第2話 幻想の世界で妹に会う
目を開けるとそこは別世界……。
いや、マジで別世界だわ。
このわざとらしいファンタジー風味な町並み。
参ったねこりゃ。
「おっと、町の景色に見惚れてる場合じゃない。早くロボットを呼ばないとな!」
呼び出し方は機械騎士の説明文に載ってたな。
確か、キーナイフを構えて……頭の中で『来い』って念じるんだったかな。
さあ、俺のロボットよ来い来い……。
おっ、来た来た!
地面から徐々に浮かび上がってきましたよ!
「これが……機械騎士か!」
やだ……格好良い……。
頭には2本の鋭い角。
切れ目の瞳は赤く光ってる。
深い青色の装甲は曲面を多用していて、膨れ上がった筋肉みたい。
大きさは目測だけど5mくらいかな。
「まるでSFアニメの主役ロボみたいなイケメンさんじゃないか」
こんなのが初期装備でいいのかよ。
「君、ちょっといいかな」
「はい?」
なんだよこのおっさんは。
人が楽しんでいるってのに水を差すなんてさ。
「ここはみんなが使う広場なんだよね」
「そうですか」
「だから広場の真ん中に機械騎士を出されると迷惑なんだよね」
「そうですか」
「そういうわけだからさ。早く退かしてくれないかな君の機械騎士」
「そうします」
なんだよこのおっさんは。
言ってること正論すぎるだろ。
これじゃ俺、悪者になっちまうよ……。
そうなる前に早く退散しなければ。
えーっと……機械騎士の動かし方は……。
「あ、お兄ちゃん発見!」
おや?
この愛らしい声は聞いたことがありますな。
「……詩音か。よく俺がお兄ちゃんだって判ったな」
振り返ればそこには、俺の双子の妹である立華詩音がいた。
よく見なくても詩音だと一発で分かったよ。
だって詩音のアバターの外見ってリアルの姿のままだし。
「だってお兄ちゃんリアルの姿と変わらないじゃん」
兄妹揃ってアバターはリアル容姿である。
どっちもアバター作るの面倒臭がってリアル準拠なのは想定外だわ。
「君、早く機械騎士を動かしてくれない?」
なんだよこのおっさんは。
まだいたのかよ。
せっかくの妹との再会を邪魔しやがって。
許せないよなぁ?
「お兄ちゃん、その人NPCの衛兵だよ。喧嘩売ったら逮捕されて牢屋行きだよ」
「すみませんでした。すぐに移動するんで逮捕だけは勘弁してください」
権力には逆らわないほうが良いに決まってるわ。
俺は権力の前では従順な犬になるぜ。
「まあ、そういうわけだからこの機械騎士動かすよ」
「じゃあ町の外に出てレベル上げしよう!」
「いいね。そうしようか」
いそいそと機械騎士に乗り込む俺と妹。
ふむ、操縦席はスチームパンク的な内装ですか。
ナイスだ。
男の子の好きな物がわかっていらっしゃる。
「あれ?操縦桿が付いてないよ?」
詩音からの指摘通り、右手で握るための操縦桿が無いな。
あるのは何かを差し込むための細長い穴だけだ。
「あーなるほどね。キーナイフが機械騎士を動かすための鍵ってそういうことか」
ロボットアニメを網羅している俺に隙は無かった。
超速で理解した俺はキーナイフの刃を穴に差し込む。
すると機械騎士は低い唸り声をあげて目覚めた。
「これでよ……くない。機械騎士の名前は何だ?」
名前が分からないと発進するときに気持ちが締まらないじゃないか。
早急にこいつの名前を調べないとな。
そういうわけで、名前、名前、こいつの名前はなんですかっと。
こういう時は頭の中でメニューと唱えれば……出たよ、メニュー画面。
じゃ、装備画面を見てみましょうね。
えっと……【キーナイフ:レガルライゼファー】だって。
名前判明!
この機械騎士の名前はレガルライゼファーだ!
「よっしゃ!それじゃあ、レガルライゼファー発進だ!」
操縦桿を引き起こすとレガルライゼファーが徐々に立ち上がり始めた。
いいね、これ。
やっぱりロボットを動かすのは格別だ。
わくわくの度合いが違いますよ。
「じゃ、町の外へ向けて出発!」
「レッツゴーなんだよ!」
俺と詩音を乗せてレガルライゼファーはゆっくりと歩き始めた。
いいね……なんだか冒険が始まったって感じがするよ!
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名前:カイト
レベル:1
体力:100
魔力:20
技力:20
ステータス
筋力:10(+5)
防御:10(+2)
魔力:10
敏捷:10
器用:10
幸運:10
ステータスポイント:0
装備
頭 【空欄】
体 【初心者の服(防御+1)】
腕1 【キーナイフ:レガルライゼファー(筋力+5)】
腕2 【キーナイフ:レガルライゼファー(筋力+5)】
足 【初心者の靴(防御+1)】
装飾品1 【空欄】
装飾品2 【空欄】
装飾品3 【空欄】
装飾品4 【空欄】
スキル
なし
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