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プロローグ
暑い...
暑いったら暑い...
喉乾いた。水、お水ちょうだい
けど、眠い...
おかしな夢を見た。こことは違う世界
そこは少し息苦しい世界だった。
目が覚める。
傍には私の傍仕えのエイダンがいた。
水。と訴えたつもりだったが声が掠れて出ない。
ない唾を飲み込んで、もう一度。
「み、ず」
「皇女様!?お気が付かれたのですね?」
涙ぐんでる。
お前の涙はいらん。水だ、水!
「み・ず...!」
エイダンは「薬師を呼んでまいります!」と言うと部屋を出て行った。
え...! 水だよ! 水だってば~
わたしに水を飲ませてから行けよ!馬鹿めっ!
サイドテーブルに水差しを見つけたが体が重くて動かない。
すぐに来た薬師に、やっと水を飲ませてもらって(劇的な不味さの薬も飲まされたが)また眠りについた。
吐くかと思った。
時々、目を覚まして水だけ飲んで、また眠る。
そんなことを数日繰り返して私は、この世界で必ず罹る5歳熱という病を乗り越えた。