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平穏な日常~妹の応援と真白さんへの答えを

023


「お兄ちゃーん朝だよー」

6時30分。いつものように葵に起こされる僕。

あんまり寝た気がしないな~。

「おはよう葵。今日も早いね」

今日の葵は部活のユニホーム姿だった。

「9時から試合開始だから絶対見に来てよ、じゃあ朝練行ってきまーす」

「あんまり無理すんなよー」

と僕は葵を送りだした。

「おはよう優斗くん寝れたかい?」

「おはようございます。ルシフェロさん。朝早いですからね僕達兄妹は」

「土曜日もこんなに早いなんてびっくりだよ」

「まぁ葵は土日祝日なんて関係ないですからね」

バスケ部の期待のエース、桐原葵は僕の学校でもかなりの有名人だ。

なにせ中学から始めたバスケットボール部を、

中学2年の時に全国大会に導いた実績の持ち主だからだ。

高校でも1年生からスタメンの座を獲得しているくらいだし。

「凄い妹さんだね。優斗くん。ここしばらくは執行者は来ないはずだから安心したまえ。妹の応援と真白さん?だっけ?告白の返事も頑張らないとね」

「じゃあしばらくは安心できるんですね。じゃあ今日はひとまず安心だ」

「何か困ったことがあったら電話してきなよ。遠慮は駄目だからね」

「ありがとう。ルシフェロさん」

僕は1階に降りて、浴室前の洗面所に向かった。

冷水で顔を洗った。気持ちがいい。

なんか久しぶりに日常に戻った気分だ。

食卓に両親がいたので、葵が作った朝食を一緒に食べた。

朝のニュースはまだ強盗事件のことを報道していた。

いいかげん、静まらないものですかね。

午前7時。両親が仕事に出たので見送った。


ピロリピロリ。

僕の携帯が鳴った。

真白さんからだった。

「おはよう。寝てた?」

「起きてたよ。どうしたの?」

「いや~告白の返事って今日でしょ。緊張してあんまり眠れなくて」

「そんなに?プレッシャー大きくないっすか?僕」

「フフフ。今日何時に待ち合わせしよっか?」

「妹の試合が9時からあるので、それ以降かな?」

「えー。私も応援行くよ。じゃあ8時に桐原くんの家の前に行くね」

「わかったよ。じゃあ8時だね」

「うん。8時。待っているね」

「それじゃあまた」

と言って電話を切った。

少し気合を入れないとなと僕は思った。


僕は洗面台で入念に歯を磨き、自室に戻り一番恰好いいであろう服をセレクトした。

「なんか気合入っているね~優斗くん」

ルシフェロさんが僕のベットで僕が買った漫画雑誌を読んでいた。

・・・・・・・。

ん?。

「ルシフェロさん物持てるようになったの?」

「ああこれ?レミエルを吸収した影響だね」

「なるほど」

「姿は相変わらず見えないけど、物に触れるようになったのは便利だね。下界の本は楽しいね。漫画を読んだのも初めてなんだよ。」

「でも僕の部屋荒らさないで下さいよ。探し物とかしないで下さいよ」

「Hな本って奴?。机の収納に入っていたやつだね」

「・・・・・・もう見つかってたんですね」

僕も一応思春期だ。エロ本も買う。

「読んだらちゃんと元の場所に戻しておくからさ」

「どうぞご勝手によっと」

僕は1万円札を2枚具現化した。

「ん?2万円?1万円ずつ出すんじゃなかったけ?」

「昨日と今日の分です」

と2万円を財布に入れ僕は家を出た。

「おはよう。桐原くん」

真白さんが玄関前で待っていた。

7時50分。

「楽しみすぎて10分前から来ちゃった」

ということらしい。早いよ真白さん。


024


「妹さんの応援するなんて、いいお兄ちゃんだね」

「葵から頼まれただけだよ」

本当にそうなんだけどね。いいお兄ちゃんではない。

真白さんと龍神高校に向かう途中。

休みの日に学校に行くなんて初めてだ。

私服が許される珍しい行事の一つ部活の応援。

真白さんの私服が見れたからさらに嬉しい。

黒いパーカーとショートパンツ。髪型はいつものロングを束ねてポニーテイルにしていた。

僕と好みが近いかもしれないラフな格好だった。

「どう?桐原くんの恰好と合わせてみたんだけど」

僕の恰好も黒のパーカーとジーンズだ。ペアルックにも見える。

「僕がパーカー好きなんてよく知ってたね」

「1年生の時からよくパーカーを着てたじゃない」

「1年生の時から?」

「あ!失言。忘れて」

1年生の時から?なんか気になる一言だったけど、まぁいいか。

そんなやり取りをしながら龍神高校の体育館に到着した。

僕達は体育館2階の観覧席に並んで座った。

葵が他の部員と共にシュートの練習をしていた。

「よし少し休憩」

と監督の一言で休みに入る部員達。

葵も自分で持って来たドリンクを飲んでいた。

が僕の存在に気付いたのか。

「お兄ちゃーん!!」

と体育館の2階の観覧席まで1階から階段で上って来た。

「来てくれたんだね」

「約束だからな」

「こんにちは葵ちゃん」

「こんにちは・・・・・・ってかこの人誰?彼女さん?」

「あなたのお兄ちゃんの選択次第で、彼女さんになる可能性がある。真白ユキです」

僕は赤面した。

「へ~お兄ちゃんもすみにおけないね~」

「あまりからかうなよ。それより休憩はいいのか?」

「うん。試合開始から全開で飛ばして行くよ」

と軽くジャンプした。

「じゃあ応援しててね~」

と葵はコートに戻っていった。

「可愛い妹さんだね」

「僕と違ってよくできた妹だよ」

僕は自分と比べてそう言った。

「桐原くんは気づいてないだけだよ」

「え?」

「桐原くん、何て言うかー逞しくなったよね」

「そうかな~」

「ずっと見て来たからわかるよ本当に変わったよ」

「ずっと?」

「うん1年生の時からね」

「・・・・・・」

「桐原くん?」

「ごめん、なんでもない」

「あ!試合始まるよ」


周りにはちらほらと応援しに来た保護者や在学生達が集まってきていた。

ジャンプボールが始まる。

ジャンパーも葵がつとめるようだった。

試合開始。

いきなり葵がボールを奪いそのままディフェンス陣を躱してシュートを決めた。

「凄いね葵ちゃん」

「うん。びっくりだよ」

実は妹のバスケの試合を見るのは生まれて初めてだった。

今までは恥ずかしくていけなかったけど、

僕の妹がここまで凄い選手だったとは。

と僕が関心するほど葵のプレイは凄まじかった。

チームメイトからのパスをうけそのままドリブルしてシュートを決める。

うますぎる。

新人大会とはいえ他の選手とは全くスキルがちがうまた点入れた。

相手校に圧倒的な点差を広げる葵達。

「応援中悪いんだけど聞いてくれる?」

「真白さん。いいよ」

「告白の返事聞いていい?」

「いいよ。言っていい?」

すると真白さんは目を閉じてそっと唇を突き出した。

「OKならキスして下さい」

(キ、キスですか!?)

想定外の答えを出さなければいけないようだった。

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