表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/55

続・病院を作ろう



結論から言おう。無事、病院は設立されることになった。


レスター兄様と薬師長のおじいちゃんをはじめとした皇宮薬師の皆さん、そして、またまたシュタイナー伯爵、ありがとう、ありがとう。

他にも当然と言えば当然なのだが薬師組合も巻き込んだし、次兄のライム兄様が魔力の多少を判別できるということで水属性を持つ者の面接を引き受けてくれることになった。わたしも同席するつもりだが、わたしには魔力の有無しかわからない。コントロールをもっと身につければできるようになる、と言われたが、そんなの待ってられないからな。わたしは人となりを見ることとしよう。決してイケメンを優先的に...など思っていない。


魔力回復薬は、古書の中にあった。

ずっと昔には魔力を研究していた時代があって魔術部などという部署が存在し魔力増強薬、魔力制御薬などあやしげなイメージしかないものも作られていたらしい。

だが、結局、できることはたいして変わらず衰退していった。


再現した魔力回復薬は非常に不味かったため、皇宮薬師のみんなが今も改良に頑張ってくれている。

わたしが飲むこともあるかもしれないから、是非期待したい。


薬師の反発だが、いい機会だと目に余る行いをしていたものは薬師の資格を剥奪し処分した。ざっくりしていた料金形態を薬の種類ごとに下限、上限を決めた。病院の価格は上限を設定する。

保険制度が一番難航した。誰がどこに住んでいて家族構成はどうなっているのか、などという前世でいう戸籍とか住民票のようなシステムがちゃんとしてない。

いや、一応あるんだよ。生まれたら出生届、死んだら死亡届を提出。

ところが生まれても届けられず亡くなっても届が出されない。人が移動しても届の必要がない。国家間の移動なら転出届っていうのがあるんだけど、それも出されないことが多い。国外からの転入も同様だ。

大体、冒険者を稼業にしているような人たちは拠点のない人たちの方が圧倒的に多い。

というわけで、年末に翌々年分の保険料を払うと、翌々年、病院での治療が安価になる、という形態にした。病気になったから年末に保険料を払って翌年に治療を受けよう、なんてヤツを抑制するためだ。

5歳熱なら年齢でわかるだろうって?確かにな。でも、それはいいと思う。そもそも子供は国の宝でしょう?国の未来でしょう?だから5歳熱だけは保険の対象外にして全員無償で治療することにしたのだ。

保険は病院にだけ通用するシステムだ。保険制度なんて普及しないだろう、病院は上限価格になっているから結局、多くの人々は薬師のところに行くことになるだろう、などという噂が流れたため、反発していた薬師は勢いをなくした。

その噂の出所がわたしなのは、ここだけの秘密だ。国家による情報操作?いやー、ここニホンとかいう国じゃないからね。

それに最初から保険制度が普及しないだろうことも織り込み済みだ。良さは少しずつ認知されると思っているし、新ポストの厚生大臣に就いたシュタイナー伯爵に宣伝してもらうことになっている。

もちろん将来的には全ての薬房で保険がきくようにしたいと思っている。理想は前世の国民皆保険制度の導入だ!まぁ、これはすぐには無理だとわかってるよ。


病院は国立病院で、薬師と水属性を持つ者の教育機関も併設することにした。水属性を持っていて治療にあたる人のことを水術師と命名。水術師は水分補給だけが仕事ではなくなった。実は水薬を患者に注入する技をおじいちゃんが考え出したので経口摂取しか方法のない薬も患者に投与することができるようになったのだ。これにより医療の進みが顕著になるだろう。

でも最初は、水術師は病院にしかいない。水術師の技術を受けたいのなら病院に行くしかない。これも保険制度が普及する要因になると見ている。

ちなみに初代院長は、このわたしだ。

あはー、また仕事増えちゃったよ。でも、病院は少しずつ増やしていきたいし頑張るぞ。


そうそう、保険料は収入に応じて...ということにしたかったのだが、今の国のシステムでは無理だ。

そこで、保険料は一律として払いたいが払うだけの余裕がないことを証明できれば、適正価格にしたものをそれぞれに提示することにした。最低額は破格の値段(子供のお駄賃)だ。ここも本当は無料にしたかったが予算的にキツ過ぎると、懇々と諭された。レスター兄様に...。

しまいには、わたしはレスター兄様の膝の上にいた。抱きしめるようにして、なぜ予算的に難しいか説明されても、あまり頭に入ってこないよ。

おかしいな。少し前まで(物理的)距離をとられていると思ったのにな。最近は、わたしから逃げないし、今なんて自ら膝にのせてきたよ?

何があったの、兄様。


まぁそれはともかく、仕方ない。予算に関しては根回しも含め、かなりレスター兄様に頼ってしまっている。

それに、なんだかレスター兄様が怖い人なのかも...と思うときがある。微笑んでいるのにうすら寒い。わたしに向かって、そんな笑みをされると背筋を汗が伝うようだ。わたしに向けているわけではないみたいだけど。

わたしの後ろに何か見ているのか?


きっとレスター兄様もお父様のように賢帝と呼ばれるような皇帝になるに違いない。

優しいだけじゃトップは務まらないよね。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ