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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

カマセ勇者のリベンジ転生 ~もう手遅れと言われたけれど、転生したので最強を目指す!~

作者: キミマロ

「弱い、弱すぎる」


 虚空の穴より地上に襲来し、瞬く間に帝国を滅ぼした魔王。

 その山にも匹敵する巨大な亡骸の上で、俺は軽くため息をついた。

 倒すのにかかった時間、約五十秒。

 かつて神々すら殺したとされる魔王だが、軽く力試しをしているうちに倒してしまった。

 俺の実力は、魔界の王すら軽く凌ぐほどだったようだ。


「もう少し、いい勝負ができると思ったんだけどな」


 聖剣を抜き、勇者となってからちょうど十年ほどが経過しただろうか。

 その間、俺はただの一度も負けたことはない。

 人間相手はもちろんのこと、復活した古の悪魔から空の覇者たる竜族まで。

 目の前に立ちふさがるものは、すべて一刀のもとに切り伏せてきた。


 史上最強の勇者。

 いつしか俺は、そんな渾名で呼ばれるようになっていた。

 一人の男として最強と言われることは誇らしく、また自慢でもあった。

 しかし、一人の戦士としては大いに不満であった。

 血沸き肉躍るような戦いをする機会に、まったく恵まれなかったのだから。


 だからこそ、今回の魔王には大いに期待していたのだが……。

 どうやら、魔王という存在を買い被り過ぎていたようだ。

 いや、俺があまりにも規格外なだけかもしれない。

 あれでも帝国を一夜で滅ぼしたのだ、こちらの基準がズレていると考えるのが自然だろう。


「まったくつまらないもんだ。どこかにもっと強い奴は……」

「勇者様ーー!!」

「ん?」


 こうしてしばらく黄昏ていると、遠くから聖女の声が聞こえてきた。

 俺の後を追いかけて、城からこの平原まで駆け付けてくれたようだ。

 ほかに魔導士と武闘家の姿も見える。

 三人とも俺の大事な仲間にして、将来を約束した嫁でもある。


「大丈夫だ、もう終わった!」


 俺は魔王の背中から飛び降りると、すぐに三人の前へと移動した。

 さすがの彼女たちも、魔王との対決ということでかなり心配していたのだろう。

 俺が手を振って無事をアピールした瞬間、不安に沈んでいた顔がパッと華やいだ。


「さすが勇者様です! まさか、もう魔王を倒していたなんて!」

「相変わらず規格外。すごすぎ」

「私の見込んだ男なだけはあるねえ」


 眼を輝かせながら、口々に俺のことを讃える聖女たち。

 少し照れ臭くなってくるけれど、魔王を倒したと考えればそれも妥当か。

 瞬殺してしまったから、大事をなした達成感とかはあまりないけれど。


「ひとまず、城に戻って報告をしましょう! 陛下がお待ちです!」

「ああ、わかった」


 俺が歩き出すと同時に、横にいたせい所がそっと腕を絡ませてきた。

 それに負けじと、魔導士と武闘家も身を寄せてくる。

 ……やれやれ、これじゃ夜は大変なことになりそうだな。

 こうして魔王を討伐した俺と仲間が帰路に就くと、不意に後ろから視線を感じた。


「……誰だ?」


 振り返れば、そこには見知らぬ少女が経っていた。

 ……こんな場所に、貴族の令嬢か何かか?

 ドレスの裾を優雅に揺らしながら、少女は豊かな黒髪をさらりと風に流した。

 その双眸は深紅に染まり、最上級のルビーのよう。

 目鼻立ちは整っていて、ビスクドールのごとく黄金比を具現化している。

 立ち振る舞いも堂に入っていて、それなりに身分のある令嬢にしか見えない。


「魔王だよ」


 あっけらかんとした口調で告げる少女。

 魔王……この子が?

 あまりにおかしなことを言うものだ。

 一般に、魔族というのは力を増すほどに身体が大きくなるとされている。

 事実、俺が倒した魔王も山のような巨躯を誇っていた。

 こんなひ弱な少女が魔王など、間違ってもあり得ないだろう。

 きっと、魔界から迷い込んだ魔族が俺たちをからかっているだけに違いない。

 可愛そうに、きっと俺が本物の魔王を倒した勇者だとは知らないんだろうな。


「帰れ。俺の気が変わらんうちにな」

「強気だねえ。でも、それでもし負けたら最高にダサいよ?」

「何を愚かなことを! せっかくのご慈悲なのです、早々にこの場から立ち去りなさい!」

「そうそう、命を粗末にするもんじゃないよ」


 何度も忠告する俺たちだったが、少女はそれを聞き入れようとはしなかった。

 ……この子、本当に力の差がわかってないようだな。

 もしかしたらと思って魔力を探ってみたものの、感じられた力は平均的な魔族よりも少し上程度。

 見た目から想像されるよりはずっと強いが、俺と比較するとまったく大したことはない。

 中途半端な強さを身に着けた魔族が、勘違いしてしまったのだろう。


「わかった、なら軽く相手をしてやろう」

「勇者様……いいんですか?」

「なに、女を殺す趣味はない。叩きのめした後で魔界へ帰すさ」


 俺は仲間たちを後ろに下がらせると、少女の前へと進み出た。

 少女は嬉しそうに目を輝かせると、腕をぶんぶんと回して準備運動をする。

 その様はまるっきりお子様で、見ていて微笑ましいぐらいだ。


「せめてものハンデだ。そちらから来い」

「いいの?」

「無論だ。さあ、どこからでもかかってきなさい」


 この程度の相手ならば、聖剣を抜くまでもないだろう。

 俺は剣を鞘に刺したまま、クイクイっと手招きをした。

 それを受けて、少女は満面の笑みを浮かべたのち――。


「よいしょ」

「ぶごあああああっっ!!!!」


 間の抜けた掛け声から繰り出された、あまりにも重い一撃。

 全身を襲うかつてない衝撃。

 オリハルコンで出来た鎧が、さながらガラス細工のように吹き飛んだ。

 肋骨が砕け散り、脇腹の肉が削がれる。

 口から血が噴き出し、気が付けば俺は近くの丘に身体をめり込ませていた。

 幸いにして急所は外れているが、相当の重傷だ。

 クソ、気を強く持たないと意識が飛びそうだ……!!


「お前は……何者だ……!」

「あれ? 言ったよね、魔王って」

「本当……だったのか……」

「うん、そっちの無駄にでかい奴は勝手に名乗ってだけ。僕が本物」


 満面の笑みを浮かべながら語る魔王。

 俺は自らに治癒魔法を掛け、聖剣を杖代わりにしながらどうにか立ち上がる。

 ふぅ……どうにか血は止まったな。

 ダメージは少なくないが、まだ戦えるだろう。

 聖魔法を修めておいて助かったな……!


「勇者様、大丈夫ですか!?」

「たった一撃……!」

「魔王め、あの容姿は罠だったのか!! 何と卑劣な!」


 俺の窮地を受けて、急ぎ駆け付けてくる仲間たち。

 しかし、それを俺はあえて手で制した。

 この魔王は強い、相当に強い。

 仲間たちを巻き込めば、命の保証をすることができなかった。

 それに――。


「面白いじゃねえか。俺も久々に『本気』を出せそうだ」

「およ? その言い方だと、今までそうじゃなかったみたいだね?」

「もちろんだ。お前たち、もっと下がっていろ!!」


 仲間たちを下がらせると、俺は腰の聖剣を抜き放った。

 今から数千年前、光の神が闇の尖兵と戦う勇者に与えたとされる伝説の剣。

 その力が完全に解放され、黄金の輝きとともに絶大な魔力が全身を駆け巡る。

 万物を切り裂くとされる聖剣だが、その真価は持ち主の魔力を際限なく増幅することにある。

 とはいっても、自前の魔力でこれまで戦ってきた俺がこの機能を使ったのは今回が初めてだ。


「大地が震えている……! あれが、人間の魔力!?」

「力を隠しているとはおっしゃってましたが、まさかこれほどとは!」

「こりゃ決まったね。いくらあの魔王が強くても、今の勇者様に勝てるわけない」


 仲間たちが話している間にも、俺の魔力は高まり、溢れる。

 自分でもここまでの力を得られるとは、正直、思ってもいなかった。

 余剰魔力によって風が吹き上げる中、俺は魔王の顔をまっすぐに見据えて笑う。


「魔王。お前の失敗は、余裕を見せて俺を一撃で倒さなかったことだ」

「勝負はまだわからないんじゃないかな?」

「わかるさ。今の俺は、先ほどまでの十倍は強いからな」


 俺は魔王に向かって手を出すと、指を三本立てた。


「三分だ。三分でお前を跡形もなく消す」

「じゃ、そちらからどうぞ。さっき先にやらせてくれたお返しだ」

「その傲慢、あとで後悔するぞ」


 全力で踏み込み、飛び出す。

 体が加速し、刹那のうちに音を超えた。

 感覚が極限まで鋭敏化し、時が引き延ばされる。

 隔離された時間の中で、俺は最高の一撃を繰り出すべく聖剣を構えなおした。

 そして――。


「グレイトジャスティスソーードッ!!」

「うーん、零点」

「ふべがっ!!!!」


 俺の超感覚すら超える速さで、魔王の手刀が振り落とされた。

 背骨が砕け、たちまちのうちに息が詰まる。

 全身を巡っていた魔力は霧散し、力を失った俺は為すすべもなく崩れ落ちた。

 魔王はうつぶせに倒れた俺を足で仰向けにすると、口元を抑えながら笑う。


「力任せに突進してくるだけじゃ、何にもならないよ。ただでさえ僕より弱いんだから」

「俺が……弱い……?」

「そうだよ」

「バカな……ありえない……!」


 俺は最強だったはずだ。

 現に、今まで戦ってきた竜も悪魔もすべて一撃で倒してきた。

 その俺が弱いなんてこと、あり得るはずがない。

 たとえ相手が魔界から来た魔王であろうとも、一方的に負けることなどありえない。

 互角以上に……いや、勝てなければおかしいんだ……!!


「俺より強い奴なんて……いてたまるか……!」

「ははは、君も面白い人間だねえ。ついさっきまで、もっと強い奴はいないかとか言ってたくせに。自分が負けそうになった途端に翻すのかい?」

「それは……くっ……!!」


 惨めだった。

 そして、どうしようもないほどに恥ずかしかった。

 全身を激痛が走る中、今まで感じたことのないような感情が胸の奥で渦巻く。

 それに追い打ちをかけるように、魔王は朗らかに笑いながら言う。


「一つ、いいことを教えてあげよう。魔界には生物の持つ魔力を数値化できる便利な道具があってね。それでこっそり、君の数値を図らせてもらった。さっきの本気を出した状態の君は、だいたい三千ぐらい。人間の戦士だと百もあればかなり強い方だから、君は人間としては驚異的な強さだったよ」

「その言い方だと……お前はさらに……!」


 まさか俺の倍、いや三倍ぐらい強いのか?

 魔王の余裕ありげな表情を見た俺は、内心で焦りを募らせた。

 しかし、奴はこちらの予想のさらにはるか上を行く。


「僕はだいたい八十五万ってとこかな。もうちょっとで大台越えさ」

「…………!?」


 桁が二つ多かった。

 嘘だろ、まったく勝負になってねえ……!!

 想像をはるかに超える差に、俺は声を出すことすらできなかった。

 しかし、不思議と嘘だという気はしない。

 肌で感じる力の大きさが、魔王の言が嘘でないことを裏付けていたからだ。


「安心していいよ、殺すのは君だけだから。あそこで腰を抜かしてる三人は助けてあげる。もっとも、君をパーティから追放するのが条件だけど」


 そう言って笑うと、仲間たちの方へと視線を向ける魔王。

 そんなことを言ったところで、あいつらが俺を見捨てるわけがない。

 俺と一緒に最後まで戦って……。


「あ、ありがとうございます!!」


 ……はい?

 あろうことか、仲間たち三人は魔王に向かって深々と頭を下げ始めた。

 それだけではない。

 三人は俺の方を見下したような眼で見ると、一斉に文句を言い始める。


「私たち、最初から魔王様の方が強いと信じておりました! あの勇者ときたら、少しばかり強いからと日ごろから偉そうに……」

「正直、調子に乗りまくってた」

「ま、力に溺れたものがより強いものに倒されるのは因果応報ってやつかねえ」

「……やれやれ。弱いだけじゃなくて、人望までなかったのかい」

「クソ……!! お前たち……!!」


 俺は刺すような眼で三人を見たが、彼女たちはそっと視線を逸らせてしまった。

 なんだよみんな、ついさっきまであんなに俺のことを……!

 あれは俺を騙すための偽りだったって言うのかよ。

 たまらず歯ぎしりをした俺は、けらけらと笑う魔王を睨む。


「無様だねぇ。勇者君」

「こうなったら、例え相討ちになってでも……お前に一矢報いてやる」

「おー、こわいこわい。けど、もはや『いろいろ』と手遅れだよね」


 魔王は呆れたように言うと、視線を下げた。

 見れば、ズボンの股の部分が濡れてしまっている。

 あまりの恐怖と屈辱に、自分でも気づかないうちに失禁していたようだ。

 まったく、何てざまだよ……!!

 俺は自分で自分が情けなくなった。

 顔が真っ赤になり、このまま消えてしまいたい衝動に駆られる。


「どうして、どうしてこんなことに……!!」

「まったく見苦しいねえ。いいだろう、血の一滴も残さず消してあげる」

「……何をする気だ?」

「ちょっとした余興だよ」


 そう言うと、魔王は自らの手を天に掲げた。

 その赤く小さな唇が、朗々と太古の詠唱を紡ぎ出す。


「虚空を満たす混沌。幾千万の星、束ねて届かぬ底より掬う。一片の闇、地に満ちて殖えよ。汝の暴虐を、魔王ザフォルテの名において許可する――」


 魔王の手に、黒く巨大な塊が出現した。

 夜の闇よりもなお黒いそれは、光を一切反射せず異様な存在感を放つ。

 あれは……この世ならざる力だ。

 肌が泡立つような感覚を味わった直後、魔王が告げる。


「消え失せよ、オプスクーリタース」


 天上から黒い球体が下りてきた。

 紫電を迸らせながら、ゆっくりゆっくりとこちらに迫ってくる。

 周囲の空気が吸い込まれ、強い風が吹いた。

 そして――。


「ぬおおおおおおっ!!!!」


 俺はなすすべもなく黒球に吸い込まれ、そのまま闇の中へと消えていく。

 走馬灯というやつであろうか……。

 今までの思い出が次々に脳裏をよぎる。

 どうしてこんなことになってしまったのだろう。

 考えてみれば、まともに修行したこととかほとんどなかったもんな……。


 どんな敵でもほとんど一撃で倒せた俺は、真面目に努力することなどなかった。

 むしろ、そういったことを「才能のない奴の悪あがき」として馬鹿にしてさえいた。

 だが……今となっては、やらなかったことの後悔が次々と湧き上がってくる。


 もしも、本気で修業をしていたら。

 もしも、本気で上を目指していたら。

 今とは違う最期が、俺を待っていたのではないだろうか。

 後悔先に立たずとは言うが、まさにこのことだ。


「俺は、俺は……どこで間違えた……!!」


 心の底から絞り出した最期の叫び。

 しかしそれは、誰にも聞き取られることなく闇の底へと沈んでしまった――。


 ――〇●〇――


「……坊ちゃま! 大丈夫でしたか!?」


 瞼を開くと、エプロンドレスを着た若い女がこちらを覗き込んでいた。

 俺はいったい……どうなったんだ?

 布団をはだけて起き上がるものの、記憶が混沌としていてどうにもはっきりしない。

 今いる場所は城か屋敷の一室であるようだが、誰かが傷ついた俺を運び込んでくれたんだろうか?

 

「魔王は……魔王はどうなったんだ?」

「はい? 勇者にでもなった夢を見てたんですか?」

「夢も何も、俺は勇者だろう。まさか、勇者ロドリゲスを知らないのか?」

「ぶっ!!」


 俺が問いかけると、なぜか女性は吹き出してしまった。

 彼女は思い切り腹を抱えながら、ないないと手を振って言う。


「ロドリゲスって言ったら、カマセ勇者じゃないですか! 何で寄りにもよって……あはは!!」

「……カ、カマセ勇者!?」

「そうですよ。魔王ザフォルテにぼろ負けしたあの」


 何を当たり前のことを言っているのか、とばかりに笑う女。

 その口ぶりはまるで、歴史上の事実でも語るかのように淡々としていた。

 俺がザフォルテに倒されて、いったいどれほどの歳月が経過したんだ?

 この感じだと、一年以上経過していても不思議じゃないぞ……。


「な、なぁ! 今は何年なんだ!?」

「聖暦1543年ですが」

「……嘘だろ?」


 俺がザフォルテと対峙したのは、聖暦543年のことだ。

 この女の言っていることが本当なら、ちょうど千年が経過したことになる。

 そんなバカなことが……。

 気が遠くなるような思いがしたところで、不意に強烈な頭痛が襲い掛かってきた。

 な、何だこれは……!!


「ぐぅっ……! 痛い……!」

「だ、大丈夫ですか!?」


 脳裏を次々と見覚えのない人や物が駆け巡っていく。

 これは……俺ではない誰かの記憶か?

 心の底にある靄が、だんだんと取り払われていくような感じがする。

 まさか、今の俺は……!!


「鏡を持ってきてくれるか?」

「は、はい! かしこまりました!」


 女は軽く頭を下げると、急いで部屋の外へと走っていった。

 やがて装飾の施された手が紙を手に戻った彼女は、恭しくそれを差し出す。


「どうぞ!」

「ありがとう。…………やっぱりそうか」


 鏡に映し出されたのは、やや線の細い貴族然とした少年であった。

 年の頃は、まだ十を過ぎたばかりといったところか。

 歴戦の強者である勇者ロドリゲスとは、明らかに違う顔立ちをしている。


 ――エルロンド男爵家三男、シリウス。

 それが鏡に映る少年の名前だ。

 そして、今の俺自身の名前でもある。

 何の因果かはわからないが、俺は……。


「生まれ変わったってことかよ」

「へ?」

「……何でもない。しばらく、下がっててもらえるか?」

「かしこまりました」


 女を下がらせると、俺はそのまま横になって天を仰いだ。

 まったく不思議な感覚だが、今の俺にはシリウスとして生きた十二年間の記憶もある。

 人格が融合した……とでも言えばいいのだろうか?

 もっとも、ロドリゲスの方が人生経験が多かった分だけ主軸になっているようだが。


「しかし、悪くない」


 ロドリゲスとして死を迎える間際のこと。

 魔王によってさんざんに討ち果たされた俺は、努力してこなかった今までの人生を大いに後悔した。

 それが今、時代は異なるがやり直すチャンスを与えられている。

 思わぬ幸運に、神に感謝しなければいられないほどだ。

 俺は今度こそ、今度こそ……!!


「本気で最強になってやる。今度こそ、何があっても後悔しない人生を送るんだ……!」


 俺は拳を固く握ると、そう強く決意した。

 聖暦1543年、春。

 のちに復活した魔王を討伐し、伝説と呼ばれた男の始まりである――。


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― 新着の感想 ―
[一言] .短編と称して一話目を書いてる .未完結作品がたくさん放置されてる こういう作家さんは敬遠するに限ります 真面目に読むだけ損
2020/12/17 10:08 退会済み
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