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この世界ってね

さて、わたしはめでたく5歳熱を乗り越えた。


で、わたしは前世(多分)チキュウという惑星のニホンというところで女性として生まれて一生を終えた。らしい。

どうも自分のことが曖昧だが熱で苦しんでいるときに見た夢のようなものは前世の記憶なのだろうと思う。

そして、その記憶によると、わたしは人生勝ち組ということになる。


だって今のわたしはアイストリア皇国の第一皇女 アニス・ノア・アイスター なのだから!

高笑いが止まらない。

しかも、たった一人の皇女なのだ。

前世の記憶からすると、この世界は、かなりオカシイ。


この世界では神が実在する。

男神1人、女神1人

この2人の神の姿は、かなりリアルに絵やら像に残されている。

前回、顕現したのは100年前、ここから遠いラターニャ国に女神が現れた。

理由は、ある貴族の男性が女性に暴力を振るったためだ。

え!? それだけ!? て思うよね。

ところが、この男は女性を何人も囲い込み、ほぼ独占していたらしい。

(ほぼ独占て、もしかして他の男も女性に何かした?なんてモヤモヤしたが、この話をわたしに教えてくれた使用人は詳細を知らなかったため謎だ、100年前だしな)

この男は女神によりイチモツをキレーに失ったうえ醜い外見にされた。更に国王からも罰を与えられた。当然だな。

爵位剥奪、資産返上、国外への移動禁止

その男は行き場がどこにもなく餓死したということだ。

遺体は荒野に遺棄され獣だか、魔物だかに食われた、と聞いた。

世界的にも有名な話だ。

そして、この話を聞かされた子供に大人は言うのだ。

男の子には、『だから女性に酷いことをしてはいけないよ。 数が少ないのだし男が守らねばならない、大事にしなければならない』と。

女の子には、『あなたは女の子なのだから自分を大事にすること、酷いことをする男など懲らしめてやらねばならない』と。


この世界は、この国だけでなく全世界的に女性が少ない。

100年なんてものでなく、もっと古い時代、男性と女性は均等な人口比だった。

だが、力で圧倒した男性が女性を虐げ始めた。

時にはモノとして扱われ、子供を産むためだけの存在とされ、己の欲の発散、プライドを示すため、また、褒賞として与えられたりした。

女性たちは心身ともに疲れ果てた。

いつからか女性は生まれにくくなり生まれても5歳熱で亡くなる確率が上がり数を減らしていった。

ある国の神殿で女の子を望む貴族の男の元に女神が現れて、こう言った。

「あまりにも女性を酷く扱うから女性たちが生まれたくない、と言っているのよ。わたしは、その望みを叶えてあげているだけ。女性の数を増やしたいのなら女性を大事にすることね」


女神顕現の報は神殿伝手に世界に知らされ、女性の自由、権利、意見などが尊重されるようになった。


てなわけで女性の数は増えてきているものの、まだ少ない。

このアイストリア皇国は多い方だが最近の調査で5:2だ。

そのため一妻多夫が導入されている。

妻を複数持っているのは皇帝陛下のみだ、つまり、わたしの父親だ。

その父陛下も、わたしの母である第二女性陛下が亡くなってからは第一女性陛下のみを妻としているので1人しか妻がいない。


ん? て思った?

そーなんだよ。女神のせい、ゲフンゲフン、女神様のお陰で男性も女性もない平等を目指した結果、女性が皇帝なら、その夫は第一男性陛下、第二男性陛下、といい、女帝などという言葉は、この世界にはない。

そんな言葉を作ろうものなら、皆から蔑まれる。 特に神殿からのアタリは強い。

アイストリア皇国は現在、男性が皇帝だが周辺国では女性の国王、皇帝もいる。

そして、同じように女王などという言葉はない。

貴族も当主は男性が多いが女性もいる。


いいよね、これ! 前世の記憶が復活したとき、この世界、素敵―♪とか思ったさ。 でもねー、デメリットもあるのよ。 女性が大事にされるあまり女性が我儘になってしまった。

さっき貴族の当主には女性もいるって言ったけど仕事は酷いことが多い。補佐する人達、大変だろうなー、て思うよ、ホント。

ちょっとだけ、この世界の男性、不憫、て思った。



まだまだ続くよ?



女神様がクズヤローを醜い外見にした、て言ったけど、その外見がオカシイ。

ヒジョーにオカシイ。 なんなら一番オカシイ。

その見た目のために、クズヤローは監視がついていたわけでもないのに国外逃亡もできず、誰からも相手にされず、悲惨な最期だったわけだが。


なんということか!? わたしから見て美形が醜いのよ。 マジか、酷くね?

だって、この世界は、こんな世界的に有名なクズヤローのお話のせいで美形にキツい世の中なのだ。 最低な男だから醜い、などという偏見があるのだ。 んなわけあるかい!

イケメンな優しい彼とキャッキャウフフしたいとかいう、わたしのささやかな希望が無理難題に近い。 だって、わたし、皇女だから!

どうりで、傍仕えにイケメンがいないわけだよ。


どーする!? どうしよー!?



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