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はじめまして

「はぁ…」

優奈は塾のカレンダーを見てため息をついた。日曜日以外塾塾塾塾…いくら嵐座に受かりたいからと言って、これほどのことではないはずだ。

「今日が最後…明日から塾…」

日曜日の今日に何とかやりたいことはないかとあれこれ考えた。優奈は自分の部屋に入って、ベッドに寝っ転がる。

(まっ、これもいいか。こんなことできるのも今日くらいだし)

自分でそんなことを考えながら悲しくなってうとうとしていると、外から何やら声が聞こえてきた。

「あれ~これ絶対大正じゃない。どこ来ちゃったかなぁ」

うとうとしていた優奈はとっさに身構えた。

―ガチャッ

部屋のドアが開く。そこには優奈とほぼ同じくらいの年齢の女の子がいた。

「「え」」

二人の声が重なる。二人はまじまじと見つめあった。

「「ギャー」」

また二人の叫び声が重なった。

「もう何ようるさいわね」

お母さんがどすどすと音を立てながら部屋に入ってきた。

「こ、こんにちは」

女の子は恐る恐る言った。

「こんにちは?さっきからいるのに、優…?」

お母さんはゆうなと言いかけて瞬きをした。

「キャー優奈が二人⁉」

お母さんは飛び上がって逃げてしまった。

「もうお母さん目悪すぎだよ」

優奈が笑った。

「君はどこから来たの」

優奈は女の子に視線を戻した。よく見るとその子は制服で、制服が大きいのか袖口を丸めている。

「私は内海奈喜うつみなぎ。中学2年生だよ。校外学習で大正に行くつもりだったんだけど…」

「いやいや、ちょっと待って。校外学習で大正?」

優奈は頭が混乱しすぎた。

「えぇだって…」

そういいながら奈喜は新聞に目をやる。

「えぇ!?2030年なの!?」

「いや、あなたは何年なの」

優奈はもっと頭が混乱してどうにもならなくなった。

「最初に行ったのは2090年の7月。タイムリープ失敗しちゃったかぁ」

奈喜はペロッと舌を出す。

「そんなこと言われても私わからないからね。」

優奈はわけもなくなんだかイライラした。

「ところで君は?」

「君はってなに」

「名前と年齢。30年の状況も教えてほしいな」

奈喜はなんでわからないのとでもいうような顔をした。

「私は三永優奈。小学6年。30年の状況って言っても、私にとっては当たり前すぎて…」

優奈はわざとらしく困ったような仕草をした。でも奈喜はそんなことには気づかずに前のめりに優奈にとびかかった。

「三永優奈っておばあちゃんだよね?よかった。親族の家にこれたんだ。」

奈喜は優奈にとびかかったまま一息で言った。

「待ってよ。おばあちゃんって…」

「えぇっ。そういえば2030年の7月って南海の日じゃん。あぁ。私ここで終わりだぁ、あ、でもタイムパラドックスは起こらない。おばあちゃんが生きているから私がいる。つまり、おばあちゃんに引っ付いてたら私は死なない!」

奈喜は優奈の声も受け入れずに独り言のようだった。

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