第25話 お金を借りました
あーマジ空気読めてないわー。
あそこは主人公を勝たせるところだろー。
何でガチで殺しにきてんだよー。
「いつまで腑抜けてるつもりなの?ほら、しゃきっとしなさい」
そんなこと言われてもなー。
俺的には身内に裏切られたみたいなもんだしー。
やっぱりショックだったんだよねー。
あーこれはもう謝罪案件ですわー。
謝ってもらわないとやる気出ませんわー。
「私はシオンとは違うわ。腑抜けたままでいるならお金貸さないわよ?」
「どうか卑しい私にお恵みくださいマリちゃん様」
え、なに謝罪?
はは、そんなもの要りませんよ。
俺はレガルライゼファーの修理費用が捻出できるだけで満足です。
だから早くそのイベントで手に入れた賞金をください。
「マリちゃん普通に貸してあげたらいいのに」
「私はお金の貸し借りが嫌いなの。本当は貸したくないのよ」
「もう、そんなこと言わないで早くお兄ちゃんにお金貸してあげて」
「……仕方ないわね。今回は無利子で貸してあげる。感謝してよね」
「ありがとうございますマリちゃん様」
平伏しながらマリちゃんからお金を受け取る。
周りのプレイヤーからは奇異の目で見られるが知ったことか。
大事なのは金だよ、金!
「よっしゃー!金さえもらえばこっちのもんだぜー!」
シオンとマリちゃんから受け取ったお金を力に変えて!
いざ行かん!
おじいさんの鍛冶屋へ!
△ ▼ △ ▼ △
「おじいさんレガルライゼファーの修理をお願いしまーす!」
いつもみたいに勢いよく扉を開く。
するとそこには見慣れたヒゲもじゃのおじいさんが――。
「あら?」
「あれ?」
今日は珍しく先客がいた。
白のワンピースを身に付けた銀髪の少女だ。
「こんにちは」
見目麗しい銀髪の少女に挨拶されちゃった。
ちょっとドキッとしちゃったよ。
「こんにちは」
俺は挨拶を返した。
挨拶をされたら挨拶を返すのは基本だよね。
「ここへ来たってことはあなたも機械騎士乗りなの?」
うん、声の質で分かりますねぇ。
この子は育ちの良い子だ。
こういう人とはできれば関わり合いたいよね。
始めは友達であわよくば恋仲に……なんてな!
ぐへへ……妄想が捗るぜ。
「ええ、そうですよ」
「よかったらあなたの機械騎士を見せてくれない?」
いきなり大胆なこと言うのねこの子。
見せたいところだけど、今のレガルライゼファーはボロボロだからなぁ……。
人様にお見せできる状態じゃないんだ。
というわけで今回は断らせてもらいます。
ごめんね。
「悪いけどちょっと見せることはできないかな」
「そう……分かったわ」
銀髪の少女は残念そうに鍛冶屋を出ていった。
くっ……収まれ、俺の罪の意識!
今はまだその時ではない!
「……何をしとるんじゃ」
悶える俺をおじいさんはじっと見つめていた。
何で見るんですか?
恥ずかしいじゃないか。




