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料理に興味が一切ない俺が、味覚が狂った異世界に転生した  作者: 弐屋 中二
ワールド料理カップ

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92/200

エッチなのはいけないにゃあ

控え室に戻ってすぐにピグナが

「じゃ、行ってくる」

出て行こうとして慌てて止める。

「どこに行くんだよ」

ピグナはニヤリと笑おうとして

ハッとペップの方を見てから

慌てた顔で顔を引き締め直し


「悪魔の本業をやりにね。

 こっちはもう安全だから」

パッと姿を消して

部屋の扉が開いて

ピグナの気配は消えた。


「妨害にいったのですか?」

ファイナが尋ねてきて

ペップが

「だろうにゃあ……」

腕を組んでどうしたもんかという顔をし始めた。

確かにペップの気持ちは分かる。

向こうから散々妨害されたからといって

こちらがし返していいものではないと思う。


「……今回一回だけという事にしないか?」

「それがににかもしれんにゃ。

 防衛はできるということがわかったにゃ。

 それ以上は蛇足な気がするにゃ」

「そうですわ。私とペップさんで

 ゴルダブル様をしっかり守れますもの」


ファイナが少し頬を赤らめてすり寄ってきたので

肩に手を伸ばすと

ペップがツツツと近寄ってきて

「……エッチなのはいけないにゃあ……」

怖い顔で警告してくる。


「い、いやそう言う気はなくて……」

「そ、そうですわ。仲間としてですわ」

「……ならいいにゃ」

ペップが了承したのと同時に

ファイナが控室のモニターをふと見て

驚いた顔をした。


なんとコロポックルチームの窯から

凄まじい勢いで火が噴き出している。

荒い映像だがその様子ははっきりと分かる。

「妨害成功したんだにゃ……」

「……やっぱり一回きりにさせないとな」

ファイナも俺に肩を組まれたまま

小さく頷いた。


殆ど料理が出来ずに向こうのチームは

試合時間を終えた。

満足そうな顔のピグナが控室に帰ってきた直後に

俺たちを呼びに来た審判員たちと

再び競技場の中心へと向かう。


むちゃくちゃ憔悴しきった顔の

椅子に乗ったマーシャスと俺が並んで

審判員の一人が

俺の左腕を取り

「勝者!チームゴルダブル!」

と掲げると、何万人も入っている競技場は

大歓声に包まれる。


勝ったらしい。

マーシャスは椅子の上で泣き崩れている。

彼が来年は優勝できますようにと

祈って、俺たちは歓声を背中に

競技場を後にした。

次の試合は三日後だ。


宿泊室に全員で戻ると

ピグナがベッドの上にうつ伏せに倒れ込んだ。

「あー消耗した……ランク上の女神とやり合うのが

 こんなに辛いとは」

「な、なあ、そのことなんだけど……」

「……分かってるよ。もうやめろっていうんでしょ」

「ああ、守るだけでいいよ。守りに徹してくれ」


ピグナはうつ伏せのまま

「……ゴルダブルが、私の身体をマッサージするならいいよ?」

すぐにペップが寄ってきて

「エッチなのはいけないにゃあ……」

俺たちを怖い顔で見つめてくる。

「……ペップからこちょぐられても

 これだけは曲げられない……」

ピグナはこちらを見ないまま言ってくる。


俺は意を決して

「分かった。任せろ。どれだけやればいいんだ?」

「二時間……」

「長すぎない?揉み返しとか知ってるか?

 揉まれすぎると後が辛いぞ?」

本気で心配する。ちなみに性的にやましい気持ちはない。

何故ならこいつは悪魔だからだ。

人間やエルフの女性ではない。


いきなりファイナがバフっとピグナの横に

飛び込んできた、そして同じようにうつ伏せになって

「私も、マッサージしてもらわないと

 もう協力できませんわ」

耳を赤くして言ってきた。

一瞬で超やる気になった俺はほぼ脊髄反射で

「四時間とか揉もうか?八時間?朝までやろうか?」

と言って、次の瞬間には起き上がったピグナと

怖い顔をしたペップに壁際まで詰め寄れられていた。


「エッチなのはいけないにゃあ……」

「あたしのときと態度が違い過ぎない?」

「い、いやいやいやファイナの方が

 どう見ても疲れが酷いだろ……」

二人から胡乱な目で見つめられて

慌てていると、ペップがため息を吐いて

「わかったにゃ。ファイナちゃんは任せろにゃ」

「え、いやそっちよりピグナを……」

「ゴールーダーブールー」

二人から本気で睨まれて、俺は

仕方なくピグナだけをマッサージすることにした。

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