第二回練武会
ついに2回目の練武会開催の日だ。
今日も朝早くから磨かれている。9歳だから、もう幼児って感じはしないが、どうも七五三の雰囲気を感じてしまう。
それはともかく、今回もユーリを応援するよ!
贔屓にならないように他の騎士も適当に観戦するけど、ユーリだけは全試合見るから!
早速、ユーリの初戦を見に行くよ!
今大会から、ちゃんとした競技場だ。闘技場というべきな気もするが競技もできる設計になっているから、これでいいのだ。
ユーリの初戦は、当然ユーリが勝った。相手は春光騎士団の騎士だった。
前回と違うのは観戦客の多さ、エイダンによると前回準決勝までいったユーリは今練武会の有望者で、こんな初戦ではオッズは低いもののユーリに賭ければ、かなりの確率で勝てるため初心者に優しい試合と思われて人気があるらしい。
試合の勝敗が決まった瞬間の歓声も大きかった。
前回はヤジがあったのに。ユーリも観客の反応に驚いている。
驚いてキョロキョロしているユーリ、可愛い。
今回の練武会には前回優勝者と準優勝者の団長2人は出ない。若者の出番を減らしてはいけないんだそうだ。勝つ前提だね。勝つだろうけど。
ガイも出るんだって。トーナメント表を見ると今回はユーリと別々だ。まぁ頑張れ。
気が向いたら応援してあげよう。
ユーリは下馬評の通り順調に勝ち進んで次は準決勝で、相手は近衛騎士だ。またか。まぁ、ここまでくると月光と近衛の騎士が多数になってくるので仕方ないのだが。
相手はモヤシのブサイクだ。なんていうかアンバランスさがスゴい。
頭の大きい人なのに体が細くて、頭を支えられるのか心配になる。
でもモテる。解せぬ。
相手が近衛だと固定ファンみたいなのがいて少々ウザ、鬱陶しい。
後ろにいる3人娘もうるさくしてエイダンに注意されている。
審判の合図でガンッと大きな音がして近衛騎士が激しく攻め込む。
ユーリは防戦一方だ。ええええええ、大丈夫なの、ユーリ。これに勝てば十傑だよ!
だが、その瞬間、近衛騎士は大きく後ろに飛び退った。
ユーリが懐に入り下から突き上げるように剣を繰り出した。
相手との身長差が激しい組み合わせで不利かと思ったがユーリには関係ないように見える。
そのまま距離を保ち、両者睨み合ったままお互いに近づかない。
すごいドキドキするんですけどっ!組み合わせている手に力が入る。
場内も歓声が凄い。近衛騎士への声援は無視してやる!
いつまで続くかと思った睨み合いは近衛騎士が攻め込んだことで終わった。
大きく打ち込んだ剣はユーリにはじかれた。
えっ!近衛騎士の剣をはじくなんて凄くない!?
ユーリに胸元に剣を突き付けられ、近衛騎士は「参った」と告げた。
勝った、勝った、勝ったよー!
わたしは席を立ち、大きくいっぱい拍手した。
「ユーリ凄いっ!強いっ!格好いいっ!」
周囲の貴族たちが驚いているが構うものか。
ユーリは、わたしに一礼して下がっていく。
十傑だ!ついにユーリが十傑になったよ!
バンザーイバンザーイ!
「エイダンッ!ユーリ勝ったよ!凄くない!?」
エイダンの腕をガシッと掴む。
「ええ、本当にそうですね。最年少の十傑となるでしょうし、この記録は早々やぶられることはないかと思います」
「そうだよね!?さすがユーリ。頑張ってたものね」
嬉しいのか感動なのか涙が滲む。
その後も日程は進み、ユーリは決勝で負けたものの十傑入りを果たし十傑トーナメントで初戦を勝利した。なんとガイは準優勝だ。
スゲーな、あいつ...。
表彰式でユーリに十傑入りを証明するトロフィーを渡すとき、ユーリの目がキラキラしていて抱き着きたかったが、ぐっと堪えたよ。
9歳のわたしでは成長したユーリのお腹辺りに抱きつく格好になってしまう。(いや、そこじゃない)
成長してからの我慢だ。(だから、そこじゃない)
そして、ユーリをわたしのガードにしたい、という希望も陛下に認められ、わたしのガードは4人となった。ガイはイケメンだし今大会で準優勝したため母陛下から自身のガードに、というお誘いもあったようだが、なんとガイは断ったらしい。
別にいいのに。
ユーリをガードにするのに反対意見は出なかった。
「ユーリの勝利をあんなに派手に喜んでおいて何を言いますか。周りに、わたしのお気に入りだとアピールしたのでしょう?周囲の貴族どころか会場内でも驚かれていましたのに。皇女様のお気に入りに表立って反対などできましょうか。でも、それもガイ殿がいらっしゃるからですよ。さすがに皇女様のガードがブサイクばかりとなると反対意見も出るかもしれません」
とはエイダンの言葉。
あぁ、やっぱりバランスって大事。
ガイ、別にいいのに、とか思ってゴメン、母陛下のスカウト断ってくれてありがとう。
わたし、この騎士お気に入りだから。何かイチャモンつけるなら買うわよ?みたいなことは狙ってなかったし考えてもいなかったが結果良ければ全て良しだ。
ところが、わたしのアピール(してないけど)のせいもあり少し面倒なことが起きる。
ドールスタン子爵が、わたしに謁見を申し入れたのだ。
誰!?と思ったよね。わたしも一瞬思った。
が、すぐに思い出した。
ユーリの実父だ。




