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笑いの弾丸

作者: すもも
掲載日:2026/07/14

二人の男が向かい合わせている。

二人は腰についたリボルバーに手を添え集中している。そう、決闘だ。

この世界では血は流れない。しかし命がけの戦いだ。

ちょび髭の男のほうが銃を抜く「イクラはいくら?」

もう一人も銃を抜き「コンドルが食いこんどる!」

バァン!

ちょび髭の男は被弾し膝をつく。そして

「っぶ!わぁははははは!」男は笑い転げ、戦いに敗れた。

勝者は静かに銃をしまい敗れた男に手を差し伸べる。

「ひぃー!へへへ!あぁー。あんた強いな。何者だ?」

二人は握手を交わす。「俺は…伝説を倒しに来た」

「伝説ぅ?っていうと、あの隠居したっていう」

「武田…ロミオ…」


ある家。突然扉が開く。

「ロミオ!」

「なんだ、マキューシオか。バタバタ入るなよ。ホコリがたつだろ」

「見ろこれ!ぬいぐるみ!今度子ども生まれるだろ?だからこれ!」

「おいおい、気が早いだろ。まだ名前だって決まってない」

「まぁ、善は急ごうぜ!」

奥から女性が出てくる。

「あら、マキューシオさん」

「お!ジュリエットさん!今日もお美しいです!」

「お上手。今お茶を持ってきますね」

「良いよ。俺が持ってくる。ジュリエットは座っていてくれ」

「そうそう、おなかの子にも障りますから」

「そう?ありがとう」

部屋の中にはよく手入れされたリボルバーが飾ってある。それを見てマキューシオが言う。

「相変わらず、こいつのこともキレイにしてるんだな」

「あぁ、癖なんだ。そいつを触る時間がないと、なんだか落ち着かなくてな」

そう言い、お茶を持ってくる。マキューシオが一口お茶を飲み言う。

「あっ!おまえこれ適当に入れたろ!こういうのは時間をかけてしっかり蒸らしてだな…」

「俺はお茶には興味ないの」

そのやり取りを見ていたジュリエットがくすっと笑いだす。

「二人とも仲良しで微笑ましいわ」

「おいおい、あんまり笑うなよ。それにお前は喘息持ちなんだから、笑いすぎるのも…」

「もう、心配しすぎよ」

そういうとジュリエットは時計を見て言う。

「そろそろお祈りの時間だわ。少し教会まで行ってくるわね」

「ああ。ジュリエットは信心深いな」

「あなたもお祈りくらいしたら良いのに。じゃあ行ってきます」


「それにしても昔は無茶なことをしたよな。ギャングのアジトに乗り込んで全員爆笑させてやったこともあったっけ」

「お前の弾は当たってなかったけどな」

「それ言うなよぉ」

「昔からお前はダジャレのセンスがなかったな」

「そういう伝説さんはセンス抜群でしたねぇ」

そしてマキューシオはふとつぶやく。

「なぁ、お前はこのまま隠居したまま過ごすのか?」

「あぁ」

「あのこと、まだ気にしてんのか?」

「当たり前だ」

「あれは事故だったと思うぜ」

「事故なもんか!」

マキューシオは何も言えず黙っている。

「俺の弾だったんだ」

「…。」

「…決闘中、流れ弾がジュリエットに当たった。」

ロミオは下を向き続ける。

「ジュリエットは笑い続けて喘息発作を起こしたんだ。あと少し遅ければ命だって…」

「…お前の辛い気持ちは伝わるよ。でも危なくなったら迷わず銃を抜けよ?唯一の親友失いたくねえからさ。お茶ごちそうさま。今度は入れ方勉強しろよな…」

そう言いマキューシオは「また来るぜ」


教会ではジュリエットがお祈りしている。そこへ一人の男がやってくる。

男は言う「お前、ジュリエットだな?」

「どこかでお会いしたかしら?」

「いや。だがお前のことも調べさせてもらった。お前にはあの男を呼び出すための人質になってもらうぞ」そう言い男は銃を向ける。

「やめなさい!何を考えているんだ!」司祭が止めに入る。

「先祖はいませんぞ!」

バァン!

司祭はその場にうずくまり「うわーっはははははは!」

笑い転げて動けなくなる。

「司祭よ。これ以上爆笑したくなかったら、武田ロミオをここに連れて来い」


遠くまで響いた銃声をマキューシオは聞いていた。

「これは教会の方向からか?」すぐにマキューシオは教会に向かって走り出す。

「どいてくれ!」「通るぞ!」マキューシオは人をかき分けようやく教会にたどり着く。

「お前はロミオではないな」そういった男が持つ銃の先にはジュリエットが縛られて座っていた。

「おいおい、妊婦相手に何やってんだ馬鹿野郎!」

「俺には関係ないのでな。さぁ武田ロミオを連れて来い!」

「お前じゃロミオの相手にならねえよ。俺がやってやる!」

そう言いマキューシオは銃を抜き、震える手で狙いを定める。

「震えるな!震えるなよチクショウ!」

「威勢だけか…」

「くっ!そっ、そのカッター、えぇっと買った?」

マキューイオの弾丸は男の頬をかすめた。

男は「ネズミは眼チューにない!」

バァン!

弾はマキューシオに当たる。

「ぐっふ!フフ、あーははははは!」

そのまま男は撃ち続ける。

「ネギを値切る」

バァン!

「レモンのいれもん」

バァン!

「帽子を忘れてハットした」

バァン!

マキューシオは涙を流しながら笑う。朦朧とする意識の中…

「……シ…オ!マ……シオ!マキューシオ!」

ロミオがマキューシオに駆け寄った。

「ロミオ…」

「マキューシオ!お前!」

「お前が…来る前に…片付けようと……思ったのに…」

「武田…ロミオ…!」

男はそういうと「内臓がないぞう!」バァン!

マキューシオは最後の力を振り絞りロミオを庇う。

「うぅ!うわははははは!」

マキューシオは笑い転げながらも言う。

「ロミ…オ…お前は…ジュリエットさんを連れて逃げろ…」

「雑魚に興味はないんだ。笑い殺してやる」

男はマキューシオを狙う。

「ミル貝を食べてみるがいい!」バァン!

「うおぉー!」そう叫ぶとロミオは腰に付けたリボルバーに手をかける。

もう二度と撃つことはない、

ロミオがそう思っていた銃だった。

「教会に行くの、今日かい?」バァン!ロミオは男の弾丸を撃ち相殺した。

「お前…こんなことして笑わずに帰れると思うなよ!」

「笑えるわけがないさ。俺から…いや、俺の家族から笑顔を奪ったのは、お前だ。武田ロミオ!」

「なに?どういうことだ?」


男は話し始める

「俺の親父は優秀なダジャレガンマンだった。的に撃てば百発百中。ダジャレも秀逸。いつもダジャレを言っては俺や母さんを笑わせてくれた。あの人は俺の憧れだった。

だがある男との決闘に敗れ、自信を無くした親父は、ダジャレを言わなくなった。それからだ、俺の家から笑いがなくなったのは。

正式な決闘だから悔しいだろうけど仕方ない。周りからはそう言われたよ。だが俺はその男を許せなかった。俺の家族から笑顔を奪った男を!親父を引退に追い込んだ男を!お前だ!武田ロミオ!」

「そのことなら覚えてるさ。あいつは相当強かった。だから俺も全力を出さなきゃ勝てなかったんだ…。

そうか、お前あいつのガキか。どうりでセンスのあるやつだぜ」

「あの時の復讐を果たす!」

「お前のこと一撃で笑わせてやるよ!」

二人はそういうと銃を構える。


「傷んだ廊下にいたんだろうか?」

バァン!

「ソーダはうまそーだ」

バァン!

男は次々に撃つ。ロミオは弾丸を紙一重でかわす。

男は続ける。

「箱、分解して運ぶんかい」

バァン!

「猿が去る」

バァン!

ロミオはまたかわし銃を構える。

「教会が運営する支援協会!」

ロミオが放った弾丸は男の頭に当たった。

「ぐっ!こんな…ダジャレ…ぶは!親父のと比べたら…くっ!くはははははははは!」

男は膝をつき笑い転げた。

ロミオはジュリエットの縄を解き、マキューシオのもとへ行く。

「ぐがー、ぐがー」

「良かった。笑いつかれて寝てるだけか…」

ロミオは男に言う。

「ダジャレは道具じゃない。人を笑わせるためのものだ。こんなに良いセンス持ってるなら、家族はお前が笑わせてやれ。

お前が笑えなくなったときは、また俺のところに来い。いつでも笑わせてやるよ」

そう言い残しマキューシオに肩を貸す。

去り際にロミオは銃口を空に向け

「親友よ!See you again!」

銃声がどこまでも響き渡る。

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