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6話

今回は途中で視点が変わります。


気になる、面白いと感じたらぜひ評価お願いします。励みになります。

 岩陰から飛び出してくるゴブリンやコボルドといった魔物を倒しながら進むと、大きな広間に出た。


 四角い箱のような場所だ。

 おそらくここが上層のボス部屋だろう。

 わずかなランプの灯りからは無機質な石造りの空間が広がっているのがわかる。


 さらに一歩踏み出す。

 すると、壁に取り付けられた松明に次々と蒼白い炎が灯り、広間を不気味に照らし出した。

 そしてその奥に5mはあるだろうか、鎧を纏いハルバードを持った石像の姿が露わになる。


「「「これは!」」」


 それを見た瞬間、全員に緊張が走った。

 風ノ剣の面々はほとんど反射的に武器を構え、臨戦態勢に入っている。


 その様相に身覚えがあった

 広間の奥に鎮座していたのは石像の怪物“ガーゴイル”だ。


 嘴のような口元に曲がった鼻、頭部から生える羊の角など、複数な動物の特徴を持った悪魔のような顔は見た人に嫌悪感を与え、重厚な石鎧を纏う筋肉質な巨躯の背中には大きな翼が折りたたまれている。

 その強さは四色のパーティーが犠牲覚悟で何とか討伐できるかどうかといったところだ。

 レッサーデーモン同様、いや、それ以上に上層に出てくることがまず考えられない上位の魔物だ。


 風ノ剣では荷が重いだろう。


 こちらで対処しようと声をかけようとした次の瞬間

 ガーゴイルの目が赤く光った。

 そして“ゴゴゴゴゴ!“と音を立てながらその巨体が立ち上がる。


「クソッ!なんでここにガーゴイルがいるんだよ!」


「まずいですね、交代する暇はなさそうですね」


 こちらに標的を定めたガーゴイルはハルバードを大きく構え、そして跳躍した。


「は?」

「嘘っ!?」

「まじか!?」


 重厚な見た目からは想像できないほど軽々と跳び上がったガーゴイルは空中からこちらに向かって武器を振り下ろしてくる。


「避けろ!」アルクが叫んだ。


“ドガン!”


 風ノ剣目掛けて振り下ろされた一撃は地面を大きく振動させ粉塵を巻き上げた。


 全員が散開して避けたためけが人はいなかったが

 石張りの床は大きく陥没し、周囲はひび割れていた。その威力の高さを物語っている。


 それを見てダクゾーは“ごくり“と唾を飲み込んだ。

 そして避けて正解だったと安堵する。もし奴の攻撃を受け止めようとしていたら…。

 攻撃を防ぐのが自分の役目だが、今の一撃を受け止められる自信は欠片もなかった。

 盾を貫通されるほどではないが壁まで吹き飛ばされていただろう。恐ろしい威力だ。


 しかし、ほっとしたのも束の間で、ガーゴイルは続けてハルバードを横に薙ぎ払ってきた。


 狙いが自分だと気付いた時には穂先が目の前まで迫っていた。

“しまった!“と思ったが重装備な自分では避けられない。

 意を決して盾を前方に突き出した。


“ガギィン!”


 鋼鉄の盾と石のハルバードが衝突する。


(重い!)


 威力は先ほどの攻撃ほどではないが体ごと後ろへ押し込まれる。


(とんでもない馬鹿力であるな)


「ぐっ!」腰に力を入れ、足で踏んばる。


 腕が痺れたがなんとか耐えきった。


「よし、任せろ!」


 ハルバードを止めたところでアルクが攻勢に出た。頭上を飛び越えてガーゴイルに剣を叩き付ける。

 それと同時にギンも背後から攻撃を仕掛けた。


“ギィン”


 だが堅い。

 ギンのナイフでの攻撃はもちろん、アルクの剣ですら奴の頬に浅く傷をつけるだけに終わった。


「くそ、なんて硬さだ」


 アルクの持つ赤い剣は魔剣と呼ばれるものだ。

 魔力を込めることで真価を発揮するが、通常時でも切れ味はそこらの剣を凌駕する。

 石の切断も容易なはずだが、奴の硬さは相当なもののようだ。


 これは本格的にまずい。

 そう思ったとき「こちらでサポートします。」

 そう言ってガイさんが魔法を使った。


「身体強化。自然治癒力向上」


 すると体がかなり軽くなったように感じた。

 魔法には詳しくないがおそらく支援魔法の類だろう。

 先ほどの防御で痺れた腕も治っている。

 これはありがたい。


 ガーゴイルはもう一度振りかぶって攻撃してくる。


 今度はニーナが狙われた。

 彼女は、攻撃魔法のために魔力を溜めている最中だ。

 ガーゴイルはそれを理解しているのだろう。


「ダグゾーお願い!」


「承知!」


 返答しながらニーナの前に滑り込み、盾を構える。


“ガギィン”


 再び盾とハルバードが衝突する。

 しかし、今度はほとんど後退せず攻撃を受け止めることができた。


(これが支援魔法か、すごい効果である。)


 風ノ剣には魔法使いのニーナがいるが、彼女は攻撃魔法を得意とし、支援魔法は習得していない。

 ほとんどの魔法系ハンターがそうだろう。

 少数のパーティーでは連携も大切だが、個人の力量も必須となってくる。余分に回す戦力はないからだ。使えるに越したことはないだろうが魔法の習得はそんなに簡単ではないとも聞く。



 そんなことを考えてながら連続して叩き付けられるハルバードを防いでいる間に魔法の準備が終わったようだ。


「いくわよ!“多重詠唱・サンダーボール”!」


 ニーナが詠唱するとガーゴイルの取り囲むように光の玉が現れ、そこから一斉に雷が中心に向けて放電される。


“ズガガガガ!”


 雷はガーゴイルを包み込み、強烈な音と閃光を放った。


 光が収まると変わらずガーゴイルが立っていた。

 しかし、所々で石が欠け、剝がれ落ちている。確かなダメージが入っているのがわかる。

 ガーゴイルには物理より魔法の方が相性いいだろう。


「効いてるぞ、魔法だ」

 ギンも同じことを思ったのだろう。


「よし、だったら!」


 ここでアルクが魔剣を解放した。

 赤い剣を中心に渦巻く白い魔力の流れが可視化される。そしてそれはアルクも一緒に包み込んだ。

 そのまま飛び出したアルクは先ほどより明らかに速く走り、ガーゴイルに接近する。ガーゴイルは迎え撃とうとしたがそれより速く肩を斬りつけた。


 剣先はより深く石鎧の肩当てに食い込み、その周りには幾筋の白い軌跡とともに斬り傷がついていた。

 これがパーティー名の由来にもなっている風ノ魔剣の力だ。

 使用者の移動速度を爆発的に上げ、より鋭利に敵を斬り付け、さらにその付近に多数のカマイタチを発生させる。魔力の燃費こそ悪いがそれ以上の効果を発揮する。


「いけるぞ!」


 光明が見えた。

 こうなれば後はいつも通りに立ち回るだけだ。


たびたび前の話を更新していますが物語の流れは変わっていません。序章は実験的なところがあるのでバランスを見ながら加筆修正して進めていくつもりです。

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