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転校生とガチバトル

031


続いて砲丸投げ。

陸上部の最高記録は15m10。

これを超えればいいんだなと僕は少し力を入れて、

砲丸を投げた。

17m50 やりすぎてしまったか?

これは高校生記録を軽く抜いてしまったのではなかろうか。

また歓声が湧く。

転校生は13m10だった。それでも上位記録だったが。

華奢な見た目と同じでパワーはそんなにないと思った。

最後の走り幅飛び

さっきは少しやりすぎてしまったのでパワーを抑えて飛んだ。

7m60cm

やりすぎた。いかんせんパワーの調整が難しい。

男子の平均は5、良くて6メートルで僕の記録は異常だった。

んで転校生 水島の番が来た。

相変わらず独特のフォームで助走をつけて飛ぶ。

この時一番の歓声が起こった。

測定用の砂場を超えてしまったのだ。

「それでは記録が計れないだろ!!」

と体育の先生は怒鳴っていた。

いや充分におかしい記録だろ。

と思っていたが僕は黙っておくことにした。


昼休み僕達はいつもの場所にいた。

屋上である。

彼女の真白と一緒に昼ご飯を食べる。至福の時間だ。

僕の昼ご飯のお弁当は真白のお手製だ。

この隠れお嬢様は勉強もできるが、料理もできる。

本当に最高の彼女である。

「桐原くん見てたけど、体育の時に凄い記録を連続してたね」

「見てたんだ。少し照れるな」

「そんな運動能力なのになんで部活とか入っていないの?」

「友人を作るのが苦手なんだよ、チームプレイとか苦手だし」

「ふ~ん」

「部活に入ったら真白といる時間が減るじゃん」

「嬉しいこと言ってもなにも出ないゾ♡」

と肘で小突かれた。普通に痛かった。お前も執行者か!?

「どこ探してもいないと思ったらここにいたんだね☆」

水島だ。水島が屋上までやってきた。

「ここは僕達の聖域だ。弁当はどっか別のところで食え」

「転校してすぐの僕ちゃんに行く場所なんてないじゃないか?ひっどいことを言うな~桐原くんは★一緒にランチしてもいいよね☆」

手に焼きそばパン2つを持って水島はおどけてそう言った。

「僕も君と同じで友人を作るのが本当は苦手なんだよ★」

「嘘をつけ」

「嘘だって?」

「最初のテンションの高い。登場とか体育の新記録とか、お前目立つようなことばかりしているじゃないか、あと女子にもやたらと群がられてたし」

「だからそういうのが本当は苦手なんだってYO☆」

「ラッパー口調にしても無駄だ、僕の聖域は誰にも侵させない」

「まぁそういうことだったらしょうがないか~★」

と言葉とは裏腹に水島はその場に腰を下ろした。

「・・・・・・はぁ好きにしろよ」

「ありがとうありがとう。彼女とのイチャイチャタイムは邪魔しないからさ☆」

焼きそばパンを頬張る水島。

「桐原くん。友達になってあげたら?」

「嫌だね。やつとは根本的に水が合わぬ。僕が欲しかったのは友達じゃない彼女だ」

「もう強情なんだから~、でもたぶん似た者同士だよ?」

「似た者同士か~?」

僕と真白と水島以外、屋上には誰もいなかった。

焼きそばパンを2個食い終わって水島から提案があった。

「桐原くん。桐原くん。放課後俺っちと勝負しようよ☆」

「勝負だ?」

僕はあの決闘の時のような覇気を放った。

「違う違う喧嘩じゃなくってさゲームセンターで対決しようぜ☆」

「ゲームセンターだ?」

「『D・D・R』俺っちの一番得意なゲームさ☆」

「んで僕が勝ったら?」

「俺っちはもうきみ達に関わらない★」

「じゃあお前が勝ったら?」

「俺っちと親友になってよ☆」

しょーもない挑戦状を叩きつけられた。


032


放課後。

僕と真白と水島の3人でゲームセンターに向かった。

僕達の町は結構な田舎町だが大きなゲームセンターは存在する。

DDRダンスダンスレボリューションはこのゲームセンターの中にも存在した。

水島はここの存在を知っていたのだろうか。

たぶん群がっていた女子達に聞いたのであろうが。

僕はこのゲームセンターに来たのは生まれて始めてであった。

友人を作らなかった僕だから当たり前かもしれないが。

「じゃあ約束は守ってよ~☆」

「ああ男と男の約束だ」

水島が200円を入れてゲームはスタートした。

手馴れているようで対戦する音楽、難易度を設定する。

『If you were here』

これが水島が設定した曲だ。難易度は一番高いのを設定された。

僕はこのゲーム自体をやったことが無いので不利だと思っていたが、

僕にはゴッドアームの適応能力がある負けるわけがない。

D・D・Rは音楽に合わせて次々と上下左右の矢印が流れてくる。

それを下のパネルにタイミングを合わせて踏む音楽ゲームだ。

もの凄い速度で矢印が流れてきた。

僕はそれに合わせてステップを踏む。

「桐原くんかっこいいー」

音楽にかき消されて真白の声は聞き取りづらかったが、たぶん応援であろう。

なんだ簡単なゲームではないか。僕はすぐに慣れた。

だがそこは水島やはりただものではなかった。

奴は踊りながらステップを踏んでいたのだ。

あげくの果てにはブレイクダンスまで始めやがって、なめているのか僕を。

だがパネルは確実に押していた。手を使って。

いつの間にかギャラリーが出来ていて、

僕達二人のダンス対決はギャラリーを沸かせた。

まぁ沸かせていたのは水島のダンスだろうけど。

曲が終わってみると僕達2人のスコアは完全に同じだった。

「ふぅーいいノリだね桐原くん☆」

「お前こそな、ダンスしながら挑発しやがって」

水島は汗びっしょりだったが、僕は汗をかいてなかった。

2曲目は僕が選んだ。

『Drop The Bomb』

これで決着をつけてやる。

さっきの曲でゲームのやり方はマスターしたのであとはタイミングだ。

曲が始まると水島はいきなり学ランを脱いだ。

学ランだけじゃない。中のシャツも脱いで上半身裸になった。

華奢に見えていた奴の体は、筋肉質で引き締まっていた。

「じゃあ本気で行くよ~☆」

「来いよ!!」

僕も学ランを脱いだ。Tシャツは脱がなかったけれども。

「それが      なんだね」

「あ?」

激しい音楽で水島の声の一部が聞こえなかった。

凄まじい速度で矢印が流れてくる。さっきの比じゃない。

僕達のステップのスピードはもはや異常だ。

その異常な矢印のスピードにも僕達は反応し適応する。

ギャラリーがワーと沸く。

水島の奴完全に踊ってやがる。お得意のブレイクダンスも決めながら。

だがステップは完璧だった。

両者互角のステップが続き、一度もミスは無かった。

だが僕はズボンのポケットの携帯のバイブ音に反応して踏み間違えてしまった。

そして音楽が終わり採点が始まる。

採点の結果、

僅差で水島のほうがスコアが高かった。

負けた。

だが悔しさより達成感のほうが強かった。

僕はゴッドアームの恩恵で疲れは無かったけど、

水島はさっき以上に汗をかいていた。

水島のほうから握手を求める手が伸びて来た。

僕は悔しかったがそれに答えた。

友情の握手だ。

たかが音楽ゲームで友情を感じるのもおかしいと思うかもしれないが、

こいつとは友情めいた何かを感じた。

そういえばと思い先ほどの携帯のバイブ音の正体を確認する。

「バイトなんで先に帰ります あなたのユキより♡」

真白からだった。バイトしなくてもいいんじゃないのと思った。

お嬢様なんだから。


水島から僕の家に顔を出したいということなので、家に連れて行ってやることにした。

水島とは転校してきた理由や女の子が苦手だという話をしたりした。

真白の言う通りこいつとは気が合うのかもしれない。

玄関先で珍しく待っている影が見えた。

ルシフェロさんだった。

「やぁ優斗くん。珍しい男と肩を並べて歩いているね。どこで知り合ったの?」

「よ!!ルシフェル☆」

「!!?」

「優斗くんそいつが8番階級執行者・アルマロスだよ」

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