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エピソード10

 一時間後、ミキコとともにクオンが出てきた。顔色はこれといって何もない、何かされたわけでもないようだ。アイトとクオンは車に乗せられ、その後にルフィナも乗った。


 アイトの家に移動してる最中に、ルフィナが泊っていることを素直に話した。クオンは「それがルフィナちゃんのお仕事だもんね。聞いたよミキコさんから、アイトがSI5でお仕事してくれてるって」とアイトがSI5に所属したことやP.G.であることをミキコから聞いていた。家についてからは三人でクオンの誕生日を祝うことになった。ルフィナは席を外そう、と言ったがクオンがそれを断った。ルフィナは言う。



「いいのか、私がいて」

「三人の方が楽しいと思うの。アイトくん盛り上げるの下手だから」

「そうか。そうかもな」

 アイトは「どっちの意味でだ」とルフィナに聞く。

「聞くまでもないことだな、両方だ」



 ふたりのあいだにクオンが挟まった。喧嘩しないでふたりとも、クオンの言葉にアイトとルフィナは「してない」と同時に言った。それを聞いたクオンは楽しそうに笑っていた。時空地区にいた時とは違い、憑き物が取れたようだ。三人はリビングで食事をしながら話し合っていた。



「アイトくんが嘘なんてつかずに言ってくれればわたしだって――」

「俺はクオンに心配掛けたくなかっただけだ」

「ほら、こういうこと言うんだよ。ひどいと思わないルフィナちゃん」

 ルフィナはケーキをひと口食べた。

「そうだな、アイトはもう少し相手のことを考えて話しべきだな」

「だよねー」

 アイトは言う。

「ふたりして俺を攻撃しやがって、いつの間に仲良くなったんだが。それに相手のことを考えてって言うならルフィナの方が――」

「黙れ」



 いつもの言葉でルフィナは返す。三人での会話はつっかえることなく進んだ。クオンは自分の考えていた誤解が解けて、安心したという感じだった。ケーキはミキコからの差し入れで、謝罪の意志のひとつだとルフィナは言っていた。


 食べ終わり、話もひと段落つくと、時間も午後十時を回っていた。時空地区からの車がクオンを家まで送るという待遇がついていて、アイトはクオンを見送った。



「プレゼントどうしようって考えてたんだけど……思いつかなくって、また今度好きなの買って――」

「ううん、いらないよアイトくん。今日の時間がわたしにとって一番のプレゼントだから。好きだって言ってくれたこと、本当に嬉しかった」

「――ああ、そうだよな」

「またね、アイトくん」



 車に乗ったクオンは家に送られた。見送ったアイトがリビングに戻ると、ショルダーハーネスを身につけたルフィナが銃にマガジンを入れ、ショルダーハーネスの左わき腹に納めた。



「行くぞ」

「人使いが荒いな、SI5は」

「そういうものだ。忘れるなよ、あそこまでしでかした石楠花しゃくなげクオンが無事でいられるのは――」

「わかってるよ。俺が正式にSI5として活動して、時空地区のために働けってことだろ」

「貴様自身の力で止めたのをミズ・ミキコは評価したんだ。ふたりして家に帰れるだけありがたいと思うべきだな」


 テンプス・プレイヤーに青いカセットテープを入れているルフィナにアイト尋ねる。


「どこに飛ぶんだ?」

「一九九二年、スペインのバルセロナだ」

「やることは?」

「行ってから説明する。私の傍まで来い」



 アイトはルフィナの隣に立った。過去に向かったとしても、アイトの選択は変えれない。『事』を止めたとはいえ、引き起こした事が大きすぎてクオンが人質に近いような状態にされてしまったのだから。クオンに嘘をつきつつ、クオンのために働かなければいかない。いつまで続くのかはわからない。最低でもミキコからの指示がない限り、やめることはできない。



「離れるなよ」

「ああ、わかってるよ」



 ルフィナはオレンジのスイッチを押した。アイトとルフィナは青い光に飲まれていき、一九九二年――スペイン、バルセロナに飛ばされた




◇Season1 end(シーズン1、終わり)

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