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サリエルの憂鬱

039


ルシフェロさんの姿は生徒達に見えないようで、

生徒達は僕に攻撃をしかけてきたが、真白を背負ってない為、手刀が使えた。

手刀のほうがケガをさせずに済む。

ルシフェロさんも僕を襲う生徒に蹴りを放って気絶させてくれた。

アルマロスを吸収した分。足が物理的に使えるようになったのだろう。

僕達は3階へと急ぐ。

3階にはなんということだろうか生徒達に紛れて、

葵と堂島さんがいた。目から赤い涙を流してだ。

「くっサリエルの野郎」

「サリエルは卑劣な男だからね。君のことを入念に調べているのだろう」

「許せ2人とも、今度なにか奢るよ」

と僕は2人に手刀を浴びせて、床に落ちる前にキャッチして床に寝かせた。

「ごめんな」

目の前と背後からやって来る生徒達に僕は回転蹴りを浴びせた。

妹とメル友を操られた怒りの八つ当たりだ。もちろん手加減はしたが。

屋上まではあとは直線だ僕達は屋上まで向かって走った。

屋上の扉を開ける。

屋上には2人の人影がいた。

サリエルと真白だ。

サリエルは白髪で異様に痩せている男だった。

身長は僕と同じくらいで175cm位だろうか。

痩せ身のせいか戦闘能力はゴッドアームを手に入れる前の僕より無さそうだった。

他の執行者が持っていたように、こいつの神具はハープのようだ。

目はうつろで何か虚無的なものを感じた。生気を感じない。

その腕に真白は抱かれていた。

だがその真白の首にはハープの弦があてられていた。


ルシフェロさんは侵入してくる生徒を防ぐため屋上のドアに結界を張った。

「サリエル!!!真白を離せ!!!」

僕は激昂した。

「桐原・・・桐原優斗だったねキミの名前は」

非常に弱弱しい声だった。

「・・・・・・僕のことは知っているようだな」

とサリエルは続ける。

「わかっている卑怯者だってことをこの目で見て来たからな」

「・・・・・・わかってないな」

「何!?」

「卑怯なのは・・・キミの横にいる男ルシフェルだよ」

「それはみんなから言われているからもう慣れたよ」

とルシフェロさんは答える。

「神の右腕を奪い・・・・・数多の神具を盗み、堕天したおろかな天使ルシフェル。僕にはきみの行動自体理解ができてない。わからないんだ。かつての友が何故凶行におよんだのか」

とサリエルは空を見あげる。

「だから僕も堕天してみた。地上への到着が早くなるって・・・・・・意味もあるけど、知りたかったんだ。堕天っていうものがどういうものなのか。なぜ友は・・・・・・堕天したのか知りたくてね。結果僕は生気を奪われた。そうこれは罰なんだ。天使は任務以外で地上に降り立ってはいけない・・・・・・。

そうさルシフェル。君が肉体を無くしたようにね。君の辛さが少しわかったよ」

「それはどうも」

とルシフェロさんは曖昧な返事をした。

「サリエル!!狙いは僕だろ真白は関係ない離せ!!」

「・・・・・・美しいな」

「何がだ!!」

「人間の愛だよ・・・・・今の僕には眩しすぎる。眩しすぎる。この子も言っていたよ・・・・・桐原くんに手を出すなってね・・・・・・自分の命はどうなってもいいのかな?今は黙ってもらっているけどね。・・・・・・桐原優斗」

「なんだ!?」

「この子のためならば己の命を・・・・・・捧げられるかい?」

サリエルの質問に少し黙った後僕は答えた。

「彼女のためならば死ねる」

「・・・・・そうか。・・・・・・なら」

「何をすればいい?」

「その右腕で己が心臓を抉り・・・・・・握り潰せ」

僕は右腕で自分の胸を掴んだ。

「・・・・・・駄目」

「真白!」

「駄目だよそんなことしちゃ。私のことはどうなってもいいから、っう」

サリエルはハープの弦を深く真白の首に一気に押し込む

「・・・・・・しゃべるなと言っただろ?」

「やめろー!!!!」

僕の走るスピードより早く、

真白の真っ赤な鮮血が飛び散った。


040


僕は渾身の力でサリエルの顔面をぶん殴った。

サリエルは屋上のフェンスまで一直線に吹き飛んでいった。

「真白ー!!!」

崩れ倒れる真白のもとへ僕は駆け寄った。

首から流れる血が止まらない。

どうすればいい。

「冷静になれ優斗くん。ゴッドアームは万能だ。彼女の傷が再生するイメージで彼女の傷を治すんだ。キミならばできるはずだ」

とルシフェロさんは教えてくれた。

「治るイメージ、治るイメージ、治るイメージ」

僕は祈るように呟きながら、真白の首の傷を覆った。

ゴッドアームの力で真白の傷は無かったかのように消えていく。

「・・・・・真白ごめん」

僕は彼女を守れなかった。傷つけてしまった。


「サリエル。君は本当に愚かだね」

「・・・・・・ルシフェル」

「君の行動で天界はさらに荒れるだろうね、それなりの準備が必要になるんじゃないか?」

「いいんだ・・・・・・ルシフェルお前にまた会えたそれだけで僕は・・・満足だ」

「堕天したとはいえ執行者が多くの人間を傷つけたんだ。それは反省しろよ?」

「・・・・・・ああ僕も冷静では・・・・・・無かったね」

「じゃあなサリエル。俺の中で眠れ」

「さらばだ・・・・・・ルシフェル」

俺はサリエルをこの身に吸収した。

そしてこの事件の原因も回収した。


「ルシフェロさん!!」

「ん?どうした優斗くん。まさか失敗したとでも言うのかい?」

「そんな縁起の悪いこと言わないで下さいよ。真白の傷は治りましたけど、目を覚まさないんです。どうゆうことなんでしょうか?真白は死んじゃったんですか?」

「呼吸はしているし死んではいないね。それよりこの学校にかけられている呪いを解こう」

「呪いですか?」

「そ、呪いだ。この学校全体を洗脳していた原因がこれさ」

とルシフェロさんはさっき真白の頸動脈を掻っ切ったハープを見せて来た。

「神琴・セイレーン 人の心を惑わす神具さ」

「それでこの学校の生徒達を操っていたんですね」

「そう。いい加減この悪夢も解いてやらないとね。アルマロス・・・・・・

いや水島くんが永遠にマラソンするはめになってしまうしね」

グラウンドで生徒に追っかけられている水島を屋上から見下ろした。

「じゃあ早い解いて下さい」

「わかったよ。じゃあ行くよ」

ルシフェロさんは神琴・セイレーンを奏でた。

神琴・セイレーンは今まで聞いたことのないような幻想的な音色を奏で、学校全体に響き渡った。

「これでこの学園の生徒達は今日の出来事を忘れるだろうね」

ただし元から洗脳されていた人間だけだけどねとルシフェロさんは付け足した。

グラウンドの生徒も皆眠るように倒れた。


「そういうことだったのね桐原くん」

後ろから急に真白が声をかけて来た。

「うわ!!真白!!!」

「いつまでたっても『人口呼吸』してくれないから、

いい加減起きることにしたのよ」

「それでずっと死んだふりを?」

「それよりその腕の話もっと聞かせてもらえる?」


学校で登校していた生徒、教員が全員昏睡状態になるという怪事件が発生した為、

緊急の学校集会が行われた。

生徒や教員の一部が後頭部や腹に原因不明の痛みを感じたということが

多かったため、

龍神高校はしばらくの間休校になることになった。


僕ですか?今は真白とルシフェロさんの3人で喫茶店に来ているところです。


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