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第29話 友達に貢ぎ物を捧げた

 ワダエルコに【蜂蜜の指輪】を譲ってもらった翌日。

 俺は【蜂蜜の指輪】をマリちゃんへ貢いだ。


「どう?似合うかしら」


 マリちゃんは指にはめた【蜂蜜の指輪】を俺とシオンに見せた。

 きらりと光る蜂蜜色の指輪はマリちゃんに似合っている。


「マリちゃんよく似合ってるんだよー!」

「ふふ、ありがとうシオン」

「マリちゃんよく似合ってるぞー!」

「ふふ、ありがとうカイト。お世辞でも嬉しいわ」


 何で俺の時は一言多いんだよ。

 シオンもお世辞を言ってるかもしれないだろ!


「ちょっと今失礼なこと考えたでしょ」

「はて、何のことかさっぱりだぜ」


 マリちゃんの視線が痛いけど俺は耐えるぞ。

 俺は男の子!

 痛みに耐えてこそ男だろ!


「ところでマリちゃん。その指輪にはどんな効果があるの?」


 いいぞシオン!

 その空気を読まない質問ナイスだぞ!

 おかげでマリちゃんの視線が俺からシオンに変わったぜ!


「この指輪は魔力を高めてくれる効果があるの」

「へーそうなんだ」

「だから私みたいな魔法で戦うプレイヤーにとっては垂涎の的なのよ」

「ふーん」

「まさかこんなに早く手に入るなんて思っていなかったわ」


 まあ、俺のおかげだよね。

 でも俺は手柄を誇らないぜ。

 こういう謙虚さって大事だと思うんだ。


「それじゃ、早速この指輪の力を試しに行きたいんだけど……」

「よし、分かった。俺とシオンはここで待ってるからいってらしゃい!」

「……シオンはどうしたいの?」

「え?みんなで行けばいいんじゃないかな?」

「……だそうよ」

「くっ……ずるい手を使いやがって!」

「なんとでも言いなさいな」


 なんてこったい。

 マリちゃんの計略にはまってしまった。

 俺としたことがしくじったぜ。



△   ▼   △   ▼   △



「ファイアボール!」


 マリちゃんの火の玉魔法がモンスターに炸裂する。

 指輪の効果なのかイベントで俺と戦った時よりも火の玉は大きかった。

 丸焼けになったモンスターは光の粒子となって消えた。


「うん、指輪1つで随分と違うわね」


 マリちゃんは指輪の効果にご満悦のようだ。


「マリちゃん凄いんだよ!」

「ありがとうシオン」

「マリちゃん凄いじゃん!」

「ありがとうカイト。お世辞でも嬉しいわ」


 だから何で俺の時は一言多いんだよ。

 くそ、まさかこの俺が弄ばれているのか?


「次はボスモンスターと戦ってみたいわ。近くに手頃なのはいないかしら?」


 マリちゃんがボスモンスターをご所望だ。

 森も近いことだしマリちゃんには巨大蜂をオススメしよう。

 きっと気に入ってくれるぞ。


「それならちょうどいいボスモンスターが森に――」

「ん?お兄ちゃんあれなんだろ?」


 シオンが俺の袖をクイクイっと引っ張る。

 もう、話を遮るように話しかけるのはマナー違反ですよ!

 気を付けてよね!


「あれってなんだよ」


 俺はシオンの見ている方をじっと見る。


「あ、何だあれは?」


 シオンが疑問形で俺に聞いたのも納得だわ。

 なんだろうねあれは?


「ちょっと2人で何見てるのよ」


 マリちゃんが俺とシオンの間に割って入った。

 3人で同じ方向を見つめる。


「何もいないじゃない。2人とも何が見えているの?」


 マリちゃんはまだ見つけていないみたいだ。

 あんなに目立っているのに。


「仕方ないなぁ。何が見えているのか俺が教えてあげよう」


 こうやって優しいアピールしておくと後々良いことに繋がる。

 俺はそう信じてるぞ。


「俺とシオンがさっきから見ているのは……黄金のスライムだ」

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