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料理に興味が一切ない俺が、味覚が狂った異世界に転生した  作者: 弐屋 中二
北の果てに向かって

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閃光と爆裂

いや、いきなりご主人様とか言われても困る。

と思いながらも、頭を下げている巨人に

「よくわからんのだが、説明しろ!」

大声で説明を求めると

岩の巨人は再びこちらをみつめて


「ゴシュジンサマ、ワレラ二、コノヤママモレトイワレタ。

 ソレデワレラ、ナガク、コノヤママモリマシタ」


いや、分からない。何を言っているのかほぼ分からないが

俺がその主人やらと勘違いされているのは確からしい。

ならば俺の取れる方策は、この状況を使って

逆に上手く立ち回るのみである。


覚悟を決めた俺は

「おい、巨人。俺の仲間を連れてこい。

 一緒に居た女の子だ。わかるよな?

 怖がらせないように丁寧にお連れしろ」

岩の巨人は頷くと、すぐに山頂から降りて行った。

その間に辺り一面の虹色に輝く岩を見回す。

これがスーミルオン鉱石か。


見回していると

巨人からつままれたバムが空中から降りてきた。

荷物は全て背負っているようだ。

俺を探している途中だったのだろう。

「ご、ゴルダブル様、ゴーレムが……」

震えながら抱きついてきたバムに

今まで起こったことを説明すると

「そ、そうですか……」

こちらを見下ろしている岩の巨人を恐々と見上げる。


「あれがゴーレムなんだな」

バムは黙って頷いた。

「よし、あれにスーミルオン鉱石を採掘して貰おう。

 ついでにファイナたちの所まで

 連れて行ってもらうぞ」

「で、できるのですか?」

俺は頷いて、岩の巨人にスーミルオン鉱石を

百キロほど採掘しろと命令するとすぐに

右手の指を器用に使って、辺りの鉱石を採掘し始めた。


バムと眺めていると、すぐに採掘は終わり

岩の巨人は左手に採掘した鉱石の塊を乗せて

こちらを見つめてくる。

「よし、次は俺とこのバムを右手の手のひらに乗せて

 バムの言う方へと進め」

右手を開いて差し出してきた巨人の掌へと

二人で乗る。そしてバムが

「南へと進んでください!」

巨人の顔に向けて言い放つと、ゆっくり

山頂を足場を選びながら降りだした。


「揺れないように気を使ってるようだな」

「雪を滑らないようにだと思います……」

バムはまた震えて俺に抱きついてきた。

いつもなら、ここから口説くとこだが

それどころではない。


俺たちを掌に載せた岩の巨人は

山から危なげなくその巨体を下ろすと

さらに雪原を南に向けて歩き出した。

「楽勝だな……」

ホッとする。昨日死にかけたのがウソのようだ。

「し、しかし、何で主人だと思ったのでしょう……」

「いや、わからん。わからんけど。

 あるものは使うに限る」


しばらく巨人が南へと歩くと

半分雪に埋もれた洞窟が見えてきた。

「あそこです!」

「あそこの手前で俺たちを降ろせ」

一応命令しておく。あー今考えると楽しかったな。

アトラクションの様だった。

あとは巨人が左手に持った鉱石を改修して

再び竜が訪れるのを待って、

ミルバスの近くまで向かうだけだ。


洞窟に近づいていくのを右手から

見下ろしていると、いきなり

真黒な火炎弾が洞窟の中から飛んできて

巨人の右足が被弾して、大きく揺れる。

「えっ……いや……」

震えているバムを支えながら

唖然としていると


さらに洞窟の中から物凄い数の魑魅魍魎

……としか形容できないおぞましい化け物たちが

湧き出てきて、巨人に襲い掛かりだした。

バムが真っ青な顔をしながら

「こ、これはもしかして暗黒魔法……」


「……ファイナか!」


どうやらゴーレムから襲撃されていると

ファイナたちが勘違いしているらしいと

気づいたときは遅かった。

空がいきなり暗くなって、出現した暗い穴から

超巨大な血走った目玉が出てきて

こちらをギョロリと睨む。


「や、やりすぎだろ……」

どんな禁呪だよ!と文句を言う暇もない。

本気で殺しに来ている。バムも震えながら

「こ、これほどの使い手だったとは……

目玉は真っ赤に輝くビームを俺たちに向けて放ってきた。

悲鳴を上げるまでも無く

閃光と爆裂に俺たちは包まれる。

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