表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/35

第19話 ボスモンスター(石)

 先手はエンシェントゴーレムに取られちゃった。

 シオンとマリちゃんがのんびりと操縦席から降りたせいだ。

 もっと急いで降りてくれませんか。

 時は金なりっていうでしょ。


「よし!かかってこい!」


 気を紛らわせるために気合を入れて相手を待ち構える。

 エンシェントゴーレムは突進、突進、また突進って感じで突っ込んできた。

 ずいぶんと前のめりな性格らしい。

 あの突進を受け止めるのは無理そうなので避けるわ。

 それ、闘牛士みたいに華麗にひらりとな。


「回避成功だぜ」


 突進を躱されたエンシェントゴーレムはたたらを踏む。

 その隙を逃す俺じゃない。

 無防備な背中にレガルライゼファーの飛び蹴りをどうぞ!


「見た目通り硬いな!」


 蹴った時の感触っていうの。

 それが全然違ったわ。

 こりゃ倒すの手間なんじゃないかな。

 体力ゲージも全然減ってないし。


「おりゃー!」


 シオンも攻撃を開始した。

 コンコンとエンシェントゴーレムの足を叩いている。

 一応ダメージは与えているが、ダメージを1与えたところでなぁ……。

 これはシオンに戦力外通告を言い渡さなければなるまい。


「ファイアボール!」


 マリちゃんはどうかな。

 魔法攻撃はシオンの剣よりダメージを与えられそうな気がする。

 結果は……残念。

 ダメージは2ですか。

 これはマリちゃんも戦力外ですわ。


「今回は俺が頑張るしかないか」


 3対1の戦いに見えて実質は1対1の戦いだったでござる。

 ……まあ、なんとなく知ってたけど。


「おら!回し蹴りを食らえ!」


 レガルライゼファーがくるりと回転しながらエンシェントゴーレムを蹴った。

 石の巨人は勢いよく床に倒れ込む。


「よっしゃ!今の内にダメージを与えまくるぞー!」


 転んだエンシェントゴーレムにレガルライゼファーのローキックが炸裂する。

 執拗に頭狙いでいきます。

 たぶん意味はある……はずだ。


「そりゃー!」

「ファイアボール!」


 シオンとマリちゃんは涙ぐましい攻撃を続けている。

 頑張れ!

 俺は応援しているぞ!

 お前達のやってることは無駄じゃないって信じているからな!


「おっ、やっと起き上がったか。寝坊助だなぁ」


 ちょっとおどけてみた。

 こうやって合間に肩の力を抜くことは大事だと思うよ。 


「しかし、頭を何度も蹴ったのに平然としてやがる……」


 流石ボスモンスターだな。

 頑丈だぜ。


「むむっ。また突進か。芸が無いな」


 エンシェントゴーレムはまた突進をしてきた。

 今度は正面から組み付いて地面に引きずり倒すためか両腕を構えている。

 左右には躱せない。

 なら上に逃げればいいじゃない。

 ジャンプだ!


「ふふふ、そう簡単に捕まりは……ん?何だ?」


 エンシェントゴーレムの動きがさっきと違う。

 たたらを踏むことなくそのまま部屋の端まで走っていく。

 どうしてなんだ?

 俺に理解できない動きをするのはやめろ!


「こっちに振り向いたぞ?あいつ何がしたいんだ?」


 エンシェントゴーレムは両手で胸元の石を取り除く。

 すると心臓みたいに脈打っている紫色の水晶が露出した。

 その水晶が妖しく光り始める。


「なんかやばそうな雰囲気だな!シオンとマリちゃんは俺の後ろに隠れろ!」


 俺が叫んだ次の瞬間、巨大な魔法陣が浮かび上がる。

 

「げっ!?こいつ魔法使えるのかよ!?」


 俺は咄嗟にレガルライゼファーを防御させる。

 魔法陣からは大量の石つぶてが跳び出した。

 鋭く尖った石がレガルライゼファーの装甲を削っていく。

 それはまるで散弾のようであった。


「ひえええ!俺のレガルライゼファーが傷だらけにー!?」

「ちょっとお兄ちゃん!そんなことより先に私達を心配してよ!」


 どうやらシオンは無事のようだ。

 声はしないがマリちゃんも無事だなきっと。


「よくもレガルライゼファーを傷物にしてくれたな!」


 そこを動くなよエンシェントゴーレム!

 今から成敗してくれる!

 食らえ、怒りの鉄拳パーンチ!


「あ、やっぱりここが弱点か!」


 俺の怒りを乗せたレガルライゼファーの拳が水晶にぶつかる。

 この弱点ですよと言ってるような水晶を殴るとエンシェントゴーレムは呻いた。

 やっぱり水晶が弱点のようだ。


「私にも殴らせろー!」


 いつの間にか足元にはシオンがいた。

 ちょ、剣でレガルライゼファーを叩くのはやめろぉ!


「分かったって……まったく、しょうがないなぁ」


 シオンをレガルライゼファーの手の平に乗せて持ち上げる。

 水晶の近くに寄せてあげるとシオンは水晶を斬り始めた。

 ダメージが1だった時に比べれば与えるダメージ量は雲泥の差だ。

 でも、正直なところ俺が攻撃した方がダメージは与えられるんだよなぁ。


「そりゃー!そりゃー!」


 ……まあ、シオンが楽しそうだしいいか。


「あっ、水晶が岩で覆われちゃった……」


 どうやらボーナスタイムはおしまいのようだ。

 俺とシオンはエンシェントゴーレムから離れる。


「弱点は分かった……あとはひたすら殴るだけだな」

「このまま一気に倒しちゃおう!」


 おー!と意気込む俺とシオン。


「カイト」

「ん?なにかなマリちゃん」

「……次は私も殴りたい」

「……そうですか」


 エンシェントゴーレム討伐はやたらと時間がかかった。

 理由はパーティ一丸となって戦ったからだ。

 チームプレイって難しいね。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ