなるんですか?」
「う~ん荒れるだろうね。魔物とかうじゃうじゃ出るとか」
「怖っ!!神様が勝っても地上のリセットですもんね」
「だからベルフェゴールに直接俺が交渉しているんだけどね」
「え!!?」
「言ってなかったっけ?俺がここ数日出かけていたのは魔界さ。
魔王ベルフェゴールに毎日交渉していたからね。
神さまと違って話はちゃんと聞いてくれるいい人だよ」
「初耳です」
「殺すんぐ」
また真白が毒を吐く前に口を押さえた。
でも殺す。まで言っちゃったからな~今度は早く押さえねば。
「俺が天界の所属で無くなったってことも大きいだろうね。堕天しました。
って言ったら大笑いして話を聞いてくれたよ。
まぁ対決自体は行われるみたいだけど。なんとか対決を止めたいんだけどね」
「・・・・・・魔王に交渉ってどんだけの交渉スキルですか」
「大したことないよ。だって毎日交渉は失敗しているからね。
俺が阻止したいのは地上が荒れることだよ。
なんとしてもこれだけは止めなくては」
「・・・・・・そうですね人間代表としてもなんとしても止めなくては」
「そうだ!!これから一緒に魔界に行ってみるかい?」
「はぁ!!?」
「ふざけるんじゃないわよ!!!」
と真白が完全にキれた。立ち上がってルシフェロさんに食いかかる。
僕も突然の展開にびっくりを飛び越えてビックリマンだよ。
「私の愛する桐原くんを魔界に連れていくなんてアンタ頭おか」
急に真白の動きが止まった。
ピクリともうごかない。手を振りかぶったポーズのまま。
「時を止めさせてもらったよ。またあの痛いビンタを喰らいたくないからね。
優斗くん、どうする?。俺と共に魔界に行ってみる?」
「行きましょう!!」
僕は向こう見ずな性格があるけどそこは即決で行動を取ることにした。
ルシフェロさんは円を描くように空間に線を引いた
レミエルが行ったように異次元空間の扉が開いたのであった。
僕は躊躇することなくその空間の中へ入った。
異次元空間の中ってこんなになっているのか。
色々な色が次々と入れ替わるように躍動している。
常には見てはいられない配色だ。
「魔界の門まで走るよ」
「はい」
僕達は魔界の門と呼ばれる場所まで走っていくことになった。
魔界についた。
ずいぶん省略した表現になるけど、
僕達は時間にして10分は異次元空間の中を走っていた。
魔界ってのは想像していたけど、想像以上だった。
空は暗黒の雲に包まれ、常に稲光が起きる、
荒野は荒れ果て永遠に続くように見え、森もうっそうと不気味にそびえている。
その森の奥の山にとんでもない大きさの城が見えた。
「どう?初めて魔界に来た感想は?」
「混沌としてますね」
「まぁここは地上と魔界の狭間だからね。流石に歩いてあの城にいくには
時間がかかりすぎる。だからここでも扉を開くよ。ついてきてね」
ルシフェロさんはまた異次元空間の扉を開いた。
僕達はまたその空間の中に入り、次の出口まで走った。
僕の目の前にとんでもない大きさの扉が見えた。
あんな遠くに見えた城の前の城門だ。
「ウィンシュヴァヴァイン・イエンクラウド・ジッグスナインジザ城」
なんか神、いや噛みそうな名前のお城だ。




