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料理に興味が一切ない俺が、味覚が狂った異世界に転生した  作者: 弐屋 中二
ワールド料理カップへ向けて

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86/200

逮捕されて、拘置所に俺たちはまとめて収監された。

他には人は居ない。

「女と男を一緒にするとは雑だよね」

ピグナはニヤリと笑って

ペップからこちょぐられかけ

慌てて真面目な顔で

「意図がありそうだってことだよ」


四人で牢内のベンチに並んで座って

黙っていると

牢の外に、綺麗な身なりの中年の男がやってきた。

痩せて長身のその男は、口ひげを触りながら

「お前、そこの小悪魔。帝都内で魔法生物を

 大量召喚した目的を言え」


ピグナは表情を変えずに

「あんた、人間やエルフじゃないね。

 どのくらいの地位に居るか教えて欲しいんだけど」

「……質問に質問で返すのはどうかと思うがね」

「……目的なら、あんたみたいなのを

 呼び出すためだよ。この国の守護神か悪魔でしょ?」


男は鼻で笑いながら俺を見て

「見ても分からぬか。ならば話にならぬな。

 小悪魔よ。その男の命運はお前では

 支えきれぬぞ?冥界に帰った方が良いのではないか?」

「うっるさいなぁ。全部お見通しなら

 とっとと、皇帝に話を通してよ。

 食王候補がわざわざ来たんだよ?見逃す手はないでしょ?」


男はしばらく沈黙して俺を見つめると

「……まあ、会わせてやらんでもない。

 ただし、その男一人だけだ。陛下もお忙しくてな」

意地の悪い表情でピグナを見つめてくる。

「充分だ。さっさと連れて行って頂戴」

ピグナは頷いて、俺を見てくる。

えっ、俺だけ?と戸惑っていると


男はいきなり俺の隣に立っていた。

「行くぞ。借りるぞ、良いな」

「好きにしてよ」

ピグナが了承すると、俺は男から手を握られて

次の瞬間には、どこかの書斎のような場所に

男と共に立っていた。


「陛下には既に連絡しておいた。

 ここで待つと良い」

男はそう言うと、いきなり消えた。

テラスの開いていた窓から出て

外を眺めると、広大な街が眼下には広がっている。

飛行船も何機か飛んでいるので

帝都内ではあるようだが

相当にこの建物は高いようだ。


驚きながらしばらく見つめていると背後から

「ようこそ。我が国に」

低い落ち着いた女性の声が聞こえた。

振り返ると、いつの間にか長い白髪をポニーテールにした。

背の高い美しく女性が立っていた。


真っ赤なマントを羽織った女性は恐らく

三十代から四十代くらいだろう。

白髪だけが少し違和感があるが美人だ。

ふわっと香水の良い匂いも広がる。

この人が皇帝なのかなと

「あ、どうも」

頭を下げると、女性は微笑んで

「来ると思っていた。マクネルファーも

 そう言っていてな」


意外な言葉に衝撃が走る。

「ま、マクネルファーと知り合いなんですか?」

「ああ、失礼な連れ去り方をしてしまって

 申し訳ないな。彼は無事だ。

 既に帝都内で貴賓として扱っている、安心して欲しい」

「……い、いや、どうして……」


女性はテラスの手すりに寄り掛かって

「……私にとって、どうしても必要な男だからだ。

 ……結婚も考えている」

「けっ、結婚!?」

何がこの皇帝らしき女性と

マクネルファーの間にあったというのか。

あの爺さんと結婚とか完全に狂っているとしか思えない。


「いずれ、分かるだろう。とにかく彼は無事だ」

女性は微笑むと、パチッと指を鳴らした。

すると先ほどの男が俺の隣に立っていて

「彼の仲間たちは釈放しました。

 宿へと送ります」

「ああ、頼むぞ。それとお仲間に言っておいてくれ。

 この手が通じるのは一度きりだ」


俺が戸惑いながら頷くと男が手を繋いできて

そしていきなり景色が切り替わる。

宿の宿泊室の中だった。唖然として見回す。

男は既にいない。

荷物もそのままである。

し、しかし、これワープだよな。

ワープとかできる能力があるって

人間じゃないな……。


自分の身に起きたことを受け入れきれずに

しばらく呆然と椅子に座っていると

部屋の扉が開いて

「あー酷い目にあったにゃー」

ペップが入ってきた。

ピグナとファイナも続いて入ってくる。


「どうだった?」

目を輝かせて尋ねてくるピグナや、他の二人に

何があったか詳しく説明すると

ピグナは嬉しそうに笑いだして

ペップとファイナは首を傾げる。


「やっぱり無事かぁ。そうだったと思った」

と笑い転げるピグナに三人で首を傾げると

「みんな、恨みだと勘違いしてるけど

 愛だよ。あの執念深さは。

 どうしてもマクネルファーを自分のものにしたい

 女の長年の愛だね」

「何を言ってるんだにゃ?」

「分かりませんわ?」

俺も首を傾げる。

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