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料理に興味が一切ない俺が、味覚が狂った異世界に転生した  作者: 弐屋 中二
ワールド料理カップへ向けて

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79/200

竜の入国審査場

竜の背に乗って、青空へと浮上していく。

背後にはしっかりと虹色の子竜もついてきている。

「にゃー何度乗ってもいい景色だにゃー」

ペップが上機嫌に荷物を降ろしながら言う。

ピグナは座り込んで、今後の予定らしきこと

ブツブツと呟き始めた。

ファイナはマクネルファーと、バムとの思い出について

雑談し始めた。


戻ってこないと決まったわけじゃないし

そんなに悲観しなくてもいいんじゃないかなあと

俺は荷物を降ろして通り過ぎていく

リングルハムの都を見下ろす。

瞬く間に眼下には海が広がり

大海原を行きかう帆船が何隻も見える。


黙って海を見つめていると

近寄ってきたファイナが

「寂しくはないのですか?」

「いや、これで永遠の別れでもないだろ?

 戻ってくるよ。そんな気がしてる」

「……ポジティブですわね……さすがです」

と言いながら、ファイナは俺の肩に寄り掛かってきた。


「バムさんが居ない分まで私が

 ゴルダブル様の心の隙間を埋めて差し上げますわ」

「……」

あれ……?何かいい展開なんじゃないか?

そ、そうだよなバムも去ったし、確かにファイナでも……。

などと考えてファイナの肩をに手を回していると、

俺の背後にいつの間にか居たピグナが

「ゴールーダーブールー……」

怖い声で注意していくる。


「な、何だよ。何もしてないだろ」

ピグナは俺がファイナの肩に回した右腕を

退けてくると

「神聖なる修行の最中でしょ?」

と真面目な顔で言ってくる。

「い、いや、それは別に……分かったよ」

ファイナも残念そうに少し離れた。

いや、その神聖なる修行も

バムが言い出したので、本当は違うんじゃないか?

必要なのかな……?と首を傾げてしばらく海を眺める。



一時間くらい飛ぶと、尖った半島の先に

港町があるのが見えてくる。

「あれが、ボースウェル帝国の玄関口である

 マトバの港町だ。通り過ぎて

 その先を目指すがいいな?」

親竜が説明してくれる。

とりあえず俺たちは機嫌を損ねないように

行き先は任せると答えた。


さらに一時間ほど飛んでかなり

陸地の奥まった場所まで進むと

親竜は速度を緩めて降下し始めた。

降下している先は、何と、山脈のど真ん中に

円状に切り開かれた広場があって、

そこには無数の竜が待機している。

別の方角から、その広場へと降下していく

竜の集団もいくつも見える。


「しまった。役人が昼飯時だな。

 少し待つことになるが良いかね?」

親竜が尋ねてきたので即座に了承して

あれがどんな場所なのかを尋ねると

「我々の入国審査のための場所だよ。

 もちろん君たちも旅券をチェックされる。

 背中に乗ったまま、準備をしておくとよいよ」


「そんな場所があったとはにゃー。

 世界は広いにゃ」

「そうだね。まあ、あたしはこうなると思ってたけど」

ピグナは着陸した広場の色とりどりの竜だらけの

周囲を見回しながら、ドヤ顔をする。

竜たちはその巨体をできるだけコンパクトに折りたたみ

詰めて、後からやってくる他の竜に場所を開けていく。

鳴き声も殆どしない。

大小の様々な竜だらけの凄まじい光景なのに

整然としているのが不気味なくらいだ。

「ほんとかにゃ?嘘ついたらこちょぐっていいにゃ?」

「ほ、ほんとだって」


ペップがピグナを問い詰めているのを横目に

元気のないファイナに

「大丈夫?」

「いえ、大丈夫ですわ。でも……バムさんが

 居ないとやはり……」

「その気持ちはわかるわい。わしにも昔は旅の仲間も

 居たんじゃがな。そいつわしが三十半ばくらいの時

 いきなり行方不明になってのう……」


「マクネルファーさんにも居たのですか?」

驚くファイナに

「うむ。今頃いい歳した婆さんじゃろうな。

 美女でのう……沢山格闘したものよ」

「かっ、格闘……お二人は武闘家だったのですか!?」

「夜のよ。真昼間は冒険しとったわ」

「ふーむ。夜に武術のお稽古とは……」


ファイナがボケまくって勘づかないので

チラチラと気づいてほしそうな視線で

俺を見てくるマクネルファーから目を逸らす。

昔は美人の彼女居たよ自慢は、さすがに今は辛い。

バム……。

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