第16話 捜査中にイベントが発生
あーやってやれませんわー。
せっかく考えてきた戦法をボロクソに言われたらやる気無くしますわー。
これはマリちゃんの謝罪案件ですわー。
「あーあ、お兄ちゃん拗ねちゃった。マリちゃん言い過ぎだよ」
「だってあんな消極的な戦い方見せられたら色々言いたくもなるわ」
「でも言っちゃいけないこともあると思うよ」
「それは……そうかも」
おお?
この流れは謝っちゃう感じ?
マリちゃん俺に頭下げちゃうの?
まあ、謝ってもらったらさっきの件は水に流すのもやぶさかではないぞ。
「だから、次からは気を付けようね!」
「うん……分かったわ」
「じゃあこの話はおしまい!」
あれぇ?
おかしいな。
謝る流れだったような気がしたんだけど……。
「よし!じゃあ今日はマリちゃんのレベル上げにレッツゴーなんだよ!」
「え、あ、はい。そうですね……」
何か釈然をしない……。
そう思うのは俺だけだろうか。
△ ▼ △ ▼ △
嫌なことをすぐ忘れられるのは俺の特技だぜ!
さっさと切り替えていこう!
「うおおお!ゴブリン共は全滅だー!」
現在、俺達はゴブリンの集落を襲っている真っ最中だ。
マリちゃんのレベルは4だからゴブリンがちょうどいい相手なんだよね。
「ファイアボール!」
「おりゃー!」
シオンとマリちゃんの息はぴったりだ。
いいコンビだね。
そんな2人を尻目に俺は1人で黙々とゴブリンを狩る作業だ。
そーれ、レガルライゼファーの腕をブンブン振り回しますよー。
おー、相変わらずゴブリンは面白いくらい呆気なく死んでいくな。
「お兄ちゃん!残りのゴブリンは私とマリちゃんに任せてー!」
いつの間にかシオンとマリちゃんが足元にいた。
「任せちゃっていいの?なら、そろそろゴブリンのお宅にお邪魔するか!」
ゴブリンホームを強制捜査だ!
「開けろ!違法な物がないか調査に来たぞ!」
レガルライゼファーがゴブリンの家の屋根を剥がしていく。
徐々に明らかとなっていくゴブリンの家の間取り。
部屋の中にいたゴブリン達は右往左往している。
「なんだこの金は?きっと違法な取引で稼いだ金だな!押収する!」
ゴブリンをデコピンで吹っ飛ばしながらお金の入った袋を回収する。
こういう警察ごっこはやってて楽しいな。
「ん?」
なんだろう?
見慣れない宝箱があるな。
前に襲撃した時はあんな宝箱は無かったはずだけど。
「とりあえず開けてみるか。それ宝箱オープン!」
レガルライゼファーで宝箱を強制的に開く。
鍵をかけようが無駄なんだよ!
「中身はなんだろなー」
宝箱の中身を覗くとそこには――。
「折れた剣?」
なんだこれは。
真っ二つに折れた剣が入ってたぞ?
これが宝物なのか?
『イベント【名剣レイディール】が発生しました』
いきなりイベントが始まった。
この折れた剣はイベントアイテムみたいだけど……どうするのこれ?
ちょっとシオンとマリちゃんに相談してみよう。




