天上界と現実と夢の中で
045
一方天上界では。
執行者会議室。
ズドン!!
円卓を叩き一人の執行者が立ち上がった。
「サリエルまで消されただと。よりにもよって堕天して下界に降り立つとは、どいつもこいつもなにをしているんだ!!!」
「そう熱くなるんじゃねぇよ」
「熱くなるなだと?ふざけるな!!お前が言えた口か!?」
「あぁん?お前から消し炭にしてやろうか?」
「二人ともここはそういう場じゃないでしょ、落ち着いて」
「・・・・・・すまない」
「・・・・・・悪かったよ」
「では話は俺がしよう。サリエルが堕天して下界に落りた影響で、下界には大きな歪が発生している。いま修復作業中だ。これはかなり時間がかかるであろう。信仰も薄くなってきている。我らの本来の力は今出せない状況である。つまり。」
「つまりなんだよ?」
「・・・・・・」
「桐原優斗および裏切りものルシフェルの執行は今はできない」
「60%くらいの力があればあいつらなんて処刑できるぜ!!」
「30%だ。下界での今の我らの力は」
「そこまで落ちているとはな、知らなかったぜ」
「今は信仰と歪が回復するのを待つ時期か」
ガチャ
「君達に特別な話がある」
「!!?」
「なるほどね」
俺は一人で優斗くんの部屋でゴッドフォンで奴らの話会いを見ていた。
やはりサリエルの堕天と人間達への洗脳が大きかったんだね。
想定外の出来事だったよ。
あれだけの人的被害をもたらしてくれとはね。
ありがとうサリエル。
これは執行者達も焦るわけだよ。
俺?肉体もだいぶ戻ってきたので色々準備をしているところだよ。
まぁこれで優斗くんもつかの間の安全と自由が確保されたわけだ。
彼には最近頑張ってもらってばっかりだったしね。
愛する彼女とイチャイチャして貰いますか。
優斗くんに話し手を戻します。
ではまた。
「真白って髪本当に綺麗だよな」
僕達は本当に二人で風呂に入っている。
ユニットバスで結構広い風呂なので、真白がしたかった身体の洗いっこもできた。
今は真白の提案だが、お互いの髪をシャンプー&トリートメントを
しているところだ。
僕は髪が長いほうではないのですぐ終わったが、
真白のロングヘアーは洗うのも保湿するのもかなり大変だ。
「桐原くん。中々うまいじゃない。ゴッドアームで美容室でも開いたら?」
「僕はピュアホワイトファイナンスを継ぐのじゃなかったっけ?」
「そうだったわね」
「まぁ話を戻そう。女の子って髪をこんな時間かけて洗うんだね」
「愛されヘアーを維持する為ならばこれくらいの努力は必要なのよ」
「愛されヘアーね」
「そうあなたに愛され続ける為には常に努力が必要だから」
「だからさ、僕は浮気はしないって」
「あなたのその腕と能力があれば大体の女は落ちるわよ。
私だったら世界中の美女たちを集めて、
自分だけのハーレム王国を築くつもりよ」
「野望のスケールが大きすぎるよ!!」
「もちろんあなたが私の言葉に感化されてハーレム王国を築いたら、
真白家の総力をあげて殺しにかかるからね」
「怖いよ~。はい終わりです。お嬢様。綺麗に仕上がりましたよ」
「はい。ありがとうございました♡」
彼女との同棲生活。
僕達の幸せがこんな風に続けばいいのにな~と心から思ったのである。
046
真白の準備はよく買ってきてくれた新しいTシャツとパンツに着替え、
コンビニで買ってきてくれた歯ブラシで歯を磨く。
一応後でルシフェロさんに報告するつもりだ。今の状況とそちらの状況を知りたいから。
PM10:30
「真白。ルシフェロさんに電話していい?」
「あの駄天使ね」
「なんとなくなんだが堕天使の堕の字が違うような気がするんだが」
「だって駄目天使じゃない。」
「どんだけルシフェロさんのこと嫌いなんだよ!!」
「いいわよ。私が見ているから好きに電話して」
「真白が見ている状況で電話か・・・・・・発言に気をつけないとな」
「今の発言が要注意よ」
「・・・・・・すいません」
僕はルシフェロさんに電話をかけた。
「やぁ優斗くん。彼女との同棲生活は満喫してる?」
「なんでも知っているんですねルシフェロさん。そっちはどうですか?」
「特に何も起きていないよ、ここしばらくは執行者は来ないと思っていいと思う。俺も肉体を少し取り戻したことだし、明日から少し行動をとるよ」
「何かやるんですか?」
「そうだね。まぁちょっとしたことさ。キミが気にすることはないよ。安心したまえ。それよりゴッドアームが進化しているの気づいた?」
「え?別段変化ないと思いますが」
バッ!と真白に携帯を奪われた。
「駄天使さん。ごきげんよう」
「おっと、これは真白のお嬢様こんばんは」
「しばらく桐原くんは安全なわけなね、じゃあ執行者が来るまで連絡しないで頂戴」
「了解いたしまし」
ブチッと真白は電話を切った。
「しばらく平気なようね桐原くん。良かったわ。でも明日からはビシバシ行くから」
「何を?」
「お勉強よ。学校が休みでも勉強しなきゃね。
まぁでも遊びもちゃんと考えてあるから」
「真白先生が付きっきりで教えてくれるなら僕の成績もグンと上がるね」
「そうね期待してて。今日はもう寝ましょう」
僕は真白と同じベッドの中眠りについた。
・・・・・・・・・・・・・・・?
ここはどこだ!?
僕の視界は一面真っ白な世界を映していた。
「いやぁ優斗くん」
真っ白な世界には似つかない全身真っ黒のスーツでこちらに来る男がいた。
「ルシフェロさん?」
「お嬢様彼女と同棲生活じゃ、中々キミと話会えないから直接会いに来たよ」
「ここは僕の夢の中ですか?」
「そ。ここは君の夢の中。勝手に干渉させてもらったよ。君の頭の中は真白さんでいっぱいなんだね。だからキミの夢の中は真っ白だ。ハハハギャグじゃないよ?」
「一体なんの用事で夢の中まで会いに来たんでしょうか?」
「一回俺と闘おう」
「え!?」
「ようやく俺も肉体を取り戻したんだ65%位かな。俺も一応は執行者だからね。キミの闘いの練習になるんじゃないかな?どうだい?」
「そうですねいい機会ですし。ルシフェロさんの強さも知りたいですからね」
「ハハハハ。俺の強さか。試してみるかい?」
ルシフェロさんは赤いアタッシュケースを異次元から取り出した。
「もしかしてルシフェロさんの神具ってそのアタッシュケースなんですか?」
「『神箱・パンドラ』これが俺の神具だ」
「ルシフェロさんの能力は夢を操る力なんですか?」
「違うよ。これも数ある盗んだ神具の内の一つの力だよ。俺の力はね」
「はいなんでしょう?」
「聞くまでもない。体験してみたまえ」
とルシフェロさんは僕の頭部めがけて蹴りを放ってきた。
僕は咄嗟にガードを取る。凄まじい速度と威力だ。まるで
「アルマロスを思い出すだろ?」
「心を読む力なんですね」
「正解」
とルシフェロさんは宙を舞いパンドラの中からリボルバー拳銃・ケルベロスを抜き
僕の躱す方向へ発射してきた。
ドパン!!ドパン!!ドパン!!
と僕の左足を狙った的確な射撃だ。
心を読んでいるんだ僕の躱す位置も分かるはずだ。
僕の足にケルベロスの弾丸がヒットする。
「ぐっ」
「お楽しみはこれからだよん。キミの可能性はそんなものじゃないからね」




