第6話 現実で昼飯を食べる
巨大ネズミを倒した後は町に戻って一度ログアウトすることになった。
現実の時間だと今は昼の1時過ぎくらいだ。
そろそろ昼食を食べなければ餓死してしまう。
そんなわけで現実への帰還を果たしたわけだが……。
「……腹が減ったし、何だか疲れたなぁ」
動かしていたのは脳だけのはずなのに謎の疲労を感じる。
ゲームに慣れていないとこうなるんだよな。
通称、ゲーム疲れってやつだ。
まあ、これに関しては慣れるしかない。
「そんなことより飯だ飯!」
俺は部屋を飛び出し、1階のキッチンへと向かった。
△ ▼ △ ▼ △
「これでいいか」
戸棚に入っていたカップ麺をゲットだ。
カップ麺はテーブルに置いて、やかんでお湯を沸かしますよー。
「ん?」
お湯が沸くのを待っていると足音が聞こえてきた。
思い当たる人物は1人しかいない。
「お兄ちゃん久しぶり」
「そうだね。数分くらい会っていなかったな」
やってきたのは詩音だった。
「あっ!それ、私のカップ麺じゃん!」
詩音は俺が食べようとしているカップ麺を指差してそう言った。
「早い者勝ちなんだよなぁ」
「くぅ……やられた」
がっくりと項垂れる詩音。
それを見た俺は詩音にカップ麺を譲った――りはしないのだ。
そうしている間にやかんのお湯が沸いた。
カップ麺にお湯を注ぎ、3分間待つ。
「お兄ちゃんはこの後どうするの?」
詩音は戸棚にあるカップ焼きそばを取りながらそう言った。
「このまま続けてファンタジーなゲームで遊ぶつもりだぞ」
「ふふふ……お兄ちゃんもファンタジーなゲームにはまってしまったようですな」
「誰かのおかげでな」
3分経ったので俺はカップ麺を食べ始めた。
スープを一口飲んでから麺をすする。
なんだよ美味いじゃねえか。
「そうだ。詩音は昼からどうするんだ?また俺と一緒にパーティ組むか?」
俺はカップ麺を食べながら詩音に尋ねた。
「あーごめん。急な用事ができちゃってさ。すぐにはゲームできないんだ」
詩音はごめんなさいのポーズをとる。
「じゃあ俺はソロプレイに勤しむか」
俺はそう言うとカップ麺を一気に平らげる。
そして昼飯の用意をする詩音を横目に見ながら部屋に戻った。
さーて、またゲームをやりましょうか。