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芸術と心  作者: 黒珠 霊歌
3/7

命の実

 


 其れは、細胞だ。分化能力を持ち、凡ゆる細胞に変化する細胞だ。


 この物語は、鬼黄泉の危険な思想からはじまった。其れは、兄や父母さえ知らなかった、彼女の危険な生体実験、分化能力を持つ細胞の発見、その応用、彼女は一から生命を作り出す事に成功していた。


 


 そもそも、死とは何なのか。其れは誰にもわからない事だ。鬼黄泉は、死ぬのが夢だった。死に憧れていた。死を司る事はできないかと考えた。鬼になった、細胞を分化させて、死んだ細胞を蘇らせた、死の定義とは何なのか。死んでいるは生きているだ。いつしかそう考えるようになっていた。




 鬼黄泉は、知っている。生命の起源を、ずっと知っていた。只、当時の技術力では、死を操る技術は確立出来なかった。其処で彼女は、細胞に記憶させる事で自らの情報を残した。


    


 そして,自分の複製品を制作し、其れ等を使って実験を繰り返した。或る特定電気信号を流し込むことで、神経を動かすことに、成功し生命を遠隔操作する技術を確立した、自分の意志とはべつに、信号を送る事で完全な装置ができるのだ。




 鬼黄泉は、神経細胞の成分を分離し、それらを合成することに事に成功し、其れを応用し、認識する物体を制作した。それが、死者の記憶を、保存し半永久に、別の体で蘇る実験の始まりだった。 


 しかし、鬼黄泉は、その危険性から、僅か6歳にして政府に消された。天上一族は、政府に消されたのだ。







「なんで、妹を狙うんだ。」 


バン、バン拳銃の音が鳴り響く。


青い軍服を着た、陸軍兵隊に発砲される。


銃弾が鬼黄泉の体を躍らせた。


が、それは本体では無かった。 




「遺体の回収だ。」




無惨な死体が転がっていた。




「君は、この子のお兄さんかな。少し話があるから、軍の司令長官のところまで同行を願えるかな。」




妹が死んだ。しかし、それは彼女の一部に過ぎないのだ。


 






「痛い。」


 実験室で彼女は、軍人に撃たれた感覚を憶えていた。


 分身である、感覚を共有する細胞を作ったのだ、半径100kmまで本体から操作できる細胞である。




 私のクローン。脳にチップが埋め込まれたクローン。殺されちゃったのね。3号。でも変わりは幾らでも造れるわ。




 「どうしたんだい。坊ちゃん。」


 後、何人が彼女の実験の犠牲になるのだろう。


 


 「愛想のねえ餓鬼だ。なんか言ったらどうなんだ。」


 一は、捕虜にされるのだろうか。売り飛ばされるのだろうか。尋問されるのだろうかと、恐怖で発狂した。




 「僕をどうするつもりだ。僕はなにも知らないぞ。長官っていうのがどんなに偉い人か知らないけれど、きっとその人の希望に答えられないぞ。」




 「賢い餓鬼だ。その歳でよく話せるじゃないか。」




 軍人は驚いて目を見開いた。




「人殺しが、僕に話しかけるな。」




 車に乗って、1時間程のところ、100km程先に、その本部基地はあった。




「礼儀正しくするんだぞ。本部のトップの方だ。」




 扉を開けると、骨董品や、旗、金のトロフィー、歴代の長官の肖像画、分厚い本、世界地図や地球儀が置かれた、部屋のソファにその人は座っていた。




「やあ。待っていたよ、はじめまして国軍司令長官笹見原ミクルだ。」


 


その人は、少女だった。


 


「はじめまして、天上 一です。」




「君には聞かなくてはいけない事があってね。」




「君の妹の特異能力のことさ。僕達は世の中の仕組みを変えてしまえる力の持ち主の事をそう呼んでいる。」




 「君は、自分の妹が人間でなく、化け物になり果てたのがいつ頃かわかるかい。」




 それは、1歳の或る夏休みのことだった。僕はその時三歳だったから、まだその時は彼女の実験の意味は分からなかった。只一歳にして、僕の理解を超えた実験をしていた。彼女は生まれてくる前から人間ではなかった。影を操って自分の分身を創る奇跡をおこせた。彼女は3人いたのだ。赤色と青色と緑色の三人を彼女は持っていた。


 


 「僕の妹は天才でした。それなのに、どうして殺したのですか。」




 「危険。だからだ。特にあの三人が組み合わさると、もう止められなくなる。鬼黄泉、あいつは、特異能力者sss級の闇の能力者だ。」


 


 「鬼黄泉は何ものなんだ。特異能力とはなんなんだ。」


  


  一はこれまでの常識が覆されたように、困惑していた。 




 「特異能力其れは、才能が作り出す奇妙な現象。例えば、生まれる前の記憶を持っている、見た物を永久に保存する、自分の世界を1つ以上持つ,,,などそのバリエーションは豊富だ」




 「国の目的は何なんだ。」




 「其れを、君に言って何になる。機密事項だよ。」




そう言って、窓の外を眺める様にして言葉を繋ぎ始めた。




 「君は、籠中の鳥さ。この運命という檻の中で、もがき苦しむだけのくだらない存在。死んだ方が幾分も増しなくらいさ。」




そう言って、せせら笑い僕を見下した。




「そうカッとなるなよ少年、君には限りない可能性があるのだから。」




「この世界で唯一確実に無限のものは可能性くらいのものだ。君は天上の世界から来たとされる天上の血を本の僅かながら継いでいる。君は能力者の素質を秘めている可能性が高い。わかるか




い一くん、君は利用価値があるんだよ。この国の軍隊に入らないかい。」




「君が軍に入るというのならば、今も何処かで実験をして生きているであろう鬼黄泉の事は見逃してあげるよ。」




どうやら、軍の上層には鬼黄泉の不死性は露見しているようだ。




「わかった。この運命を叩き潰してやる。」


   




 ~化け物の力~




 化け物とは何か。科学者はそれを、存在しない物だといって、研究してこなかった。




 しかし、知性ある生き物がこの世に生まれてきたその時から、化け物は現れたとされている。


文明や国家の誕生には、必ず化け物が関与しているという。




 「それで、その化け物ってのは一体何なんだい?」


 


 「わからない。只、世界を改変させられる座標があり其れは、この世界に於けるバグのような物だ。化け物は形を与えられる使役する能力者によって、その姿は多種多様だ。」




 「君は軍隊に所属したんだ。この力を使い熟せなければ未来はない。君の化け物を見せてもらおうか。じゃあ、ちょっくら死んでくれ。」




と、次の瞬間胸に黒い刃のナイフを刺されて僕は意識を失った。




 「此処は何処だ。」


 目の前には、醜くも美しい化け物がいた。形の未だない。名前さえない。ものだった。それは


記憶であり、認識の塊、のように見えた。




 「あなたは誰ですか。」


 質問をはじめた。




 答えは返ってこない。




突然時が止まり、何かに観測されていることを認識した。そして何者かが精神を乗っ取ろうとしていることがわかった。精神汚染物質である。




「どうして、僕の邪魔をするんだ。そして、僕を苦しめるんだ。」




 


 声がきこえた、壊せ、破壊しろ。




 また、別の方向からは、戦え。と




 360度全ての方向から言葉がきこえた。




 それは、全て何処かで聴いたことのあるものだった。誰が見た景色と匂い、音、感覚だろうか。




 これは、僕の記憶だ。それが再生されている。




 死んでしまったのだろうか。




 目の前には黒い穴が開いている。其の穴には、僕の私の記憶が入っている。蓋は開いていた、この穴は、君の知る汎ゆる概念を作り出す。概念生成装置だ。




 「疑義ギギギギギギ。ガガガがガガガが。」




 手足のある黒い人の姿が穴から上るように出てきて床を這っている。




 「あなたは一体、何なのですか。」




 「ゴゴゴゴゴ。殺してやる。」




 「疑義ギギギ。許さない。許せない。」




 その、黒い影は私を襲ってくる。




 影は、泣いていた。「どうして、お前らが呑気に暮らしているんだ。許せない。悪人が。」


   


 「償え、償え、償え、償え。醜く愚かな、痛みの知らない悪魔!!!!。殺すくらいじゃ生温いくらいだ。永遠の苦しみの果てに殺してやる、神経をおかしくして、羞恥と痛み、大事なものを奪って怒りと悲しみで精神異常になったところをさらに刃物で切り付けて十字架に手足を杭でうちつけて処刑だ。」




 影は、笑っていた。その笑いには一切の優しさも人情味も無い。冷酷さと、残虐さだけが影を動かす原動力にみえる。




 「い、、痛い。どうして、こんな。」




 「白々しいんだよ。わかってるくせに。」




 「お前が悪いんだ。極悪人が。」




 影は、私の影を取った。




 「これは、罰だ。影のない生き物はもう生命ではない。これは、罰だ。償え。」





それから、7日は意識が戻らなかったらしい。




 「漸く、起きたか。心配したぞ。」




そこは、医務室である。ミクルと、飄々とした紫の髪をした長身の医者らしき人が立っていた。




 「おや。おはよう。具合はどうだい。」 




 「・・・。」




 「ああ。そうだったね。僕は医者だよ。糸波 信 だ。専門は精神科だ。」




 僕は、一体。あれは一体。夢か幻だったのか。どうして、このような医務室にいるのだろうか。




 「貴様、鏡をみてみるがよい。」




 ミクルは、そう僕に命じた。ベッドの右側には姿見の鏡がある。




 「どうだ。映っていないだろう。貴様はもう人間ではない。化け物になったのじゃ。」




 どれ見せてみいと、彼女は僕の影を踏んだ。




 「ほほう。なかなかの悪魔じゃなあ。形は黒い人の姿か。」




 「無礼な小娘が我を踏むか。我は第一級暗黒点より生まれいずる悪魔ぞ。」




 影が、一の足元から伸びそこから分離し角と尻尾の生えた悪魔がそこに現れた。




 「殺してやる、人間。」




 稲妻を身に纏いそれを放ってミクルはそれに攻撃された。がミクルは全て結界のような緑の枠で弾きかえした。




 「ちっ。こいつ、能力者か。この姿じゃやられる。」


 


 黒影の悪魔は、黒い霧に姿を変え、一の体に入っていった。一は乗っ取られ、体が黒く目が赤い魔物になった。  


 


 「それが、貴様の真の姿か。まるで人間の怒りと憎しみそのものだな。」




 「ギァァァァァァァァァァ。」




 その叫び声の風圧で建物が倒壊した。其処は地下であった。地下の研究室、であった。




 「ミクルさん此れは想像以上ですよ。鉄の檻で作ったこの施設をこうも簡単に。」




 「信、わかっているな。封印だ。」


  


 そう言うと二人は札を懐から取り出した。


  


 神から与えられたという、封印の札。




 「・・・。」




一に取りついた悪魔は、発狂した。  




 「愚わああああああ。」




涙を流していた。


 


 「くそがああああ。人間風情があああああ。」




 魔力が僕の身に宿ったのは、其れからだ。悪魔憑きの能力者として、国軍の戦争の陸軍に編入した。




 この隊の隊長は、頭のいかれた軍国主義者らしい。僕はこの戦いで戦功を上げて昇格しなくてはならない。




 「国のために死ね。」




 それが、この軍の掟のようなもので、隊長は無能のクズだった。




 これでは。この軍は全滅だ。




 隊長を暗殺せねばなるまい。




 隊長室に影を伸ばし殺した。




 そして、クズを間引いていった。残ったのはたった7名だった。




 遺体に影を与えて操り人形にした。




 戦争では世界各国から7人の化け物憑きとして懼れられた。




 その7人の中の一人 闇夜 月日が 命の実を食べた。国の裏切りものの指名手配犯であることは直ぐにわかった。




 命の実、それは希少実で生き物誕生の起源といわれている。




 本来、その実は食べるのではなく、重力や電磁気力、強い力や弱い力の相互作用の中に成長する、粒子であった。




 その粒子の特徴は情報の保存と伝達であった。


 


 宇宙のありとあらゆる情報を保存した粒子其れが命の実であった。命の実は必要な条件が揃うとその姿を自在に発現させ生き物や、宇宙法則を作り出した。




 国は、その実の存在をしっていた。笹見原ミクルの先祖は、その実を食べその突然変異で老いる事のない肉体を手に入れたが、天の使いに追放され呪いをうけた。


 


 その呪いが、不死の呪いである。笹見原は、生命の情報伝達を許されず、機械仕掛けの感情を持つ化け物にされたのだ。


 


 一族は国を建国し、高度な民主政を実現し、平和な時が300年続いたが、或る日の暗がりの夜9時過ぎの事である。空から爆弾が降ってきた。何の知らせもなく。それは降ってきた。戦闘機というものらしく、科学という魔力に勝る力で国は蹂躙され国は一夜にして壊滅した。




 笹見原一族は、それ以来科学の研究を続け、遂に核兵器の製造に成功した。その脅威で再び国を建国したが、世界は未だ戦争が行われ、人々は死に放射能でやられ、その治療法はなく、人口は激減し、世界は魔法による結界に頼り切り、呪われた化け物憑きによる、細胞変異が唯一放射能に耐えうる手段となった。遺伝子情報を殺し、人でなくなった化け物憑きは細胞を破壊されることはなく、怒りに支配され破壊衝動の儘に世界を粉々に粉砕した。




 世界は、なくなった。というより地上はなくなり。歩くことができず、空宙を浮いている状態が1億年あったという。その間に生命の実は大樹となり物体を引き寄せ地上を再びつくった。




 その実は宇宙が作り出す相互作用によるもので、到底人間の技術力でアートできるものではなかった。




 生き物の願いだとか、ボース粒子やクオークがヒッグス粒子や、あくかないかもわからない暗黒物質がダークエネルギーが、望んで、実は大きく育てられ樹になり。生命はアニミズム的に周囲に姿を現すのである。


 


 闇夜月日はその、アニミズム的な世界の体現者だった。彼女は、生まれ出ずる生命にも死にも頓着しなかった。もののあわれを知り、輪廻の中に人間以外の周囲の物、無機質な現実にさえ生命を感じ、その声をきいた。







 「天上一族は滅びた。私がやったんだ。生命蘇生は・・・。」 




一は墓に唾を吐きかけた。




 「けっ。殺してせいせいしたよ。」  




 一の中の闇はそう語りかけた。自分を大切に育ててくれた家族に何の恩も感じていなかった。むしろ、邪魔だ。死んでくれとさえおもっている。だから殺したのだ。




 「信じられない。家族なんて、似非の愛情、偽物の家族。ずっとうらんでいた。生まれてきた時から、腹の中で、呪った。」




 さようなら、の断末魔は心地良い。


政治家も、医者も財界の富豪も権力者には盾をつくのが、人間の心理だ。


それでいて、世界征服で独裁国家をつくって、あらゆる人間に頭を下げさせるんだ。


一番上が自分で、あとの生き物はすべて自分にひれ伏す。徹底的に監視して逆らうものは、公開処刑する。


 


 「特に。旧来勢力の年寄りどもは、貯めてある金を全て献上させる。」




年寄りは団結して対抗したが、徹底した監視と、弾圧により見せしめに何百人と殺され、逆らう者は誰もいなくなった。




 「洗脳教育で子供を従順な国家のペットにする。」




一は気の狂った独裁者の思想で民衆を洗脳し国家を戦争に導いた。一部の熱狂的な彼の支持者の広告による宣伝の効果もあり、世界は一の下になった。

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