第1話 自分の分身を作る
俺は剣と魔法より銃とロボットの方が好きだ。
なのに双子の妹はそれを理解してくれない。
「お兄ちゃん!新作のファンタジーなゲーム買ってきたよ!」
ほらきた。
俺の好みを全く理解していないゲームを買ってきちゃったよ。
どうするのこれ?
俺はこのファンタジーなゲームで遊ばなきゃいけないの?
「お兄ちゃん!私は先にゲームの中で待ってるからね!」
もう逃げ場ないね。
妹に逃げ場潰されちゃったね。
仕方ないなぁ……。
せっかくの休日を妹のために使ってあげようじゃないか。
というわけでこのファンタジーなゲームで遊びましょうね。
「このゲームのジャンルはVRMMOってやつか」
それなら昔、妹と一緒に買ったヘルメット型ゲーム機の出番ですよっと。
ゲームソフトをこいつに差し込んで、頭に被るとあら不思議。
一瞬で眠くなってゲームの中に――Zzz。
△ ▼ △ ▼ △
やってきましたゲームの世界。
まあ、そうは言ってもまだ遊べないんだけどね。
まだ色々と設定しなきゃいけないらしい。
最初に設定するのは名前と性別だって。
「名前は立華海斗だから……カイトでいいや。で、性別は男の子です」
一瞬で終わった。
こんなことに時間なんて割きたくないからね仕方ないね。
「えーっと、次にすることはアバターの外見を作成かぁ……」
アバターの外見は拘り出すときりがない。
面倒だしありのままでよし。
俺、このゲームでは素の自分で勝負していくよ。
「さて、今度は初期装備を選ぶのか」
剣、槍、杖……うーん、これといった物がありませんなぁ。
……と、思っていたら変な武器見つけちゃった。
なんだろうねこれ。
戦闘機の操縦桿とナイフが合体に失敗しちゃったような武器だけど。
「キーナイフ?」
この妙な武器の名前はキーナイフっていうらしい。
うむ、名前を見てもよく分からん。
こういう時は、説明文でも読みますか。
何々……キーナイフは機械騎士を動かすための鍵です?
また分からない単語が出てきちゃったぞ。
機械騎士ってなんだ?
機械騎士で検索、検索っと。
ふむふむ、機械騎士とはプレイヤーを乗せて戦う巨大な機械鎧のことです……。
「……つまり、機械騎士っていうのはロボットのことか!」
おおおお!
これはテンション上がってきましたよ!
なんだよ!
このゲームはロボゲーだったのかよ!
Foo!
やる気、出てきちゃったぞー!
「初期装備はキーナイフで決まりだな!」
これでよし!
じゃあ、設定も完了したことだし、いっちょやってみますか!
待ってろよ、俺のロボットー!