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第28話 指輪を恵んでもらった

 【蜂蜜の指輪】を求めて俺は再び森を訪れた。

 俺、今日こそ指輪をゲットするんだ。

 そんな思いを胸に秘めて俺は森の中を進む。

 道中は昨日と同じように虫モンスターの襲撃があった。

 俺のことは無視してくれていいよ。

 駄目なの?

 じゃあ、経験値に変わっていってね。


「あれ?向こうで戦っているのって……」


 目聡い俺は遠くで虫モンスター相手に戦っているプレイヤーを発見した。

 そのプレイヤーに見覚えがあったので近付いてみる。


「えい!このぉー!」


 やっぱりそうだ。

 前にトゲトゲ機械騎士に襲われていた着物&袴装備の女の子だ。

 名前は確かワダエルコだったな。


「やぁー!」


 ワダエルコは刀を振るって奮戦している。

 だが、虫モンスターの数が多いため多勢に無勢といった感じだ。


「こういう場合は手を貸すべきだよな」


 そう考えた俺はワダエルコに加勢すべく木の影から飛び出した。


「ワダエルコ!加勢するぞ!」

「え?……あ、カイトさん!ありがとうございます!」


 俺が加勢したことでワダエルコも態勢を立て直せたようだ。

 戦況は完全にこちらに傾き、数分後には虫モンスターの殲滅が完了した。


「お疲れ。……余計なお世話だった?」


 いらないお節介だったらどうしよう。


「いえ、そんなことありません。助けてくれてありがとうございます」


 実は結構ギリギリだったんです、とワダエルコは笑いながら言う。

 ふぅ……よかった。

 俺のやったことは間違っていなかったんだ。


「じゃ、俺はこれで失礼するね」

「え?もう行っちゃうんですか?」

「悪いね。俺にはどうしてもやらなければならない使命があるんだ」

「使命……?」

「そうだ。俺はどうしても【蜂蜜の指輪】を手に入れないといけないんだ」

「【蜂蜜の指輪】……ってこれのことですか?」

「……ん?」


 ワダエルコの左手にきらりと輝く指輪が3つ。

 わー綺麗な指輪だね。

 可愛いワダエルコちゃんにはぴったり……じゃない!

 これだよこれ!

 【蜂蜜の指輪】じゃねえか!

 えっ嘘。

 何でレアアイテムの指輪が3つもあるの!?


「この指輪は、森にいる蜂から手に入れた物です」

「蜂?ボスモンスターの巨大蜂じゃなくて?」

「ええ、私は普通の蜂から手に入れましたよ」


 なんてこったい。

 マリちゃんはガセネタを掴まされていたんだ。

 くそ、誰だよマリちゃんに適当なこと言った奴は!

 俺が迷惑してるだろうが!

 普通の蜂からもドロップするなら巨大蜂に固執なんてしなかったのに!


「カイトさんはこの指輪が欲しいんですか?」

「欲しいです」

「どうしても?」

「どうしてもです!」

「じゃあ、あげます」

「分かりました土下座しますので――え?」


 土下座をすべく片膝をついたところで俺は固まった。

 土下座しなくていいの?

 今までの俺の人生経験ではこういう場合は土下座一択なんだけど……。


「はいどうぞ」


 ワダエルコは指から【蜂蜜の指輪】を外すと俺にくれた。

 マジかよ。

 本当にくれたぞ。


「……ワダエルコには大きな借りができてしまったな」

「そんな大袈裟ですよ」

「この借りはいつか返すよ」

「……それなら、今返してくれますか?」


 なんだと……。

 やりよるわワダエルコめ。

 時間差攻撃とは恐れ入った。

 やはり、彼女は土下座を求めていたのだ。


「カイトさん、私とフレンド登録しませんか」

「分かった。今、最高の土下座を――え?」


 あれれ?

 フレンド登録?

 なんでそんな話が?


「私まだフレンド登録したこと無いんです。……もしよかったら、カイトさんが私の初めての友達になってください」


 それが借りを返すことになるの?

 そんなんでいいならいくらでもするよ。


「ワダエルコがそれでいいなら俺は全然OKだよ」

「やった!じゃあ早速フレンド登録しましょう!」

「うわっ、ちょ、落ち着け!」


 ワダエルコとのフレンド登録は随分と慌ただしかった。

 そんなに俺とフレンド登録したかったのかよ。

 えへへ、なんだか嬉しいじゃねえか。

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