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料理に興味が一切ない俺が、味覚が狂った異世界に転生した  作者: 弐屋 中二
ワールド料理カップへ向けて

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74/200

ナルアド家

老婆はマクネルファーと抱き合う。

「ま、まさか生きていらしたとは……」

二人とも涙を流して喜んでいる。

「母上様なんですの?」

ファイナが背後から尋ねると

「うむ。わしのお母さまじゃ。

 よくわかりましたね?」


「年をとっても、お前だということは

 分かります。ああ……良かった。

 これで心置きなく、冥土へと旅立てる」

「お母さま、そのようなことをおっしゃらずに

 本当には、私が悪うございました……」

いつものぶっきらぼうなマクネルファーはどこだよ。

と言った感じで、流ちょうに喋る

マクネルファーは母親の手を取って

メイド達と屋敷の中へと入っていく。

俺たちは唖然としてそれを見つめて

ふと気づき、慌てて後を追う。


屋敷内で豪華な応接室に

俺とファイナは連れていかれて

不味いお茶を出される。

俺は口をつけるふりだけして

飲むのはファイナに任せた。

「美味しいですわ。カスゴーリの葉ですわね」

ファイナは茶の味に満足している。


窓の外の陽が沈んで、暗くなるころまで

しばらく待っていると

マクネルファーが戻ってきた。

ビシッとした背広姿である。

「ゴルダブル君、ファイナさん

 話がある」

そう言って対面するソファに座り込んだ

マクネルファーは真面目な顔をして

「わしは、ここの当主になる」


と言って、俺の隣のファイナが

盛大に茶を噴き出して

マクネルファーの顔にかかった。

「ぶおっ、まずっ、くさっ!」

マクネルファーはしばらくハンカチで

必死に自分の顔を拭った後に


「とにかく、ナルアド家の当主の力があれば

 旅券の発行。いや、帝国への永久移住券をも

 簡単に発行できるじゃろう」

「そ、そんなに偉大な家なのですか?」

「うむ。わしの弟のロット・テリ・ナルアドが

 最近までは当主だったらしいんじゃが

 亡くなったらしくてな。子も居ずに

 困っていた所に、わしが現れたというわけじゃ」


「そ、そうなのか」

マクネルファーは声を潜めて

「当然、一時的よ。旅券の発行を終えるまでに

 わしとわしの弟子である君たちが

 ナルアド家の遠縁から、次の当主を選び出し

 バトンタッチじゃ」


「それじゃあ、選ばないといけないんですね?」

「うむ。さっそく、第一号を呼んでおる」

マクネルファーが指を鳴らすと

応接間の扉が開けられて

際どい水着の金髪美女が入ってきた。


ウインクをしながら

胸の谷間を強調する美女に俺は

「うん。採用だよね」

とつい言ってしまい、ファイナにきつく睨まれる。

マクネルファーは困った顔で

「マリーさん、そのような破廉恥な服装は……」

と言うと

「いえ、この様な大切なことを決める場ですから

 私の魅力を色々と知って貰わないと」

そう言って、金髪美女はまた俺にウインクしてくる。


「採よ……」

と言いかけると、俺の隣のファイナが

いきなり脱ぎだした。

「ずるいですわ!みんなみんなゴルダブル様に

 色仕掛けばかり!」

下着姿になったファイナを俺は

ガン見する。こんな機会はめったにない。


金髪美女も俺の隣に座ってきて身体を寄せてきた

もうなんというか幸せそのものである。

マクネルファーは諦め顔で首を横に振る。

俺は両腕で二人を抱き寄せて、その柔らかさと

温かさを堪能する。

ああ、生きててよかっ……。


「ゴルダブル様!」

「エッチなのはいけないにゃ!」

俺は激しく左右の頬をビンタされて

正気に戻った。バムとペップだ。

「あ、あれ、どうしてここに?」

「いや、ゴルダブルがピンチになるって言ったら

 バムちゃんが血相変えてさー。

 無理やり乗り込んできた」

ピグナも居たらしい。


ファイナは慌てて服を着だして

金髪美女も部屋からそそくさと立ち去って行った。

「……」

あれー?どこがピンチだったんだろう。

というか今がピンチな気がする。

俺はペップとバムから睨まれている。

弁解に失敗したらまたビンタされそうである。

ピグナをチラッと見ると、慌てて顔を逸らした。

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