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2話

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 日が落ち、暗がりの地上に明かりが灯り始めた頃


 帝国のとある街の宿屋では戦士や魔法使い、旅人等、様々な者達がで酒を飲みかわし、賑わいを見せていた。


「おい、もっと酒だ!!」

「なあ、聞いたか、、、」

「がはははっ!」


 騒々しい酒場の端で僕は黙々と食事を進めながら今までの出来事を回想していた。


 この世界に来てもう6年が経った。

 回復職を使いMMORPGをやり込んでいた僕は気づけばゲームキャラで異世界に来ていた。

 この世界はいわゆる剣と魔法の世界で人類や動物の他に魔族や魔獣、亜人と呼ばれる者たち等、多種多様な者達が暮らしていた。

 当時は右も左もわからない森の中で途方にくれたがキャラの身体能力と魔法でなんとか人里まで辿り着くことができた。

 最初は見知らぬ土地で、帰れるのかもわからず不安に駆られたが、それ以上にこの状況にワクワクする自分がいた。世界を見て周りたい!そんな気持ちで旅を始めたが、そんな楽観的な気持ちはすぐに撃ち砕かれた。この世界は想像以上に危険で残酷だった。


 数百年前から魔族と人類が戦争を続けており、その影響は至るところで現れていた。

 国境付近に位置する多くの村や町が破壊された。

 離れた場所でも物流が停滞し、村を守り田畑を耕すはずの男手が戦争に駆り出されたことで貧困が発生し、民衆は飢餓や病気に苦しんでいた。

 平和な日本で暮らしていた僕には刺激が強すぎた。


 それでもそんな状況を打開しようと各地で回復魔法をかけて回ったが、病気や貧困に苦しむ人々は一向に減らなかった。病気は治せても貧困を脱却できる程の知識は持ち合わせてなかった。


「良かったんですか?」


「なんのこと?」


「一昨日の侵攻ですよ、辿り着いた時にはもう戦況はほとんど決まっていたじゃないですか

 結局被害が拡大した気がするんですが」


 向かい側に座ったイブが聞いてきた。

 薄緑色のローブを身に纏い、ピンクブロンドの髪を肩で切り揃えた小柄な少女だ。

 旅を始めて一年程経ったころ、魔物に襲われ破壊された孤児院で身寄りの無い彼女を保護した。その後彼女から教えを請われ、成り行きで弟子にしている。


「ああ、でもあそこで魔族が勝ったらここら一体の村や街はすべて滅ぼされただろうし、周りの彼らも呑気に酒を飲んでなんかいられなかったさ。」


「まあ、それはそうですね」


 一昨日は魔族の侵攻を聞いて急いで戦地へ駆けつけたが、魔族側が完全勝利する一歩手前だった。

 寸手のところで回復魔法が間に合い、なんとか魔族を追い返すことが出来た。

 しかし、既に亡くなった者は生き返らない。そして少ない兵で戦闘を継続すればさらに被害が出る。

 もう少し早く到着出来ていたら、犠牲者は減らせていたかもしれない。

 そう思うと心苦しくなってくる。


「でも、それにしても周りの人たち、昨日はあんなに沈んでいたのに今日は嘘のように元気ですね」


 彼女の言う通り、昨日の街は静まり返っていた。

 戦争から生きて帰ってきた者があまりにも少なかったからだ。

 普段は活気に溢れている街の大通りも、各所ですすり泣く声が聞こえてきた。


「半ばから元気だろうね、

 でもいつまでも悲しんではいられないからああやってごまかして、気持ちを切り替えようとしているのさ」


「それにしても早いと思いますけど」


「・・・まあ、彼らの切り替えの早さは時々見習いたくなるね」


 そう言って周りを見渡した。すると後方の席に座る二人組の男達の話し声が耳に入ってきた。


「なあ、知ってるか?この間近くでダンジョンが発見されたそうだ」


「なんだって?それは本当なのか?」聞き手の男性は眉を顰めながら聞き返した。


「ああ、なんでも森の方で狩りをしていた奴らが見つけたらしい、

しかもかなり深いそうだ。」


「まじかよ、ギルドは何て?」


「明日にでも調査団を送り込むってさ」


「この時期にスタンピードなんて起こったらしゃれにならないぞ」


「まったくだ。」


 どうやらあまりよくない話であった。

 いつから現れるようになったのかわからないがこの世界にはダンジョンというものが存在する。多くが岩肌に横穴の空いた洞窟のような場所であり、その中は様々な魔物が巣作っている。基本的にダンジョンの魔物は外に出てくることはないが低確率で魔物があふれ出し、付近に壊滅的な被害を与えることがある。

 スタンピードと呼ばれているものだ。

 そうならないようにハンターと呼ばれる者たちがダンジョンに潜り、その調査と魔物の狩猟、内部にある資源の回収等をしている。

 発見されたばかりのダンジョンは特に危険で早急に調査する必要があった。


「今の話、聞いたかい?」弟子の方に向き直る。


「はい、どうします?調査団についていきますか?」

 次の言葉は予想済みだったらしい。


「そうだね、早速明日ギルドに顔を出すとしよう」


「わかりました」


うーん、なかなか進まない。

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