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―転生の果てⅥ―  作者: MOON RAKER 503


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15/19

第14話 転生したら 管理番号付き修理タグだった

この物語を手に取ってくださり、ありがとうございます。

ほんのひとときでも、あなたの心に何かが残れば幸いです。

どうぞ、ゆっくりと物語の世界へ。


転生の果てシリーズは、転生の果てⅥで終了になります。

ここまで読んで頂いたこと感謝します。

ありがとうございます。


――回収センター、午前十時。


「 」は、物に付けられる。


白いタグ。

プラスチック製。


表面に、印字されている。


「#0483-7291-A」


管理番号。


裏面には――


QRコード。


バーコード。


分類記号。


「 」は、紐で結ばれる。


物の、一部に。


今日、回収された物。


折れたシャープペン。

電源が入らないスマホ。

破れたレシート。

空になった弁当箱。

錆びた鍵。


それぞれに、タグが付けられる。


全てに、番号が振られる。


分類される。


ベルトコンベアに、乗せられる。


動き出す。


次の工程へ。


運ばれていく。


「 」は、その全てを見ている。


物が、流れていく様子を。


システマティックに、処理されていく過程を。


最初の関門。


スキャナーが、待っている。


物が通過する。


「 」のバーコードが、読み取られる。


ピッ。


音が、鳴る。


画面に、情報が表示される。


```

ID: #0483-7291-A

種別: 文具

状態: 破損

原因: 芯折れ

影響: 試験結果変化

判定: 修復不可

処理: 廃棄

```


表示は、一瞬。


すぐに、次の物。


次々と、スキャンされる。


分類される。


右へ――修復可能。


左へ――廃棄対象。


機械的に。


淡々と。


「 」は、左へ流れる。


廃棄ライン。


そこには――


他の、廃棄対象が並んでいる。


電源が入らなかったスマホ。

破れたレシート。

割れたマグカップ。


全てに、タグが付いている。


全てに、番号が振られている。


次の工程。


大きなコンテナ。


物が、落とされる。


ガシャン。


音が、響く。


「 」も、落ちる。


付いていた物と、一緒に。


コンテナの中。


他の物と、混ざり合う。


タグだけが――


整然と、記録を保っている。


天井に、カメラ。


全てを、監視している。


記録している。


データベースに、送信している。


どの物が、いつ、どこで、どのように処理されたか。


全て、記録される。


偶然は、ない。


全ては、管理されている。


コンテナが、満杯になる。


運ばれる。


次の施設へ。


処理工場。


そこでは――


分解が、行われる。


物が、バラバラにされる。


素材ごとに、分けられる。


金属。

プラスチック。

紙。

ガラス。


それぞれ、リサイクルされる。


「 」は、その過程も見ている。


物が、原料に戻っていく様子を。


形を失い、素材になる過程を。


だが――


タグは、残る。


分解されても。


素材に戻されても。


記録は、消えない。


データベースに、保存される。


永遠に。


別の施設。


新しい物が、作られている。


リサイクルされた素材から。


新しいシャープペン。

新しいスマホ。

新しいレシート。


全て、作られる。


そして――


また、タグが付けられる。


新しい、管理番号。


「#0484-0001-A」


次の、サイクル。


出荷される。


使われる。


壊れる。


回収される。


また、タグが付けられる。


繰り返し。


「 」は、理解している。


全てが、偶然ではなかったことを。


因果は、管理されていたことを。


物質の運命は――


最初から、決まっていた。


どこで生まれ。


どう使われ。


どう壊れ。


どう処理されるか。


全て――


システムの中。


データベースの中。


管理されている。


別の部屋。


大きな、モニター。


無数の、データが流れている。


管理番号。

種別。

状態。

処理結果。


リアルタイムで、更新される。


誰が見ているのか――


分からない。


画面だけが、光っている。


データだけが、流れている。


音は、ない。


声も、ない。


ただ――


通知が、表示される。


```

処理完了: #0483-7291-A

次工程: 素材化

再利用: 予定あり

```


淡々と。


機械的に。


感情は、ない。


意味づけも、ない。


ただ――


次の工程へ。


「 」は、素材化される。


プラスチックが、溶かされる。


紐が、分解される。


印字が、消える。


だが――


データは、残る。


「#0483-7291-A」


その記録は、永遠に。


新しい物が、作られる。


リサイクルされた、プラスチック。


それは――


また、タグになる。


新しい、管理番号を持つ。


新しい、物に付けられる。


また、流れる。


ベルトコンベアに。


システムに。


運命に。


「 」は、理解する。


自分は、個ではなかった。


システムの、一部だった。


因果を記録する、装置だった。


物質たちは――


全て、処理対象。


生まれ、使われ、壊れ、戻る。


それが、役割。


それが、運命。


逃れることは、できない。


選ぶことも、できない。


ただ――


流れに、従う。


システムに、従う。


そして――


次へ。


モニターに、新しい通知。


```

本日の処理: 14,892件

修復: 3,201件

廃棄: 11,691件

効率: 98.7%

次回処理: 明日 10:00

```


数字だけが、示される。


意味は、ない。


評価も、ない。


ただ――


淡々と。


回収センターの、夜。


静まり返った、施設。


ベルトコンベアが、止まっている。


物は、ない。


全て、処理された。


明日、また。


新しい物が、来る。


新しいタグが、付けられる。


新しい番号が、振られる。


繰り返し。


永遠に。


「 」は――


もう、存在しない。


素材に、戻った。


だが――


記録は、残っている。


データベースの中に。


「#0483-7291-A」


その番号と、共に。


いつか――


また、同じような物が生まれる。


同じような因果が、起きる。


同じような結果が、出る。


それも――


管理される。


記録される。


処理される。


システムは――


止まらない。


感情を持たない。


意味を与えない。


ただ――


回収し。


分類し。


処理し。


記録する。


それだけ。


永遠に。


モニターの光が――


消える。


施設が、暗闇に包まれる。


だが――


システムは、動いている。


見えないところで。


データベースは、稼働している。


記録を、蓄積している。


明日も。


明後日も。


ずっと。


「 」が理解した、真実。


全ては――


管理されていた。


因果は――


偶然ではなかった。


神は――


喋らない。


システムとして、在る。


通知として、示す。


番号として、記録する。


それが――


この世界の、仕組み。


物質因果は――


全て、処理対象。


感情的救済は――


ない。


ただ――


次の工程へ。


淡々と。


静かに。


(了)

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