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料理に興味が一切ない俺が、味覚が狂った異世界に転生した  作者: 弐屋 中二
ワールド料理カップ

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90/200

ワールド料理カップ開幕

大体、不味い料理を作る特訓が

十日ほど続いて、俺の味覚が

死にかけ始めたころ。ピグナが

「よっし!終わり!あとは本番に生かしてね!」

ストップをかけてくる。


俺はその後二日ほど、殆ど宿泊室で過ごして

味覚と体力の回復を待った。

筋力トレーニングと合わせて

これで二十二日目である。

いよいよ大会まで残り一週間になってきた。


俺が休んでいる間ピグナたちは

必要な調理機材を買ったり

国籍と出場権を買った侯国の

元代表の女性と会って

様々な準備を詰めていった。


休み終えた俺は

ピグナたちと共にホテルの部屋で

作戦をさらに詰めていき

そうしている間に

いよいよ大会当日になった。

もうできることは無い。

一か月間俺たちは大会に向けて準備を

完璧にし終えた。


皆で凛々しい顔で

朝焼けを見ながら競技場へと向かいつつ

ピグナが先ほど宿泊室に届けられた

対戦相手の書いてある書類を見ながら

「そうか……ドサンコウグ国の

 コロポックルチームが初戦の相手だよ。

 なんとあの大帝マーシャス自身が

 来ているらしい」

この大会は当日まで

初戦の相手は知らされないシステムなので

俺も今知った。

「誰だにゃそれ?」


ファイナが

「わたくし聞いたことありますわ。

 遥か北に浮かぶ氷の島に

 ある日、コロポックルの集団が

 流れ着いたのですよね?」

ピグナが頷いて

「そうそう、そのコロポックルと名乗った

 謎のちっさい妖精たちは

 強力なリーダーに率いられて

 物凄い勢いで数を増やして行って

 今では一大強国になってるよ」


「それが大帝マーシャスなのか?」

「そうだよ。中々の知略を持っていて

 彼らを守護している女神も

 相当な実力者だね」

「……勝てる?」

「しっかりゴルダブルがやればね」

「分かった。頑張ってみる」


巨大な古びたスポーツドームのような場所へとたどり着く。

事前に話には聞いていたが、なんだこれ

唖然として見上げていると、

「ほら、行くよ。もう進むしかないんだ」

ピグナから背中を押されて

競技者用の入口から中へと入っていく。

侯国の身分証と参加証で

警備員たちはあっさりと中へ入れてくれた。

まだ朝早いので観客はまばらだ。


俺たち専用の控室で、朝食やストレッチ

調理器具の確認などをして

数時間、開始時間を待つ。

中はひび割れたコンクリートを所々

補強したような造りだ。

何と小型のモニターまで設置されていて

荒い映像だが、競技場の様子が分かる。

相当に観客が入っているようだ。


緊張しながら待っていると

係員が呼びに来たので

俺たち四人は競技場内へと

直通している通路を進んで行く。

大観衆の拍手に迎えられて

芝生の青々と敷かれた競技ゾーンへと

入っていく。

大きなモニターも見える。そこに大写しになっているのは

俺たちの顔である。


ちなみに、いつ妨害が入るか分からないので

すでに俺と他の三人は十メートルほど

離れて歩いて

全ての調理器具と食材は俺が背負って

さらに両手に提げている。

重くないのは、トレーナーパイセンたちとの

体力トレーニングの日々のお陰か。


東西にそれぞれ分けられて

両チーム用の料理窯やテーブルなどが設置された

競技ゾーン中心へと向かうと

六名ほどの同じローブを着た審判員と共に

高い椅子に乗った小さめの白髪と白髭を生やした

老人の小人が待っていた。

真っ赤なマントを纏い、金色の王冠もつけているが

小さい。確かに妖精と言われても頷ける雰囲気だ。

「……あんたが、今年の対戦者だな」

精悍な顔つきのその小人は言う。

小さな腕を差し出してきた小人の手を握り返すと

「お互い、早く還れるように健闘を尽くそう」

そう言って

小人の老人はピョンと椅子から飛び降り

自分の小人たちチームが待っている方へと

走って行った。


向こうも何か訳ありなのかな

と思いながら俺は、とりあえず自分の

料理窯の方へと歩こうとして

いきなり派手にこけた。

何かに足を引っかけられたらしい。

観客が一斉に笑っている。今の様子も場内の

巨大モニターに中継されていたようだ。


辺りを見回しても誰もいない。

そう言えばピグナが試合前に

「妨害魔法は効かないけど

 物理的な妨害は止められないから。

 気をつけてね」

と言っていた。

嫌な予感がする。

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