変わった転校生
029
一方ここは天上界。
執行者会議室。
10客の椅子が並べられている場所に。
8人の執行者達が集まっていた。
「レミエルとの通信が途絶えた」
「殺られたんじゃねぇの?」
「奴が人間に?」
「少なくともゴッドアームの適応者だ。ただの人間ではなくなっているだろう」
「そもそも9番執行者だもんな、俺たちの中じゃ最弱だしな」
「消えた仲間の事をそういう風に言うものじゃない」
「・・・・・・」
「ルシフェルのサポートもあるのだから可能性はゼロじゃないわ」
「許せねぇあの裏切り野郎がー!!!!」
「芸術的には裏切りも美徳とも言えるけど、あんな裏切りは許せないね」
「執行者の出動の順番で言えば次はお前だな 『アルマロス』 」
「ゴッドアームの力、一回体験しておきたかったんだよね の芸術性にかなえばいいけどね。楽しみだよ、あの人間との闘いは」
「油断するなよアルマロス」
「OK。行ってくるよ下界に降りるの時間かかるんだけどね~」
とアルマロスは下界に降りる準備にでかけた。
「アルマロス 奴ならゴッドアームの適応者ともやりあえるかもな」
お?次の執行者が動くのか?
えーとだれだれ~っと
ほうアルマロスか!?
執行者達の奴ら手段は選ばないと思っていたけど
1人1人で来るのか、しかも順番通りね~
流石に下界への衝撃は考慮してくれているようだね
所詮は神の使い。天使だもんね~。
俺は優斗くんのベッドでゴッドフォンを閲覧していた。
このゴッドフォンは世界のありとあらゆる情報を瞬時にキャッチ(ジャック)できる優れものなんだよ。いいだろ?。欲しいだろ?。
その他にも神のグッズはあるけどその内紹介しようと思うよ。お。
この予測計ではそろそろ優斗くんが帰ってくるところなんだね。
お、来たか。
話し手を優斗くんに戻しますか。
「ルシフェロさーん。ルシフェロさーん。」
僕は元気よく(自分で言うな)自室の扉を開けた。
「おー優斗くん。ずいぶんテンション高いね~。」
「そりゃテンションも上がりますよ。聞いてよルシフェロさん」
「聞くよ~楽しい話ならね~」
「彼女と婚約者が同時に出来ました」
「What?」
「なんで急に英語ですか!!」
「いやビックリしたからだよ、どういう経緯でそうなったわけ?」
「それはですねかくかくしかじか」
僕は真白との経緯をルシフェロさんに脚色なく話した。
「それは俺の予想を遥かに超えている話だね」
「全部このゴッドアームのおかげですよルシフェロさん」
「神になるっていいものだろ?少し障害はあるけどね」
「障害も弊害も全部ぶっ飛ばしてやりますよ」
「ほう。一日でなんか吹っ切れたね。いい感じだよ優斗くん」
「最後なんてプリクラ撮って、キスして別れたんですよ」
「うんうん。それは良かったね」
「いやそれがなんとも濃厚なキスでしてね~」
「うんうん。それは良かったね」
「ルシフェロさん。話聞いてないでしょ?」
「ばれた?そろそろ俺の話も聞いて欲しくてね」
「なんでしょう?」
「切り替えが早いね。また次の執行者が来るよ」
「だからみんなぶっ飛ばしてやりますって」
「いや全員で来たら勝てないと思うけど・・・」
「全員で来れない理由でもあるんですか?」
ルシフェロさんは少しだまってからこう言った。
「執行者クラスの天使になるとね。下界への影響が半端ないんだよ。一人でも世界の天候が急変するくらいのレベルだよ全員で来てしまったら、この星、地球はやばいことになるよ」
「僕はそんなレベルの奴らと決闘をしなければならないんですね」
「そう。まぁキミにはゴッドアームがある勝てない相手ではないと思うよ」
俺のサポートもあるしねとルシフェロさんは付け足した。
030
真白との婚約騒動から数日間、僕の周りではなんの異変も無かった。
平凡な日常が始まる。いや、
神の力を手に入れて、彼女も手に入れて、死闘を経て、
僕の日常は平凡ではなくなったのだけど。
「おっはよー桐原くん」
「おはよう真白。今日も早いね」
変わったことと言えば真白が毎朝登校前に玄関先まで迎えにきてくれることになったことかな?。
大好きな彼女と登校できる。これが嬉しくない男がいるだろうか?
「昨日のドラマ見た?あの役者がすっごい好みでね~」
「浮気か!!」
「一番は桐原くんだよ♡」
「そっか良かった」
「でもあなたが浮気したら殺すからね」
「・・・・・・」
彼女の口から『殺す』というワードがでるとは・・・恐ろしい彼女である。
まぁそんなことを口にできるはずもなく、
僕達は龍神高校へと向かう。
2-B組いつもの教室だ。
ガヤガヤと騒がしいクラス。
僕の英雄伝説もやっと落ち着きがついたところだ。
担任の小林先生が入って来た。
「おーっすみんな席に着け~」
と小林先生の合図でみんな席に着く。
「今日はみんなに紹介したい生徒がいる」
また教室中がガヤガヤと騒ぎ立てる。
男かな女かなそんな声が聞こえる
「水島くん入って来なさい」
「うぃーっす☆」
とテンション高く教室の扉を開けて、
スケートボードで教室の中に入って来る男がいた。
「あらよっと☆」
技名はわからないが、トリックを決めて教壇の上にスケートボードで乗っかった。
「水島コウキです。みんなよろしくね☆」
ワーっと歓声が上がる。
「水島くんこれ没収ね」
「そんなマジかよ~★」
とスケートボードを小林先生に没収される転校生。
「俺っちの命の次に大事なものなんすよ~」
と言ったが釈明の余地無しである。
クラス中に笑いが巻き起こる。もちろん僕は笑わなかったが。
しょんぼりと空いてる席に向かう。
その時、転校生と目があった。
転校生は僕にウィンクしてきた。
「こいつホモなのかと僕は思った」
僕と水島、最初の出会いだった。
体育の時間。体力テスト。
やる種目は
100m走。
砲丸投げ。
走り幅跳び。
をやることになった。
僕は神の力を持つだけにかなり手加減しないとな~と思った。
「おっす英雄さん☆」
と転校生の水島が声をかけて来た。
「何?」
「となりの町までキミの武勇伝は届いていたっすよ~。マジ感動したっす☆」
「はいはいありがとう」
「何?何?何?冷たくな~い?せっかくフレンドになろうと思っていたのにさ~★」
「水島くんだっけ、僕は友達を作る気がないんだ」
「え?マジ?それはつまらないっしょ★俺っちとまずフレンドになろうぜ~☆」
「・・・・・・」
とやけに馴れ馴れしい転校生を僕は無視した。
「じゃあまず100m走から始める出席番号順にやるぞー」
と体育の先生は言った。
「よし1番からスタートだ全力でやれよー」
僕は高校生の平均タイムを知る為、皆のタイムを凝視していた。
14秒、13秒25、15秒
男子の平均はこんなものか、まぁ少しだけ本気を出してみるか。
僕の順番が来た。
クラウチングスタートの体勢をとる。
スタートの合図で僕は少し本気で走った。
11秒08
「早え~」
「なんで部活入らないんだ」
と周りの男子達は、はしゃぎだした。
本気を出せば9秒台も狙えるなと思った。
「よし次水島行け」
「おいーっす」
転校生の番が来た。
転校生のスタート体勢は変なフォームだった。
だがそのスピードは異常だった。
11秒03
僕より早いだと・・・
奇妙な違和感を感じた。