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第27話 ボスモンスター(蜂)

 蜂の巣の周りには木が生えていない。

 しかもご丁寧に平地となっている。

 これなら見通しも良いし戦いやすい。

 でも、プレイヤーにとって好条件が揃っているってことはつまり、それだけボス戦が厳しいということかもしれない。


「まあ、戦ってみれば判るか」


 最悪の場合は逃げればいい。

 レガルライゼファーは俺に負けず劣らずの健脚持ちだからな。

 蜂を振り切る程度、余裕でしょたぶん。


「……じゃあ、やるか」


 俺は意を決して蜂達のテリトリーに侵入する。

 まずは普通の蜂が複数で襲ってきた。

 虫だけに無視してもいいけど、周りを飛び回られると煩わしいからな。

 蜂は時間をかけても全て潰しておく。

 それが終わるとボスモンスターの巨大蜂と対面だ。

 巨大蜂は低い羽音を立てながら飛び上がった。


「うわぁ……迫力満点だぁ……」


 デカい蜂が目の前をぶんぶんと飛んでいるのは見ていて気分が悪くなる。

 いっそ目を瞑って戦うか?

 名案かも。


「あ、痛い!」


 蜂の体当たりでレガルライゼファーが倒れた。

 盛大におでこをぶつけてしまったじゃないか。

 くそ、やっぱり目を瞑るのは無しだな。


「レガルライゼファーにダメージは無し。まだまだ余裕だな」


 さあ、立つんだレガルライゼファー。

 お昼寝にはまだ早いぞ。


「あ、やっぱり毒針攻撃はしてくるよね」


 太すぎて「それ刺さるの?」って思っちゃう毒針でツンツンしてくる。

 ボスモンスターの攻撃なんか回避一択ですわ。

 それ、ひらりひらりとな。


「そこだ!チョーップ!」


 巨大蜂の毒針攻撃を躱しつつ、レガルライゼファーの手刀を食らわせる。

 手刀は巨大蜂の毒針に当たった。

 するとポッキリと毒針は折れちゃった。

 えぇ……それ折れちゃうの?って思ったね。

 毒針を折られた巨大蜂は心なしか落ち込んでいるように見える。

 肩でも叩いて慰めてやろうかな。


「あれ?毒針が生え変わったぞ?」


 蜂の毒針って生え変わるもんだっけ?

 シャーペンの芯を出すみたいにニュッと出たぞ。


「どうやら、落ち込んでるように見えたのは気のせいだったようだ」


 よくも俺を騙したな。

 虫のくせに生意気だ。

 これはお仕置きが必要だな!


「よく見て、よく見て……ここだ!」


 巨大蜂が体当たりしてきたので、タイミングを見計らってレガルライゼファーの脇で挟んでがっちりホールドする。

 ふふふ……逃げられまい。

 レガルライゼファーは力自慢でもあるのだ。

 蜂如きの膂力では逃げられんよ。


「あとはひたすら殴るだけか……。あれ?こいつ弱くね?」


 戦う前の苦戦するかもって及び腰でいたのが馬鹿らしいな。

 これからはもっとポジティブに戦っていいかも。


「それじゃ、やるか。ククク……お前は何発耐えられるかな?」


 レガルライゼファーの拳を食らうがいい。

 どうだ?

 痛かろう?

 俺だって食らいたくない拳骨だぞ。

 それそれどんどんいくぞー。

 遠慮せずに全部もらってくださいなー。


「……あれ?もう終わりか。体力は少なめなんだな」


 レガルライゼファーの腕の中で光となっていく巨大蜂。

 光になってしまえば虫だろうと関係ないですな。

 綺麗なもんだ。


「さて、問題のドロップしたアイテムは……はい駄目でしたー」


 ドロップしたのは【蜂蜜】だけだった。

 あのスズメバチっぽいボスモンスターは本当にミツバチだったんだな。

 運営のゴリ押しを見た気分だわ。


「まあ、あと何回か戦えば指輪出るでしょ」


 俺はそんな甘いことを考えながら一旦蜂の巣から離れた。



△   ▼   △   ▼   △



 おかしい。

 例の指輪が全然出ないんですけど……。

 さっきからドロップするのは【蜂蜜】ばっかりだ。

 これじゃ俺の腹の中は【蜂蜜】でパンパンになっちまう。

 頼む、今度こそ出てくれー!


「はい、また【蜂蜜】でしたー」


 くそったれめ!

 これはやってられませんわ。

 マリちゃんが俺に丸投げするのも納得の案件ですよ。


「マリちゃんは虫嫌いで面倒も嫌い、と」


 そんなことが分かったところでどうなるわけでもなし。

 はぁ……また巨大蜂と戦わなきゃいけないのか。

 俺も面倒なことは嫌いなんですよマリちゃーん。


「あの、ちょっといいですか」

「はい?」


 足元から聞き慣れない声がする。

 なんだろうなっと。

 おや?

 複数のプレイヤーがいるな。

 パーティかな?


「俺達もここにいるボスと戦いたいんですけど」


 おっと、これはいけないや。

 他のプレイヤーに迷惑をかけていたようだ。


「あーすみません。俺、ずっと戦いっぱなしで……迷惑でしたか?」

「いえ、そんなに待ってはいないので平気ですよ」

「ほんとにすみません。どうぞ、思う存分に戦ってください」

「では、そうさせてもらいます!みんな、行こう!」


 リーダー的な人の号令でプレイヤーの一団は戦闘を開始した。


「……今日はもう帰るか」


 しばらくの間は巨大蜂と戦えそうにないので俺は町に帰ることにした。

 【蜂蜜の指輪】は明日の俺が手に入れてくれるでしょう。





 ====================


 名前:カイト

 レベル:17

 体力:398

 魔力:41

 技力:178


 ステータス

 筋力:24(+5)

 防御:24(+10)

 魔力:21

 敏捷:107(+13)

 器用:88

 幸運:41

 ステータスポイント:10


 装備

 頭 【空欄】

 体 【レザージャケット(防御+7)】

 腕1 【キーナイフ:レガルライゼファー(筋力+5)】

 腕2 【キーナイフ:レガルライゼファー(筋力+5)】

 足 【丈夫なブーツ(防御+3 敏捷+3)】

 装飾品1 【風の指輪(敏捷+10)】

 装飾品2 【空欄】

 装飾品3 【空欄】

 装飾品4 【空欄】


 スキル

 【挑発】【強い者いじめ】【かまいたち】【ダッシュⅠ】


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