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神の力授けます。

003


それならば逃げようと僕は自分の部屋から逃走を図った。

が、開けっ放しにしといたはずのドアは閉まっており、ビクともしなかった。

引いてもダメなら蹴ってみろとローリングソバットの要領で蹴りを入れたが、

ドアは平然とビクともしなかった。ドンと音と僕の足首を捻るだけで・・・。

「むぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ」

と声にならない叫びを僕はあげた。恐怖とそして痛みからだ。

「ハハハハ、腹痛いそんなリアクションをしてくれるなんて堕天使冥利だよ」

と男は伏線めいた事を言っていたような気がしたが気のせいであろう。

それより足首が痛い!!!。

自業自得であるが・・・。

「どれ足首見せてみなよ」

と男は僕に近づき、僕の足首を掴んだ。

「ホラ、もう痛くないだろ?」

と男は僕の足首を離して聞いてきた。

痛みがまるでない。

人間こういう時は不思議なものである。

「あ、ありがとうございます」

と家宅侵入の男に礼を言ってしまった。

てかどうやって痛みを消したんだろう?。

そんな疑問もあったが男の方から話を振ってきた。

「やっと話を聞いて貰えるような雰囲気になったね」

「宗教の話ですか?どんなトリックを使ったかは知りませんがこれは犯罪ですからね」

と男と初めて会話をした。でも会話にはならなかった。

「神になってみないかい?」

と男は窓際に置いてあった赤いアタッシュケースを持ってきた。

「桐原優斗くん。キミには才能があるんだよ、それも神になる才能がね」

「僕にはそんな才能なんてありませんよ、さっきのローリングソバットもパニック状態で出せた隠しコマンドの技ですからね。」

と僕は自分を否定する。神になる才能って何だよ・・・。

「桐原優斗くん。うーん名前長いな 優斗くん でいいよね」

「いいですよ僕の名前ですからね」

少し自暴自棄気味に答える。もうこの男のいいなりだよ。

「優斗くん。キミの人生を見てきたけど本当に華がないよね~青春の「せ」の字もない人生

だよ。そしてこれから先の未来もね」

「大きなお世話ですよ。僕はこれからも地味に生きていくんです」

我ながら情けない言葉である。

「そんなつまらない人生を変える為に俺は来たんだよ?わかりやすくいえばのび太くんだね、ドラえもんの」

「僕はあそこまで酷い脳みそは持っているつもりはありません」

藤子・F・不二雄先生に対して何たる暴言を吐いているんだ僕は。

男はアタッシュケースを開けながら僕に話す。

「これからのキミにはバラ色の人生が待っているんだ、さぁこれを身に着けたまえ」

アタッシュケースから出てきたのは。

『黄金の腕』だった。

もっと明確に説明するのであれば、

『黄金に輝く右腕』だ。

どうやってアタッシュケースに詰め込んでいたのか、

なぜこの男がこんなものをもちあるいていたのか、

疑問は無限に等しい位につきなかったが、

僕が最初に聞いた質問は実に安易でチープな質問だった。

「それ、めちゃくちゃ高いんですよね?」


004


僕が発した質問に答える為に男は少し時間を要した。

要するに呆れたようである。

「高い?ハハハハ金では買えないものだよコレ」

売りつける目的ではないらしい。

身に着けたまえとロックマンのライト博士みたいなこと言ってたしな~。

そんなことを考えていると

「ほら着けてみなよ」

と男は『黄金の腕』を僕の方に渡してきた。

反射的に受け取ってしまう僕。

後から思えば、これが人生の分岐点だったんだなと後悔をしたが、

この時の僕はそんなことまで考えていなかったようだ。

平凡な脳みその高校生ですからね。

「着けてみなよといわれましてもコレ特に穴とか開いてないじゃないですか?どうやって着ければいいんですか?」

とその『黄金の腕』を様々な角度から回して見てみる僕。

「ああ、装着方法?簡単だよ、自分の右腕の上に置いてごらん」

と男はジェスチャーを交えて言ってきた。

「はぁ・・・」

もう男のいいなりだ。どうせつけるまで僕を解放してくれないんだろうし。

そう思って僕は『黄金の腕』を自分の右腕の上に置いてみた。

ギョルルルルルルルルルルルルルルルル

そんな音を立てながら『黄金の腕』は僕の、僕の、

右腕に吸い込まれていく。

「ちょ、ちょっとあんた!!これやばいんじゃないすか?」

もう僕はパニック状態だ。

「フフフフ、今キミの腕とシンクロしているのさ」

と男は笑みを浮かべながら僕の腕に浸透していく腕を見ている。

「いやちょっと痛いし、これどうなっているの?トリックってレベルじゃないでしょ?」

「まぁまぁ、もう痛いのは無くなっていくはずだよ」

僕はとんでもない過ちを犯してしまったのか、ただただ腕の浸透を見ているだけだった。

5分位だったのかな?

『黄金の腕』は完全に僕の右腕の中に入ってしまい。

文章では表現できない刺青みたいな模様が浮かんできた。

その間僕は本当に見ているだけだった、抵抗しても良かったはずなのに。

『ゴッドアーム』

「はい?」

「優斗くん、キミは今から『神にも悪魔にもなれる力』を手にしたんだ、まず何がしたい?今のキミはもう完全無欠の存在になったんだよ」

「まず、この腕を外して下さい!!」

これが僕の最初の願いだった。

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