表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

かき氷

作者: 浦田茗子

 

 7月、祇園祭。

 駅前通りに提灯が灯り、山車のお囃子が響く。


 かき氷の屋台に、兵児帯の子どもたちが並んでいる。まっくろに日焼けした子、頬のあかい子、額に前髪がはりつき、どの子もきらきらした瞳だ。

「どれにしましょ」

屋台のおじいさんが尋ねると、

「……いちご」

その子は、ちょっと迷うそぶりを見せてから、頬をゆるませてこたえた。

「はいよ、いちごね」


 かき氷機は、大きくぶこつで、上部に直方体の氷をがっちり挟んでいる。氷の表面が、でこぼこにあせをかいて、なめらかにひかっていた。

 おじいさんが、かき氷機の横のハンドルを回すと、シャリジャリと薄い氷のかたまりがふってくる。おじいさんは、白いカップでそれを受けとめる。その場で円を描くようにカップを傾けると、きれいな氷の山ができた。


 屋台の台の上には、シロップの大きな瓶が並んでいた。

 とぷん。おじいさんが、瓶の口に掛けてあったひしゃくを手に取り、まっしろいかき氷にシロップをかける。

「おまちどおさま」

透明なまま、ほんのりあかく、しっかり染まった、いちごのかき氷だ。

「ありがとう!」

その子は、小さな歯を見せて、大きく笑った。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ