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料理に興味が一切ない俺が、味覚が狂った異世界に転生した  作者: 弐屋 中二
北の果てに向かって

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ミルバスに帰還

小分けにしたスーミルオン鉱石を皆で手分けして

青い親竜の背中へと積み込み

それからみんなで乗る。

夕暮れの雪原と山々を見下ろしながら

上昇していく

青あざと擦り傷にバムから薬を塗ってもらう。


「その程度で、薬を塗るにゃ!

 ハイキャッター拳を極めるまでは

 まだまだ道はながいにゃ!」

「極めることと、傷の治癒に何の関係があるんだよ……」

「ないにゃ!精神的なものだにゃ!何となくで世界はできているにゃ!」

「無茶苦茶だな……」

バムは苦笑している。


「結局、武器防具は必要なかったですわね」

「そうだねー私は延々、トレーニングしてただけだし」

ピグナは反対側を向いて

胡坐をかいて座り、不貞腐れながら言ってくる。

「筋肉は裏切らないにゃ!」

ペップが自分の割れた腹筋を見せて来た。

今まで分からなかったが、

実はマッチョキャラだったらしい。


「それ、ほんとー?脂肪も人体を守るうえで

 有益でしょ?体脂肪率もほどほど残さないと

 頭おかしくならないー?」

「裏切らないにゃ!酒を飲むより腕立てしろにゃ!」

「そうですわ!私はしないですけど……」

ファイナはもう特訓に飽きたらしい。


「で、私は許されたの?」

ピグナがボソッと言ってきて、全員で押し黙る。

「二度と、同じことはするにゃ!」

「そうですわ。して貰っては困ります」

「うん。もうやらないで欲しい。

 利用価値があるとかないとか気にするなよ」

バムも無言で頷いた。


「……優しいなぁ。そんなんでこの世界を

 乗り切っていけるのー?」

「気にして拗れていってもしょうもないだろ。

 死人も大怪我もなかったし、お前が反省してるなら

 さっさと許して忘れてやるよ」

「……分かった」

小さく呟いてピグナは黙った。


辺りが暗くなっていく中

竜の親子は正確に、ミルバス上空まで飛んでいった。

既に城門が閉まっている北門の近くの森へと

俺たちを降ろすと

「これで貸し借りは無しだが

 また、何かあったら頼む。では」

そう言うと、親子は南へと飛び去って行った。


「巣に戻るんだろうか……」

「でしょうね……」

バムと月夜を眺めていると

「そんなことより初めての大都会だにゃ!」

ペップははしゃいで小分けした鉱石の入った袋を担いで

街の方角へと走って行く。


ミルバスの閉まった城門の横の城壁へと行くと

バムが荷物を全て置いて、以前したように

城壁の石のでっぱりに手をかけて登り始めた。

そして上からロープを垂らしてきて

一人ずつ登っていく。


全員が城壁の上部の道へと登り切った時に遠くから

カンテラを持った兵士が歩いてくるのが見えた。

ピグナがそちらへと指さすと

カンテラを足元に落とした兵士が倒れる。

「寝かしたよ」

「助かった。急ごう」

ピグナは照れ臭そうに横を向く。


俺たちは城壁の内側の階段を素早く降りていく。

まだ人通りのある街中へと紛れ込んで

一息つく暇もないまま、新マクネルファー研究所へと向かうと

何とその広大な敷地は真黒に焼け焦げていて

建物は跡形も無く、それどころか

まるで大きな爆発でもあったかのように

地面には大穴が空いていた。

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