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分身の術

忍・・・・忍者本人

分・・・・分身



時は戦国時代。1人の忍者が敵に囲まれ、窮地に陥っていた。


忍「くそー、敵に囲まれてしまった。拙者としたことが・・・。こうなったら、秘伝のあの術を使うしかない!分身の術だーーー!」


分身して2人になる。


忍「ふん!敵ども、驚いてやがる。」

分「申し遅れました。拙者、こういうものです。」


名刺を渡す分身。


忍「これはこれは、ご丁寧にどうも・・・っておいっ!!名刺交換いらないから!おぬしは拙者、拙者はおぬしだ!!ったく、いつの間に名刺なんか作ったんだよ。それどころじゃないんだ!今敵に囲まれてピンチなんだよ。」

分「なんだと?!ほんとだ!ピンチだ!」

忍「よし、なんとか、突破口を開くぞ!2人で一気にこっちの敵を斬り伏せる!」

分「よし、まかせとけ。いや、ちょっと待て!」

忍「どうした?」


立ちションをし始める分身。


忍「立ちションしてる場合か!」

分「我慢してると集中して戦えない性格なんだ!」

忍「状況を考えろ!我慢するんだ!」

分「言っておくが、これはおぬしの尿意だからな!」

忍「わ、わかっている。拙者だってしたいのを我慢しているんだ!」



忍「よし、なんとか、突破口を開くぞ!2人で一気にこっちの敵を斬り伏せる!」

分「よし、まかせとけ。いや、ちょっと待て!」

忍「どうした?」

分「だめだこれじゃあ!」

忍「なにがだ?!」

分「このショートコントを途中から観たお茶の間の人には、どっちが本物で、どっちが分身だか区別が付かない!」

忍「なんの心配だよ?!」

分「いや、分身どころか、ただの忍者2人のショートコントとしか思われない可能性だってあるぞ!」

忍「そ、それは・・・困るぞ。分身であるということがこのショートコントの肝の部分だ。」

分「ああそうさ!そこでだ!こういうものを用意してきた。」

忍「なんだそれは?」


『本人』と書かれたたすきを出す分身。


分「これをかけておけば、おぬしが本人だとわかるはずだ。」

忍「恐ろしく格好悪いな、これ。」

分「そして、拙者がこの『分身』と書かれたタスキをかける。これで一目瞭然だ。」

忍「ああ!」



忍「よし、今度こそなんとか、突破口を開くぞ!2人で一気にこっちの敵を斬り伏せる!」

分「よし、まかせとけ。いや、ちょっと待て!」

忍「今度はどうした?」

分「拙者の方が手裏剣の数が少なくないか?拙者は4枚で、おぬしは・・・・6枚もあるじゃないか?なぜ、6:4なんだ?!なぜ5:5じゃない?!」

忍「ふん。・・・それは、拙者が本人だからだ!本人は優遇される。」

分「な、なにーー!優遇だと?!分身差別する気か?!・・・所詮、拙者はおぬしの分身、というわけか?」

忍「(首をかしげながら)その通りだ。」

分「拙者のことをただの分身としか思っていなかったと、そういうことか?」

忍「だってそうではないか!おぬしは拙者の分身。それ以上でもそれ以下でもない。」

分「くそぅ・・・。分身にだってなぁ、分身にだってなぁ、・・・・アイデンティティがあるんだぁぁぁっ!!!」


少しの間。


忍「・・・分身にアイデンティティだと?笑わせるな!」

分「分身だって、悩んだり、恋をしたりするんだよ!」

忍「分身が恋だと?誰に恋してるっていうんだ?」

分「・・・お菊。」

忍「!!きさまぁ!!いつの間に拙者の女房に手を出しやがったーーーっ?!」


分身の胸ぐらをつかむ忍者本人。


分「拙者とお菊は愛し合っている。それにおぬしの女房ということは拙者の女房でもあるということだ。」

忍「なにをーー!!分身の分際でーー!!許さん!たたっ斬ってやる!!」


刀を振り上げて分身を斬ろうとする忍者本人。


分「ちょっと待てーー!!」

忍「なんだーー?!!」

分「たったひとつだけ、解決策がある!」

忍「解決策だと?!」

分「そうだ!」

忍「言ってみろ!!」

分「女房にも・・・・・女房にも、分身の術を覚えさせるんだ!!」

忍「・・・・・・・・・・・・・・・・なるほど。」


ちゃんちゃん



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