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婚約者 side ユーリ

こっちも表現に気を付けました。

R15って、どこまでいいんでしょうね?



兄男爵のところに陛下からの公式文書がきた。

内容は、もちろんアレだ。アニス様との婚約について。

兄たちは、とても驚いていた。ちゃんと言ってあったのに半信半疑だったらしい。

届いて、すぐに邸に来い、と呼び出された。

でも、とても喜んでくれて、すぐに城へ赴き手続きを行ってくれた。


フェルナンド・メノーチェとの婚約が決まったときはショックだったがアニス様に相応しい人だと思う。

彼は俺のことも普通に見ていた。

公爵家の御子息だし、まぁまぁイケメンだし、優秀らしいし。

でも、やっぱり少し、いや、かなり悔しいと思ったのは否めない。

俺の方がアニス様と付き合いが長いし、俺の方がアニス様を知ってる。

なんて...。

俺がアニス様の夫の末端にも入れない事実に目を背ける。


いや、背けていた。

でも、アニス様は、そんな俺に告白をしてくれた。

ある日のことだ。

休憩時間に散歩していたアニス様が隣に来るように言った。

俺は素直に、その言葉に従った。

アニス様には不敬という言葉がないようだ、というのは宮城では有名な話だ。

ただ、陛下や兄殿下たちは、アニス様に対する不敬に寛容ではないし、アニス様が怒らないからと言って何をしてもいい、などと思うヤツもいない。


アニス様に妻に立候補する、と言われた夢のような幻想のような妄想のような出来事が事実だったことがわかったときは心臓が壊れるんじゃないかと思うくらいドキドキした。


「じゃあ、わたしが立候補したら.....困る?」

「ユーリに、その気がないのに結婚を無理強いするようなことはしたくないの。もし、もしも嫌なら、そう言ってね...?」

と言われたとき本当に嬉しかった。

じっと俺を見上げるアニス様。

こんなに可愛くて優しくて公務も完璧にこなすような、雲の上の方が俺を?

「嫌だ、なんてことはありません。あるわけがありません。わたしだけでなく誰であろうとアニス様を断れる人がいるなんて思えません」

「でも、わたしはアニス様に相応しくありません。もっと御自分に相応しい方は、たくさんいらっしゃるのに、何故、わたしなのですか?普通なら、からかわれていると思うところですが、アニス様は、そんな方でないのは良くわかっております。だからこそ、何故わたしなのかと思ってしまいます」

俺は、すぐにでも受け入れたい気持ちを落ちつかせ俺でいいのか、なぜ俺なのか、という正直な気持ちを聞いてみた。

アニス様が1つ深呼吸して話してくれた言葉は一生忘れない。

アニス様の流す涙、その顔に見惚れてしまったのは仕方ない。

俺はハンカチを出して、そっとアニス様の頬に押し当てた。

「ユーリが好き。ユーリの気持ちが他にあっても、わたしはユーリが好きなの。ごめんね、皇族の、皇女の気持ちなんて重いものを伝えてしまって」

アニス様はアニス様で皇女の気持ちを伝える、ということは逆らうことのできないことと重く受け止めて悩んでいたのでろうか。

それなら、俺も自分の気持ちに向き合おう、正直にアニス様を望もう。

「わたしは、ずっとアニス様をお慕いしておりました。叶うわけのない望みは持たないようにしておりましたが、本当は、こうなることをとても強く思っておりました」

そう言うとアニス様は顔を覆ってしまった。

視界の端がうるさいな、と思って見るとエイダンたちが「抱きしめろ」というジェスチャーをしている。

マジか、俺が?

いや、ここでそれをやっていいのは俺だけだよな。

他のヤツなんて俺が許せない。

深呼吸してヨシと気合を入れる。

アニス様に、そっと腕を回す。大丈夫か、これ。拒否されたら捕まるよな...。

でも、拒否されることはなく、アニス様は俺の胸に顔をくっつけて背中に腕を回してきた。

おぉぉぉぉ、だき、だ、抱きしめあっている!?

アニス様のいい匂いがする。

頭、撫でていいのか?もっと、ぎゅってしていいのか?

変なとこ触って本当に捕まったらどうしよう、などと考えて指1本動かせなくなってしまった。

これ、どこまで許されているんだろう。

けれどアニス様が落ち着いてきたようなので肩ならいいだろう、と肩を掴んでアニス様を離す。

離れる温もりに寂しい気持ちになる。

けれど俺もちゃんと言いたかった。

跪くとアニス様を見上げて言った。

「アニス様を愛しています。わたしと結婚してください。生涯、貴方をお守りする権利をください」

アニス様が少し震える声で「はい」と返事してくださった。

アニス様の出す手に唇を寄せる。

暖かで、これ以上にない幸せな気持ちでアニス様と微笑んだ。




そして、無事アニス様と婚約が整ったわけだが、ある日、仕事の終わりにアニス様が答えにくいことを聞いてきた。

男性が受ける性教育のことだ。

その前にフェルナンド殿より先に結婚したい、と言ってきたし俺と先に、そういうことをしたい、とか思っているのだろうか。

だとしたら嬉しい。にやにやしそうになるのを抑えるが、まったく抑え込みに成功しない。手で隠すことにしたがアニス様は教育の内容に興味があるようで、いつもよりグイグイ聞いてくる。

口で説明は憚られる。ていうか、非常に説明しずらい内容なのだ。

先生(もちろん男性だ)も女性に、こんなこと言わないように。絶対ひくから。と言っていた。

そしたら...やってみせるしかないのでは?

俺は婚約者なんだし、いずれは、そういうことをするわけだし。

ちらっとアニス様を見てみる。

赤くなっている。

これはイケるのでは?

俺は「やってみましょう」と言うとアニス様に近づいた。

「...ユーリ?」

戸惑いを見せるアニス様に、少しだけ唇をあててみる。

アニス様の声と柔らかい感触に、どれくらいしていたかわからないが、あっという間のことのように思う。

アニス様から離れると、美少女のアップに今更ながら衝撃を受ける。

無防備な、ぼーっとした顔に拍車がかかりそうな自分に待った、をかける。

俺の理性、頑張れ!

「わかりました?」

話をしていないと理性が仕事をしなくなりそうだ。

アニス様は顔が真っ赤だ。可愛い人だ。自分から聞いてきたのに。

「どんなことを教えてもらうのか」

あ!という顔をする。

その後も可愛く初めてなのか、と嫉妬しているようなことを言ってくる。

実は男同士で練習するヤツもいるが少数だ。

もちろん俺はしていないけど、アニス様が嫉妬するくらい上手くできたということか。


でも、もしかしたら、なんて淡い希望を持って真面目に授業を受けておいて良かった。




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