第21話 お金が足りない
俺は今、エンシェントゴーレムとの戦いで傷付いたレガルライゼファーを修理に出そうとしている最中なのだが……。
「30000Gだ」
「……ははは、またまた御冗談を」
「わしが冗談を言うと思うか?」
「冗談じゃなかった!?」
レガルライゼファーの修理費用が高すぎる。
なんでだよ。
装甲にちょっと傷が付いてるだけだろ!
「エンシェントゴーレムと戦ってこの程度で済んだんじゃ。よかったと思え」
おじいさんはエンシェントゴーレムを過大評価してると思うよ。
あんなの硬くて面倒臭いだけのモンスターだって。
「で、どうする?修理するのか?」
「……また今度にします」
30000Gなんて当然持っていない。
くそ、別に無駄使いしてるわけじゃないのにお金が足りねえ。
どうしよう……。
△ ▼ △ ▼ △
「……それで、私達にお金を借りようってわけ?」
「その通りでございます」
「貸さないわよ」
「何で?」
「お金の貸し借りは嫌いだから」
「ぐぬぬ……マリちゃんは駄目か」
俺はぐるんと首をシオンの方へ向けた。
「シオンは貸してくれるよな!お兄ちゃん信じてるぞ!」
「……お兄ちゃんごめん!私の財布はすっからかんなんだよー!」
「なんだってー!」
くっなんてことだ。
2人にお金を借りて修理費用に充てる計画のはずが……。
「そもそもお金を借りたとして目標金額に足りるの?」
「え?足りるんじゃないの?」
「私は見ての通り装備を新調したからそんなに持ってないわよ」
「私も装備を新しくしたから、今言った通りお金は持ってないよ」
なんだと……。
確かに言われてみれば2人とも装備が新しい。
シオンは防具が金属製にグレードアップしてる。
マリちゃんは着てるローブが刺繍入りの物になってるし、杖も変わってる。
「はぁ……なんだよ。最初から望みは絶たれていたのかよ」
がっかりだよ。
まさか2人とも散財してたとは。
俺なんかまだ初期装備のままだぞ。
「仕方ない……クエストをたくさんやってお金を稼ぐとするか」
俺はやりたくなかった方法でお金稼ぎすることに――。
「……ん?メール?運営からだ」
「私にもきたよ!」
「私もだわ」
唐突に俺達の元へ運営からメールが届いた。
それはとあるイベントの告知であった。
「新規の方を対象にイベント……10位以内には賞金が出るだと!?」
これだ!
ほんと、いいタイミングだな。
これで修理費用を手に入れることができるぞ。
やったね!




