帝都へ
小ぎれいで大きな駅へと全員で入っていく。
帝都行きの切符を窓口から買い、
改札で別の駅員からスタンプを押してもらう。
俺とピグナはあっさりといけたが
ペップとファイナは戸惑いながらだ。
「汽車まであるとはねー」
「これも古代のテクノロジーなんだろうか」
「いや、たぶん自前だね。機械文明が進んでるみたい」
そこそこ居る他の乗客たちと、構内で帝都行きの汽車を
しばらく待つことにする。
ベンチに四人で並んで座る。荷物は足元だ。
「あんまり居ないな」
「そうだねー。帝都に向かいたくないわけでもあるのかな」
ピグナはキョロキョロと辺りを見回している。
待っていると客車が八台ほど連結された
蒸気機関車が目の前へと停まって
その中へと乗り込んでいく。
席は空いていて、四人で固まって座ることができた。
十分ほど経つと、汽笛を上げて、汽車は走り出す。
「風情があるものですね」
窓際のファイナがはしゃぐ。ペップも両耳を立てて
ワクワクした顔で外を見つめている。
ピグナは辺りをキョロキョロして
他の乗客の様子を見ることに余念がないようだ。
黙って乗っていると、ピグナが
「今ね、悪魔の耳で聞いたところ
ちょっと分かったよ。観客が少ない理由が」
と言ってきて、皆で注目すると
「いま、帝都はワールド料理カップに向けて
戒厳令が敷かれていて、歩きづらい雰囲気なんだって」
「兵隊とかが歩き回っているのかにゃ?」
「そんな感じみたい」
そんな中をマクネルファーを探索しに行くのか。
しばらく黙って考えていると
「お腹が空きましたわ」
ファイナがサービスカーで車内販売しにきた
乗務員を手を挙げて呼び止め、食べ物を買った。
ファイナが袋を開けると、謎のウネウネと動く
木の根のような漬物で
ファイナは美味しそうにそれを食べだした。
臭いも酷い。腐った汗のような香りが漂う。
ペップやピグナと顔を顰めて
それを見ながら、この世界の味覚を
正さないといけないなと改めて思いなおした。
その後、作り置きを皆で食べたりしながら
様々な駅に停車しながら進む
汽車の旅を一時間半ほど楽しむと
夕暮れを眺めながら
終点の帝都へとたどり着いた。
荷物を持って、汽車から出ていく。
駅の構内に出てすぐに
プレートメイルを付けた兵士たちが
そこかしこに立っているのが見える。
「さっそくだにゃ……」
「駅って警備の重要施設の一つだからね。
仕方ないよ」
ピグナは気にしない顔でそう言いながら
改札へと急ぐ。
コンクリートと金属でできた駅から出ると
俺たちは息をのんだ。
帝都の中には、小型の飛行船が飛び回り
ロボットが練り歩き、蒸気を出す乗用車が走り回っていた。
摩天楼こそないが、
「いや、おかしいだろ……」
「ここまでとは……」
ファイナも驚いている。
文明がいくらなんでも進みすぎである。
ピグナが
「古代文明を研究した成果だよね。
まあ、予測の範囲内だよ」
したり顔で言って、その後ろから
気配を消したペップが
こちょぐるかどうか考えている。
俺は、夜に再来するはずの
二十体のトレーナーパイセンたちの
トレーニングメニューが
気になるというより怖い。
ピグナは覚えて居るのだろうか。




